基本情報技術者 2009年 秋期 午前(科目A) 問76
問題文
図は、製品の製造上のある要因の値と品質特性の値yとの関係をプロットしたものである。この図から読み取れることはどれか。

選択肢
ア:xからyを推定するためには,2次回帰係数の計算が必要である。
イ:xからyを推定するための回帰式は,yからxを推定する回帰式と同じである。
ウ:xとyの相関係数は正である。
エ:xとyの相関係数は負である。(正解)
製品の製造要因と品質特性 y の散布図から読み取れること【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:散布図は右に行くほど y が小さくなる負の傾向を示しており,したがって相関係数は負で,選択肢エが正解です。
- 根拠:データ点が左上から右下へ帯状に分布しており,ピアソン相関の分子(共分散)が負になるため相関係数も負です。
- 差がつくポイント:回帰式は対称ではなく,x→y の回帰と y→x の回帰は傾きが異なることを押さえておくと誤答を避けられます。
正解の理由
グラフの散布点が「左上から右下へ一直線的に分布」しているので,x が増えると y が減る傾向(負の直線関係)を示しています。ピアソンの相関係数 は
で表され,分子の和が負であれば になります。本図では分子が負になるため相関係数は負で,選択肢「エ」が正解です。
また選択肢の他の文は次の理由で誤りです。2次回帰(選択肢ア)は点群に曲線的な屈曲が見られないため不要であり,回帰式の対称性(選択肢イ)は最小二乗法の定義上成り立ちません(x と y を入れ替えると最小化される残差の方向が変わるため)。
よくある誤解
- 散布図が対角に並んでいれば「因果関係がある」と誤解する。相関は因果を示さないため注意が必要です。
- 「回帰式が同じだから相関も同じ」と混同する。回帰式(最小二乗回帰)は左右非対称で,傾きは入替で変わりますが相関係数は入替でも符号は同じです。
- データの見た目で直線性を誤認し,二次や他のモデルを不要に選ぶミス。点の形状(曲がり・外れ値)をまず確認してください。
解法ステップ
- 散布図の形を観察し,点群が「左上→右下」の方向か「左下→右上」の方向かを判定する。
- 左上→右下なら負の関係,左下→右上なら正の関係と結論付ける。
- 必要ならピアソン相関の式で分子の符号を確認し,負か正かを数式で裏付ける。
- 回帰式についての選択肢がある場合,回帰と相関の違い(対称性の有無)を検討して誤答を除外する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: xからyを推定するためには,2次回帰係数の計算が必要である。
→ 誤り。図は直線的な負の関係を示しており,二次項が必須である根拠がない。単純な線形回帰で十分表現できる場合が多い。 -
イ: xからyを推定するための回帰式は,yからxを推定する回帰式と同じである。
→ 誤り。最小二乗回帰は残差を縦方向(y 方向)で最小化するため,x と y を入れ替えると最小化の対象が変わり,傾きは一般に異なる。相関係数は対称だが回帰式は対称でない点を区別する必要がある。 -
ウ: xとyの相関係数は正である。
→ 誤り。点群が右へ行くほど y が小さくなる分布のため,相関係数は負になる。 -
エ: xとyの相関係数は負である。
→ 正解。散布図の形から負の相関が読み取れるため,選択肢はエです。
補足コラム
- 相関係数の大きさの目安: が 0.0–0.3 弱,0.3–0.7 中程度,0.7–1.0 強い線形関係の目安として使えます(分野によって基準は異なります)。
- 外れ値1点で が大きく変わることがあるため,散布図で外れ値の存在を必ず確認してください。
- データが非線形(曲線)に分布している場合はピアソン相関では関係を正しく評価できないことがあります。スピアマン順位相関など別指標を検討します。
- 簡単な Python 例(相関係数の計算):
import numpy as np x = np.array([1,2,3,4,5]) y = np.array([5,4,3,2,1]) r = np.corrcoef(x, y)[0,1] print(r) # -1.0(完全な負の相関)
FAQ
Q: 散布図の傾きが負なら必ず因果関係があるのですか?
A: いいえ。相関は共変動の有無を示すだけで,因果関係の証明には実験設計や追加の解析が必要です。
A: いいえ。相関は共変動の有無を示すだけで,因果関係の証明には実験設計や追加の解析が必要です。
Q: x と y を入れ替えると相関係数は変わりますか?
A: ピアソンの相関係数は対称であり,x と y を入れ替えても値(符号・大きさ)は変わりません。ただし回帰式(最小二乗回帰)は変わります。
A: ピアソンの相関係数は対称であり,x と y を入れ替えても値(符号・大きさ)は変わりません。ただし回帰式(最小二乗回帰)は変わります。
Q: 点が完全に直線上にある場合,相関係数は ±1 になりますか?
A: はい。完全に直線上(単調増加なら +1,単調減少なら −1)であれば相関係数は絶対値 1 になります。
A: はい。完全に直線上(単調増加なら +1,単調減少なら −1)であれば相関係数は絶対値 1 になります。
関連キーワード: 相関係数、回帰分析、散布図、ピアソン相関、外れ値の影響、相関と因果

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