応用情報技術者 2022年 秋期 午後 問09
プロジェクトのリスクマネジメントに関する次の記述を読んで、設問に答えよ。
K社は機械部品を製造販売する中堅企業であり、昨今の市場の変化に対応するために新生産計画システムを導入することになった。K社は、この新生産計画システムに、T社の生産計画アプリケーションソフトウェアを採用し、新生産計画システム導入プロジェクト(以下、本プロジェクトという)を立ち上げた。本プロジェクトのプロジェクトマネージャに、情報システム部のL君が任命された。本プロジェクトのチームは、業務チーム及び基盤チームで構成される。
本年7月に本プロジェクトの計画を作成し、8月初めから10月末まで要件定義を行い、11月から基本設計を開始して、来年6月に本番稼働予定である。T社の生産計画アプリケーションソフトウェアには、生産計画の作成を支援するためのAI機能があり、K社はこのAI機能を利用する。ただし、生産計画を含む日次バッチ処理時間に制約があるので、AI機能の処理時間(以下、AI処理時間という)の検証を基盤チームが担当する。K社はこれまでAI機能を利用した経験がないので、要件定義の期間中に、T社と技術支援の契約を締結してAI処理時間の検証(以下、AI処理時間検証という)を実施する。このAI処理時間検証が要件定義のクリティカルパスである。
〔リスクマネジメント計画の作成〕
L君は、リスクマネジメント計画を作成し、特定されたリスクへの対応に備えてコンティンジェンシー予備を設定し、それを使用する際のルールを記載した。また、リスクカテゴリに関して、特定された全てのリスクを要因別に区分し、そこから更に個々のリスクが特定できるよう詳細化していくことでリスクを体系的に整理するためにaを作成することとした。
〔リスクの特定〕
L君は、プロジェクトの計画段階で次の方法でリスクの特定を行うこととした。
(1) 本プロジェクトのK社内メンバーによるブレーンストーミング
(2) K社の過去のプロジェクトを基に作成したリスク一覧を用いたチェック
(3) 業務チーム、基盤チームとのミーティングによる整理
この方法について上司に報告したところ、上司から、①K社の現状を考慮すると、この方法では AI 機能の利用に関するリスクの特定ができないので見直しが必要であると指摘された。また、上司から次のアドバイスを受けた。
・リスクの原因の候補が複数想定されることがしばしばある。その場合、b を用いて、リスクとリスクの原因の候補との関係を系統的に図解して分類、整理することが、リスクに関する情報収集や原因の分析に有効である。
L君は、上司の指摘やアドバイスを受け入れて、方法を見直して7月末までにリスクを特定し、リスクへの対応を定めた。また、リスクマネジメントの進め方として、プロジェクトの進捗に従ってリスクへの対応の進捗をレビューすることにした。
現在は8月末であり要件定義を実施中である。L君は、各チームと進捗の状況を確認するミーティングを行った。基盤チームから、“AI処理時間検証の 10 月に予定している作業が難航しそうで、想定の期間内で終わりそうにない。” という懸念が示された。L君は、この懸念が、現在実施中の要件定義で顕在化する可能性があることから対応の緊急性が高いと判断し、新たなリスクとして特定した。
〔リスク対策の検討〕
L君はこのリスクについて、詳細を確認した結果、次のことが分かった。
・AI処理時間検証に当たっては、技術支援の契約に基づき T社製 AI の専門家である T社の U 氏に AI処理時間について問合せをしながら作業している。その問合せ回数をプロジェクト開始時には最大で 4 回/週までと見積もっていて、8 月の実績は 4 回/週であった。U 氏は週 4 回までの問合せにしか対応できない契約なので、問合せ回数が 5 回/週以上になると、U 氏からの回答が遅れ、AI処理時間検証も遅延する。今の見通しでは、9 月は問合せ回数が最大で 4 回/週で、5 回/週以上に増加する週はないが、10 月は 5 回/週以上に増加する週が出る確率が 30% と見込まれる。なお、10 月に問合せ回数が増加したとしても、8 回/週を超える可能性はなく、10 月初めから要件定義の完了までの問合せ回数の合計は最大で 32 回と見込まれる。
・AI処理時間の問合せへの回答には、T社製 AI に関する専門知識を要する。K社内にその専門知識をもつ要員はおらず、習得するには T社の講習の受講が必要で、受講には稼働日で 20 日を要する。
