応用情報技術者 2023年 秋期 午前2 問78
問題文
プログラムの著作物について、著作権法上、適法である行為はどれか。
選択肢
ア:海賊版を複製したプログラムと事前に知りながら入手し、業務で使用した。
イ:業務処理用に購入したプログラムを複製し、社内教育用として各部門に配布した。
ウ:職務著作のプログラムを、作成した担当者が独断で複製し、他社に貸与した。
エ:処理速度を向上させるために、購入したプログラムを改変した。(正解)
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改変の適法性【午前2解説】
正解の理由
購入して使用するプログラムを処理速度向上のために改変する行為は、著作権法上の「翻案(改変)」や「複製」に関わるが、ユーザが自己の利用のために行う範囲で認められることがあるため、選択肢の中では最も適法性が高い。したがって エ が正解となります。
ただし重要な前提として、改変が著作権法上常に自由に許されるわけではありません。翻案権(著作者の専有的権利)は原則として著作者にあり、改変の可否や範囲は著作権法の例外規定や当該ソフトの利用許諾(ライセンス契約)によって左右されます。実務上は、利用許諾で改変を明示的に禁止している場合、著作権上の適法性が認められても契約違反として民事責任を問われる可能性があります。この点を踏まえて、選択肢の中で最も「条件付きで適法になり得る」行為が エ です。
解法ステップ
- 発生する著作権上の権利を列挙する(複製権、翻案権、譲渡・貸与に関する権利など)。
- 行為主体と帰属関係を確認する(購入者、著作者、職務著作の帰属先)。
- 行為の目的・範囲を確認する(私的利用、社内配布、第三者への貸与など)。
- 著作権法上の例外や正当な利用が適用できるか検討する(利用のために必要な複製・改変等)。
- 利用許諾(ライセンス)や契約条件があるかをチェックし、契約上の制約を考慮して最終判断する。
この順で各選択肢を当てはめれば、最も妥当なものを選べます。
選択肢別の誤答解説
- ア: 海賊版を入手し業務で使用する行為は、海賊版の複製・利用であり、複製権や頒布権の侵害です。故意に違法コピーを用いる点で明確に違法です。
- イ: 購入したプログラムを複製して社内教育用に配布する行為は、複製・頒布(社内配布)が伴うため、通常のライセンスで許諾されている範囲を超えることが多く、著作権侵害になります。社内であっても「複製物を多数配布」するのは無許可なら違法です(ただし、購入時に部数制限がないサイトライセンス等で許される例外あり)。
- ウ: 職務著作のプログラムは、職務著作の規定や雇用契約により著作権(特に著作権者としての帰属や利用許諾)が雇用者に帰属する場合が多く、作成担当者が独断で複製・他社への貸与を行うのは著作権侵害・契約違反になります。
- エ: 購入したプログラムを処理速度向上のために改変する行為は、著作権上の翻案に当たるが、「自己の利用の範囲での改変」や「動作環境に合わせるための必要な変更」は実務上許容され得る。ただし、ライセンスで改変を禁止している場合や改変後の第三者配布があれば違法・契約違反になる点に注意が必要。
よくある誤解
- 「ソフトを買ったら何でもできる」:購入は利用許諾を得たにすぎず、著作権そのもの(翻案権など)は消えません。自由な改変・再配布は原則できません。
- 「社内での利用=私的複製で許される」:私的複製の例外は個人の私的範囲に限定され、業務目的の大量配布や部門間配布は該当しない場合が多いです。
- 「職務著作はいつも社員に権利がある」:職務著作の扱いは契約や職務の性質で変わるため、必ず雇用者が全ての権利を持つとは限らないが、無断で第三者に提供するのはリスクが高いです。
補足コラム
- ライセンス(EULA、使用許諾契約)は事実上の運用ルールを定めます。著作権法上の許容範囲があっても、契約に反すれば民事責任(損害賠償や契約解除)を問われることがあります。
- 互換性確保のための解析・改変(リバースエンジニアリング)や、実行に必要な範囲での変換が限定的に認められる場合がありますが、要件や手続きが厳格であり、勝手な改変・頒布は避けるべきです。
- 実務上は「改変の必要性」「第三者への提供の有無」「ライセンス条項」の三点をまず確認する習慣をつけると安全です。
FAQ
Q. 購入ソフトを自分の業務で使うために1回だけ改変しても大丈夫ですか?
A. 改変そのものが直ちに違法とは限りませんが、まずライセンス条項を確認してください。契約で改変を禁じている場合や、改変後に第三者に提供する場合は違法・契約違反のリスクがあります。
A. 改変そのものが直ちに違法とは限りませんが、まずライセンス条項を確認してください。契約で改変を禁じている場合や、改変後に第三者に提供する場合は違法・契約違反のリスクがあります。
Q. 職務著作はどちらの会社のものになりますか?
A. 一般に職務として作成された著作物は、雇用契約や職務の性質により雇用者または発注者に権利が帰属する扱いとなることが多く、個人の判断で第三者に貸与することはできません。
A. 一般に職務として作成された著作物は、雇用契約や職務の性質により雇用者または発注者に権利が帰属する扱いとなることが多く、個人の判断で第三者に貸与することはできません。
Q. 社内教育用に配布したい場合はどうすればよいですか?
A. 最も確実なのはライセンスで複製・配布が許可されているか確認すること。許可がない場合は権利者に再許諾を求めるか、教育用のライセンスを取得する必要があります。
A. 最も確実なのはライセンスで複製・配布が許可されているか確認すること。許可がない場合は権利者に再許諾を求めるか、教育用のライセンスを取得する必要があります。
関連キーワード: 著作権法、翻案権、利用許諾、複製権、職務著作、海賊版、ライセンス契約

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