応用情報技術者 2022年 秋期 午前2 問64
問題文
投資効果を正味現在価値法で評価するとき、最も投資効果が大きい (又は最も損失が小さい)シナリオはどれか。ここで、期間は3年間、割引率は5%とし、各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。

選択肢
ア:A
イ:B(正解)
ウ:C
エ:投資をしない
🔒 解説は解答すると表示されます
正味現在価値(NPV)【午前2解説】
正解の理由
投資案の評価は、将来の各回収額を割引率で現在価値に換算し、投資額を差し引いた正味現在価値(NPV)で比較します。各シナリオを計算すると、イ(シナリオB)のNPVが最も大きく正の値(約 +1.40 万円)となるため、投資効果はBが最大です。なお「投資をしない」はNPV=0であり、マイナスのNPVを持つA・Cよりは損失が小さいものの、B よりは劣ります。
(計算結果の要約、単位は万円)
- A の NPV ≒ −5.68
- B の NPV ≒ +1.40 ← 最大
- C の NPV ≒ −2.14
- 投資をしない の NPV = 0
解法ステップ
- 正味現在価値の定義を確認する。一般式は (:投資額、:t年目の回収額、:割引率)
- 割引因子を求める(5% の場合):
- 各シナリオについて、回収額×割引因子の合計を求め、投資額を引いてNPVを算出する。
- A:
- B:
- C:
- 投資しない:
- NPV の大小を比較し、最大のものを採択する(B が最大)。
簡単な計算例(Python):
r = 0.05
v = [1/(1+r)**t for t in (1,2,3)]
scenarios = {
"A": [40,80,120],
"B": [120,80,40],
"C": [80,80,80],
"No": [0,0,0]
}
I = 220
for k, cf in scenarios.items():
pv = sum(c*vi for c,vi in zip(cf, v))
npv = pv - (I if k!="No" else 0)
print(k, round(npv, 2))
選択肢別の誤答解説
- ア(A): 回収の後半に大きな金額が来るため、割引の影響で現在価値が小さくなり、NPV は約 −5.68 万円。投資しない(0)より悪く、Bよりも小さい。
- イ(B): 回収が早期に大きく入るため割引の影響が小さく、NPV は約 +1.40 万円で最大。したがって最良。
- ウ(C): 毎年均等に回収があり総額は同じ方向性だが、タイミングでBに劣り、NPV は約 −2.14 万円で投資しないより悪い。
- エ(投資をしない): NPV=0。A・C のようにマイナスのNPVよりは「損失が小さい」選択肢であるが、B の正のNPVよりは劣る。したがって最良ではない。
よくある誤解
- 総回収額が同じなら等しく有利と考える誤り:将来の回収は割引されるため、回収の早い案が有利になることが多いです。
- 投資をしない=最も保守的で常に最良と誤解すること:投資をしないのNPVは0であり、正のNPVを持つ案があれば投資を行う方が有利です。
- 割引率を無視して単純合計で比較するミス:割引現在価値を計算せずに誤った結論を出す原因になります。
補足コラム
- NPVが判断基準として優れている理由:NPVは「価値の増減」を金額で直接示し、投資案間で比較可能です。複数投資を同時に行えるか、資金制約があるかで選択が変わる場合は、NPV合計や資本制約下の最適化を考えます。
- 小数点以下の扱い:試験では概算で良い場合もありますが、各年の割引因子は少なくとも小数第3〜4位まで計算しておくと安心です。
- 判定ルール:通常、NPV>0 なら投資採択、NPV<0 なら採択しない(ただし資本制約や他案との相対評価を考慮)。
FAQ
Q. 割引率を変えたら結果はどう変わるか?
A. 割引率が高いほど将来回収の現在価値は下がり、後半に回収が偏る案(A)はより不利になります。早期回収が多いBは割引率上昇に強い傾向があります。
A. 割引率が高いほど将来回収の現在価値は下がり、後半に回収が偏る案(A)はより不利になります。早期回収が多いBは割引率上昇に強い傾向があります。
Q. IRR(内部収益率)とNPVはどちらを使うべきか?
A. 単一投資の採否判断ではIRRが使えるが、複数案の比較や資本制約下ではNPVの方が基準として一貫性があります。
A. 単一投資の採否判断ではIRRが使えるが、複数案の比較や資本制約下ではNPVの方が基準として一貫性があります。
Q. 単純回収期間(Payback)とNPVの違いは?
A. 単純回収期間は回収の速さを見る指標だが、割引を考慮せず、回収後の利益を無視するため、NPVと組み合わせて評価するのが望ましいです。
A. 単純回収期間は回収の速さを見る指標だが、割引を考慮せず、回収後の利益を無視するため、NPVと組み合わせて評価するのが望ましいです。
関連キーワード: NPV、割引現在価値、割引率、キャッシュフロー、時間価値、投資評価、IRR、回収期間

\ せっかくなら /
応用情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