・AI処理時間検証が遅延すると、要件定義全体のスケジュールが遅延する。要件定義の完了が予定の10月末から遅延すると、その後の遅延回復のために要員追加などが必要になり、遅延する稼働日1日当たりで20万円の追加コストが発生する。
・何も対策をしない場合、仮に10月以降、問合せ回数が5回/週以上の週が出ると、要件定義の完了は稼働日で最大20日遅延する。
・AI機能の利用に関する作業量は想定よりも増加している。T社の技術支援が終了する基本設計以降に備えて早めに要員を追加しないと今後の作業が遅延する。
L君は、このリスクへの対応を検討した。まず、基盤チームのメンバーであるM君の担当作業の工数が想定よりも小さく、他のメンバーに作業を移管できるので、9月第2週目の終わりまでに移管し、M君を今後、作業量が増加するAI機能の担当とする。次に、問合せ回数の増加への対応として、表1に示すT社との契約を変更する案、及びM君にT社の講習を受講させる案を検討した。ここで、1か月の稼働日数は20日、1週間の稼働日数は5日とする。

L君は状況の確定する10月に入って対応を決定するのでは遅いと考え、現時点から2週間後の9月第2週目の終わりに、問合せ回数が5回/週以上に増加する週が出る確率を再度確認した上で、対応を決定することとした。L君は、9月第2週目の終わりの時点で表1の対応を実施した場合の効果を、それぞれ次のように考えた。
・項番1の対応の場合、T社との契約変更が9月末に完了でき、10月に問合せ回数が5回/週以上の週があっても対応することが可能となる。
・項番2の対応の場合、9月第3週目の初めからM君は、T社講習の受講を開始する。M君が受講を終え、AI処理時間について4回/週までの問合せ回答ができるのは、10月第3週の初めとなる。これによって、10月の第1週目と第2週目はU氏だけでの問合せ回答となり、10月第3週目の初めからU氏とM君が問合せ回答を行えるようになる。この結果、要件定義は当初予定から最大で5日遅れの、11月第1週目の終わりに完了する見込みとなる。
L君は、表1の対応による効果を検討するために、問合せ回数増加の発生確率の今の見通しを基に図1のデシジョンツリーを作成した。

さらにL君は、図1を基に対応に要する追加コストと、要件定義の完了の遅延によって発生する追加コストの最大値を算出し、表2の対応と追加コスト一覧にまとめた。

9月第2週目の終わりに、問合せ回数増加の発生確率が今の見通しから変わらない場合、コンティンジェンシー予備の範囲に収まることを確認した上で、追加コスト合計の最大値の期待値が最も小さい対応を選択することにした。
〔リスクマネジメントの実施〕
L君は、現時点でのリスクと対応を整理したことで、本プロジェクトのリスクの特定を完了したと考え、今後はこれまでに特定したリスクを対象にプロジェクト完了まで定期的にリスクへの対応の進捗をレビューしていく進め方とし、上司に報告した。しかし、上司からは、その進め方では、リスクマネジメントとして不十分であると指摘された。そこでL君は②ある活動をリスクマネジメントの進め方に追加することにした。
設問1:
〔リスクマネジメント計画の作成〕について、本文中のaに入れる適切な字句をアルファベット3字で答えよ。
模範解答
a:RBS
解説
解答の論理構成
-
問題文の確認
【問題文】には、リスクマネジメント計画の作成について
「特定された全てのリスクを要因別に区分し、そこから更に個々のリスクが特定できるよう詳細化していくことでリスクを体系的に整理するためにaを作成することとした。」
とあります。 -
キーワードの抽出
・「要因別に区分」
・「更に個々のリスクが特定できるよう詳細化」
・「リスクを体系的に整理」
これらは、階層構造でリスクをブレークダウンして整理する仕組みを指します。 -
適合する用語の特定
リスクマネジメントの国際標準やPMBOKでは、リスクを階層的に整理する図を Risk Breakdown Structure と呼び、アルファベット3字で「RBS」と記述します。 -
結論
よって a には「RBS」が入るため、解答は
a:RBS
となります。
誤りやすいポイント
- 「WBS」と混同する
リスクではなく作業(タスク)を分解するのが Work Breakdown Structure です。 - 「組織図=OBS」と誤答
「要因別に区分」「リスクを体系的に整理」という記述は組織ではなくリスク自体の分解を示しています。 - 「リスク一覧表」などの平面的なリストで済むと考えてしまう
問題文は「更に個々のリスクが特定できるよう詳細化」と階層化を明示しています。
FAQ
Q: RBS を作成すると、ブレーンストーミングやチェックリストと何が違うのですか?
