応用情報技術者 2022年 春期 午前2 問64
問題文
IT投資効果の評価方法において、キャッシュフローベースで初年度の投資によるキャッシュアウトを何年後に回収できるかという指標はどれか。
選択肢
ア:IRR (Internal Rate of Return)
イ:NPV (Net Present Value)
ウ:PBP (Pay Back Period)(正解)
エ:ROI (Return On Investment)
🔒 解説は解答すると表示されます
ペイバック期間【午前2解説】
正解の理由
選択肢ウのPBP(Pay Back Period、回収期間)は、初期投資額を何年間でキャッシュインフローで回収できるかを示す指標です。設問で問われている「初年度の投資によるキャッシュアウトを何年後に回収できるか」という条件に直接対応するため、PBPが正解となります。PBPは投資の回収速度を直観的に表すため、年数で答える評価法です。
解法ステップ
- 各年のキャッシュフロー(正味の受入額)を年度ごとに算出する。初年度は通常マイナス(投資)となる。
- 年ごとの累積キャッシュフローを求め、初期投資を上回る年を特定する。
- その年が整数年で超えるならその年数が回収期間。途中で超える場合は、直前年の累積不足額を翌年の当年キャッシュインフローで割り、小数年を加えて算出する。
- 部分年を含める標準式:$$ \text{PBP} = n + \frac{\text{残額(n年終了時点)}}{\text{n+1年目のキャッシュインフロー}}
選択肢別の誤答解説
-
ア: IRR (Internal Rate of Return)
IRRは投資の内部収益率で、NPVがゼロとなる割引率です。投資の収益性(期待利回り)を%で示す指標であり、回収年数を直接示しません。したがって設問とは合致しません。 -
イ: NPV (Net Present Value)
NPVは割引現在価値の合計で、将来キャッシュフローをある割引率で現在価値に換算して初期投資と比較します。金額の差(正なら投資可)で評価するため、回収までの年数を答える指標ではありません。 -
ウ: PBP (Pay Back Period)
初期投資を何年で回収するかを年数で示す指標で、設問の要求に一致します。よってウが正解です。 -
エ: ROI (Return On Investment)
ROIは投資利益率で、投資に対する利益の割合(%)を示します。回収年数を表すものではないため不適切です。
よくある誤解
-
PBPは時間価値を考慮すると思い込む誤解
- PBPは通常、割引を行わないため時間価値(現金の時間的価値)を無視します。時間価値を考慮する場合は割引回収期間(Discounted Payback Period)を使います。
-
PBPが短ければ常に優良投資と考える誤解
- 回収が早い投資は流動性やリスク軽減に有利ですが、回収後のキャッシュフローの大きさや総合的な利益(NPVやIRR)も重要です。PBPだけで判断すると長期で高収益な案件を見落とす恐れがあります。
補足コラム
-
実務での使いどころ
PBPはプロジェクトの安全性や資金回収の速さを示す単純明快な指標のため、意思決定の初期スクリーニングや短期回収を重視する場面でよく用いられます。一方で投資の採否判断にはNPVやIRRと併用するのが望ましいです。 -
具体例(端的な計算)
初期投資:1000万円、1年目キャッシュインフロー:300万円、2年目:400万円、3年目:500万円の場合- 累積:1年目 300、2年目 700、3年目 1200(単位:万円)
- 回収は3年目に完了。ただし2年目終了時点で残額300万円、3年目インフロー500万円なので部分年を考慮すると
-
計算例を自動化するPython一行例
def payback_period(initial, cashflows):
cum = -initial
for i, cf in enumerate(cashflows, 1):
if cum + cf >= 0:
return i - 1 + ( -cum ) / cf
cum += cf
return None # 回収できない場合
FAQ
Q1: PBPが短いほど良いですか?
A1: 一般的には「短いほど資金回収が早く安全性が高い」と評価されますが、投資全体の利益や時間価値を無視するため、NPVやIRRと併用して総合判断するべきです。
A1: 一般的には「短いほど資金回収が早く安全性が高い」と評価されますが、投資全体の利益や時間価値を無視するため、NPVやIRRと併用して総合判断するべきです。
Q2: PBPは不均等なキャッシュフローでも使えますか?
A2: はい。不均等な場合でも年ごとの累積キャッシュフローを計算して、部分年を含めた上でPBPを算出できます。
A2: はい。不均等な場合でも年ごとの累積キャッシュフローを計算して、部分年を含めた上でPBPを算出できます。
Q3: 時間価値を考慮したい場合は?
A3: 割引回収期間(Discounted Payback Period)を使い、各年のキャッシュフローを所定の割引率で現在価値に直して累積し、回収年数を求めます。
A3: 割引回収期間(Discounted Payback Period)を使い、各年のキャッシュフローを所定の割引率で現在価値に直して累積し、回収年数を求めます。
関連キーワード: キャッシュフロー、回収期間、PBP、割引回収、投資評価、IRR、NPV、ROI

\ せっかくなら /
応用情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