A: ブレーンストーミングやチェックリストはリスクの洗い出し手法、RBS は洗い出したリスクを「カテゴリ→サブカテゴリ→個別リスク」という階層構造で整理する成果物です。整理後に漏れや重複を発見しやすくなる点がメリットです。
A: ブレーンストーミングやチェックリストはリスクの洗い出し手法、RBS は洗い出したリスクを「カテゴリ→サブカテゴリ→個別リスク」という階層構造で整理する成果物です。整理後に漏れや重複を発見しやすくなる点がメリットです。
Q: RBS の粒度はどこまで細かくすべきでしょうか?
A: プロジェクトの規模や複雑さに応じ、リスク対応策を具体的に検討できるレベルで止めるのが実務的です。あまり細かくしすぎると管理コストが増え、逆に大雑把すぎるとリスクが埋もれるので、管理可能性と網羅性のバランスが重要です。
A: プロジェクトの規模や複雑さに応じ、リスク対応策を具体的に検討できるレベルで止めるのが実務的です。あまり細かくしすぎると管理コストが増え、逆に大雑把すぎるとリスクが埋もれるので、管理可能性と網羅性のバランスが重要です。
Q: RBS を作成した後の活用方法は?
A: 各カテゴリごとに発生確率・影響度を評価し、優先順位付けや責任者の割り当てを行います。またプロジェクト進行中のリスクレビューで新規リスクが見つかった場合も、この構造に追加して更新し続けます。
A: 各カテゴリごとに発生確率・影響度を評価し、優先順位付けや責任者の割り当てを行います。またプロジェクト進行中のリスクレビューで新規リスクが見つかった場合も、この構造に追加して更新し続けます。
関連キーワード: リスク分解構造、階層化、リスク分類、プロジェクト管理
設問2:〔リスクの特定〕について答えよ。
(1)本文中の下線①の理由は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
AIに知見のあるT社が参画していないから
解説
解答の論理構成
- 【問題文】ではリスク特定の方法として
“(1) 本プロジェクトのK社内メンバーによるブレーンストーミング
(2) K社の過去のプロジェクトを基に作成したリスク一覧を用いたチェック
(3) 業務チーム、基盤チームとのミーティングによる整理”
と記載されています。いずれも “K社内” の活動だけで完結する点が共通です。 - ところがK社自身は “K社はこれまでAI機能を利用した経験がない” と明言されています。
自社に知見がない領域のリスクを、社内メンバーだけで網羅的に洗い出すのは困難です。 - AI機能の専門知識を持つのは、外部ベンダである “T社” であり、AI処理時間検証も “T社の U 氏” へ問い合わせながら実施している状況です。
- したがって、現行のリスク特定方法では “AI 機能の利用に関するリスク” を洗い出す主体が不在である、というのが上司の指摘①の理由になります。
- よって解答は
「AIに知見のあるT社が参画していないから」
となります。
誤りやすいポイント
- 社内ブレーンストーミング=十分と早合点し、外部専門家不在のリスクを見落とす。
- “K社はこれまでAI機能を利用した経験がない” の一文を読み飛ばし、自社にノウハウがある前提で解釈してしまう。
- 上司の指摘を「方法が少ないから」と量的課題へ矮小化し、質的課題(専門知識不足)に気付かない。
FAQ
Q: 社外ベンダを招く場合、秘密保持やコストが気になります。どうバランスを取るべきですか?
A: NDA締結で機密を守りつつ、専門領域のみ参加してもらうスポット契約を活用するとコストを抑えられます。
A: NDA締結で機密を守りつつ、専門領域のみ参加してもらうスポット契約を活用するとコストを抑えられます。
Q: 同様の状況で社内教育を優先する手もありますか?
A: 時間的余裕と教育コストが許せば有効ですが、本件のように“要件定義がクリティカルパス”の場合は即効性重視で外部専門家の参画が現実的です。
A: 時間的余裕と教育コストが許せば有効ですが、本件のように“要件定義がクリティカルパス”の場合は即効性重視で外部専門家の参画が現実的です。
Q: リスク一覧は過去プロジェクトの使い回しで十分では?
A: 新技術や新業務が加わる場合は過去一覧だけでは不十分です。今回のようにAIという未知領域では、新規ヒアリングや専門家レビューが必須です。
A: 新技術や新業務が加わる場合は過去一覧だけでは不十分です。今回のようにAIという未知領域では、新規ヒアリングや専門家レビューが必須です。
関連キーワード: リスク特定、ブレーンストーミング、専門家レビュー、外部ベンダ、知識ギャップ
設問2:〔リスクの特定〕について答えよ。
(2)本文中のbに入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:管理図
イ:散布図
ウ:特性要因図
エ:パレート図
模範解答
b:ウ
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、上司の助言として
「リスクの原因の候補が複数想定されることがしばしばある。その場合、b を用いて、リスクとリスクの原因の候補との関係を系統的に図解して分類、整理することが、リスクに関する情報収集や原因の分析に有効である。」
と示されています。 - “リスクとリスクの原因を系統的に図解して分類、整理” というキーワードは、一般に“特性要因図(フィッシュボーン図、Cause & Effect Diagram)”の用途と一致します。
- 特性要因図は、問題(=特性)と要因(=原因)を骨格状に書き出し、「人」「方法」「機械」「材料」などの観点で原因を洗い出す分析手法です。
- 選択肢を照合すると
ア:管理図 … 工程のばらつきを管理する図
イ:散布図 … 2変数の相関を示す図
ウ:特性要因図 … 原因を体系立てて列挙する図
エ:パレート図 … 項目の重要度順に並べる図
が提示されており、要件を満たすのは「ウ:特性要因図」のみです。 - したがって、b に入る適切な字句は「ウ:特性要因図」となります。
誤りやすいポイント
- パレート図と混同する
「原因を整理する」だけに注目すると、主要因を把握するパレート図を選びがちですが、パレート図は“重要度の順位付け”が目的であり、“系統的に原因を洗い出す”用途とは異なります。 - 品質管理=管理図という先入観
管理図は工程の統計的管理に使います。原因の層別・構造化には不向きです。 - “図解”と聞いて散布図を連想
散布図は相関分析用であり、複数原因の階層構造を示すことはできません。
FAQ
Q: 特性要因図はリスクマネジメントでも使えるのですか?
A: はい。もともと品質管理の手法ですが、「問題―原因」を整理する考え方は“リスク―原因”にも応用できます。リスク源を漏れなく洗い出すのに適しています。
A: はい。もともと品質管理の手法ですが、「問題―原因」を整理する考え方は“リスク―原因”にも応用できます。リスク源を漏れなく洗い出すのに適しています。
Q: 特性要因図で要因をどこまで細分化すれば良いのでしょうか?
A: 一般的には“もうこれ以上掘り下げても具体的な対策が変わらない”レベルまで分解します。今回はAI機能関連の専門性が課題なので、「技術知識不足」「外部依存」など具体的に行動可能な単位で止めるのが実務的です。
A: 一般的には“もうこれ以上掘り下げても具体的な対策が変わらない”レベルまで分解します。今回はAI機能関連の専門性が課題なので、「技術知識不足」「外部依存」など具体的に行動可能な単位で止めるのが実務的です。
Q: Excel などのツールで特性要因図を作成しても構いませんか?
A: もちろん可能です。ホワイトボードでブレーンストーミングした後、Excel や図表ソフトに転記して共有すると更新・再利用が容易になります。
A: もちろん可能です。ホワイトボードでブレーンストーミングした後、Excel や図表ソフトに転記して共有すると更新・再利用が容易になります。
関連キーワード: 特性要因図、リスク分析、因果関係、ブレーンストーミング
設問3:〔リスク対策の検討〕について答えよ。
(1)図1中のcに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
c:遅延なし
解説
解答の論理構成
-
選択肢①は「T社との契約を変更し問合せへの回答回数を増やす」対応です。
【問題文】には、 「項番1の対応の場合、T社との契約変更が9月末に完了でき、10月に問合せ回数が5回/週以上の週があっても対応することが可能となる。」
と明記されています。ここで「対応することが可能」とは要件定義のスケジュールを守れる、すなわち遅延を発生させないことを示します。 -
図1のデシジョンツリーでも、選択肢①のブランチは「30%:問合せ回数が、ある週で5回/週以上」で分岐していますが、追加説明として遅延の有無を明示する必要があります。
-
前掲の記述より、契約変更後は問合せ増加に対応できるため遅延は発生しません。従ってcには「遅延なし」が入ります。
誤りやすいポイント
- 「30%で問合せ回数が増える」と聞いて自動的に遅延が起きると早合点しやすいですが、項番1の対応を実施した後の話である点を見落とすと誤答になります。
- 図1中の他の選択肢(②③)の表記と混同し、「最大○日遅延」と数字を当てはめてしまうケースが頻出します。
- 「対応することが可能」という文言を“遅延を最小化できる”程度に解釈し、「5日遅延」など部分的遅延を記入してしまうミスにも注意が必要です。
FAQ
Q: 「対応することが可能」と書いてあっても、多少の遅延が起こり得るのでは?
A: 本文は「10月に問合せ回数が5回/週以上の週があっても対応することが可能となる。」と断言しています。リスク発生時も対応が間に合うため遅延は生じません。
A: 本文は「10月に問合せ回数が5回/週以上の週があっても対応することが可能となる。」と断言しています。リスク発生時も対応が間に合うため遅延は生じません。
Q: デシジョンツリーでは遅延日数を数値で入れる場合が多いですが、今回は「遅延なし」と文字列で良いのでしょうか?
A: はい。要件定義のスケジュール影響がゼロであることを明示するため、数値ではなく「遅延なし」と記載するのが適切です。
A: はい。要件定義のスケジュール影響がゼロであることを明示するため、数値ではなく「遅延なし」と記載するのが適切です。
Q: 他の選択肢②③では遅延日数が具体的に書かれていますが、選択肢①だけ「遅延なし」で整合が取れますか?
A: 整合性に問題ありません。遅延が発生しない場合は 0 日と書く代わりに「遅延なし」と表現しても評価は同じです。実際に本文でも数値ではなく遅延の有無で説明しています。
A: 整合性に問題ありません。遅延が発生しない場合は 0 日と書く代わりに「遅延なし」と表現しても評価は同じです。実際に本文でも数値ではなく遅延の有無で説明しています。
関連キーワード: デシジョンツリー、リスク対応、発生確率、追加コスト、クリティカルパス
設問3:〔リスク対策の検討〕について答えよ。
(2)9月第2週目の終わりに、問合せ回数増加の発生確率が今の見通しから変わらない場合、L君が選択する対応は何か。表2の対応から選び、項番で答えよ。また、そのときの追加コスト合計の最大値の期待値(万円)を答えよ。
模範解答
項番:2
期待値:80
解説
解答の論理構成
-
追加コストの内訳を整理
- 項番1は「契約変更手続日数 10日 × 10万円/日 = 100万円」。遅延は発生しません。
- 項番2は「講習受講費用 50万円」+遅延が起きた場合「最大5日 × 20万円/日 = 100万円」。
- 項番3は初期コスト 0円、遅延が起きた場合「最大20日 × 20万円/日 = 400万円」。
-
遅延が起きる確率は、いずれも “30%” と問題文に明示されています(「10月は 5 回/週以上に増加する週が出る確率が 30%」)。
-
期待値(E)を計算
- 項番1
(遅延費用は常に0) - 項番2
- 項番3
- 項番1
-
最小の期待値は 80万円。該当するのは「項番2:M君がT社講習を受け、問合せに回答する。」
よって解答は
項番:2
期待値:80
誤りやすいポイント
- 「講習受講費用 50万円」を遅延が起きたときだけ加算する誤算
- 「契約変更手続日数 10日」を遅延日数として扱い、二重に20万円/日を掛けてしまう計算ミス
- 「最大5日遅延」の費用を“平均5日”と誤読し確率を二重に掛ける過剰控除
- 期待値比較ではなく“最悪ケースの小ささ”だけで選択してしまう判断ミス
FAQ
Q: 「遅延による追加コスト」は必ず最大値で計算するのですか?
A: 本問は「遅延によって発生する追加コストの最大値」を表に載せており、期待値計算もそれをベースに行うよう指示しています。
A: 本問は「遅延によって発生する追加コストの最大値」を表に載せており、期待値計算もそれをベースに行うよう指示しています。
Q: 「講習受講日数 20日」は遅延日数に含めなくてよいのですか?
A: 問題文に「受講を終え…最大で5日遅れ」と明示されており、20日は準備期間として別途見込まれています。従って遅延コストは最大5日分だけを考慮します。
A: 問題文に「受講を終え…最大で5日遅れ」と明示されており、20日は準備期間として別途見込まれています。従って遅延コストは最大5日分だけを考慮します。
Q: もし確率が変動したら同じ結論になりますか?
A: 確率が変われば期待値も変わります。問題文では「今の見通しから変わらない場合」と限定しているため、その条件内での最適解が項番2です。
A: 確率が変われば期待値も変わります。問題文では「今の見通しから変わらない場合」と限定しているため、その条件内での最適解が項番2です。
関連キーワード: デシジョンツリー、期待値、コンティンジェンシー予備、クリティカルパス、リスク対応
設問4:
〔リスクマネジメントの実施〕の本文中の下線②について、リスクマネジメントの進め方に追加する活動とは何か。35字以内で答えよ。
模範解答
プロジェクトの進捗に従ってリスクの特定を継続して行う。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、L君が“今後はこれまでに特定したリスクを対象にプロジェクト完了まで定期的にリスクへの対応の進捗をレビューしていく進め方”だけを報告したところ、 “上司からは、その進め方では、リスクマネジメントとして不十分であると指摘された” とあります。
- リスクマネジメントの標準的プロセスは、
①リスクの特定 → ②リスク分析 → ③リスク対応計画 → ④リスク対応実行 → ⑤モニタリング
をプロジェクト期間中に反復します。L君の案は④⑤しか継続せず、①を止めてしまうため不完全です。 - プロジェクトは進むにつれて状況や外部要因が変化し、新たなリスクが顕在化・発生します。特に本件では“AI機能の利用に関する作業量は想定よりも増加している”など、今後も変動要素が多いことが示されています。
- したがって、上司の指摘を受け補完すべき活動は、プロジェクトの進捗に合わせて“リスクの特定”を繰り返すことになります。
- 以上より、追加する活動は
プロジェクトの進捗に従ってリスクの特定を継続して行う。
が妥当となります。
誤りやすいポイント
- 「レビュー=モニタリングだから十分」と思い込み、リスクを新規に洗い出す工程が不要と判断してしまう。
- “リスクの再評価”と“リスクの再特定”を混同し、既存リスクの確率・影響更新だけで足りると誤解する。
- “コンティンジェンシー予備を確認できたので完了”と読み、プロジェクト後半の環境変化を軽視する。
FAQ
Q: 既に洗い出したリスクが網羅的なら再特定は要らないのでは?
A: プロジェクトは動的です。要員変更・外部要因・技術的課題など、進捗に伴い新規リスクや派生リスクが発生するため、定期的なリスク特定が不可欠です。
A: プロジェクトは動的です。要員変更・外部要因・技術的課題など、進捗に伴い新規リスクや派生リスクが発生するため、定期的なリスク特定が不可欠です。
Q: リスクの再特定はどのタイミングで行うべきですか?
A: 一般にはマイルストーン到達時、定例進捗会議、主要変更要求提出時などで行います。本問のように“プロジェクトの進捗に従って”周期的に実施する運用が推奨されます。
A: 一般にはマイルストーン到達時、定例進捗会議、主要変更要求提出時などで行います。本問のように“プロジェクトの進捗に従って”周期的に実施する運用が推奨されます。
Q: 追加した活動を行うと工数が増えませんか?
A: 多少の工数追加より、大きな未然防止効果が期待できます。リスク対応コストより、未対応による損失の方が大きくなりやすいため、早期・継続的特定は投資対効果が高い活動です。
A: 多少の工数追加より、大きな未然防止効果が期待できます。リスク対応コストより、未対応による損失の方が大きくなりやすいため、早期・継続的特定は投資対効果が高い活動です。
関連キーワード: リスクマネジメント、コンティンジェンシー予備、クリティカルパス、デシジョンツリー


