基本情報技術者 2010年 秋期 午前(科目A) 問74
問題文
プロジェクトを準独立的な事業として遂行し、その成果に対して全面的な責任を負う起業者としての権限と責任を与えられる組織構造はどれか。
選択肢
ア:事業部制組織
イ:社内ベンチャ組織(正解)
ウ:職能別組織
エ:マトリックス組織
プロジェクトを準独立的な事業として遂行し、その成果に対して全面的な責任を負う起業者としての権限と責任を与えられる組織構造はどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:準独立的に事業を運営し、成果に対して創業者のように全面的責任を負わせる組織は社内ベンチャ組織(イントラプレナーシップ)である。
- 根拠:社内ベンチャは予算・人材・裁量を与えられ、事業の企画から実行・収益化までを起業者的に一任される点が本質である。
- 差がつくポイント:事業部制はP/L責任を持つが起業家的リスク負担や独立裁量の度合いが社内ベンチャほど大きくない点を押さえる。
正解の理由
社内ベンチャ組織は、社内において「準独立的」な単位を立ち上げ、そこに対して事業運営の裁量(戦略決定、予算運用、人材採用・配属など)とその成果に対する全面的な責任を与える組織形態です。問題文の「起業者としての権限と責任を与えられる」という表現は、企業内で起業家的な意思決定権と損益責任を与えられるイントラプレナーを指しており、これが社内ベンチャの定義と一致します。したがって正解はイです。
よくある誤解
- 「事業部制もP/L責任があるから正解」と考える誤り:事業部制は製品ラインや事業領域ごとに責任を分けるが、社内ベンチャほどの独立した起業家的裁量やリスク負担が前提とは限りません。
- 「マトリックス=権限が強い」との混同:マトリックスは機能と事業の二重指示系で柔軟だが、起業者に一任する独立性とは別次元です。
- 「職能別でも専門家に任せれば起業的」と考える誤解:職能別は専門性の集中であり、独立して事業を遂行する権限や損益責任を与える構造ではありません。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを拾う:「準独立的」「起業者としての権限と責任」「全面的な責任」。
- 各選択肢の組織形態の本質を確認する(事業部制=分社的運営、社内ベンチャ=イントラプレナー、一部独立、職能別=機能別分業、マトリックス=二元管理)。
- 「起業者としての権限と責任」を最も満たすものを選ぶ → 社内ベンチャが該当。
- 迷ったら「独立性の度合い」と「損益責任の一任」を判断基準にする。
選択肢別の誤答解説
- ア: 事業部制組織 — 各事業部にP/L責任や相当の裁量を与えるが、企業内の継続的事業運営が目的であり、起業家としての実験的リスクや独立性の完全な一任とは異なる。
- イ: 社内ベンチャ組織 — 正解。社内起業家に近い権限(予算、人事、戦略決定)と成果責任を与え、準独立的に事業を遂行させる形態である。
- ウ: 職能別組織 — 機能(営業、技術、製造等)ごとに専門化する構造で、横断的に事業を起こして全面責任を負わせる仕組みではない。
- エ: マトリックス組織 — 機能とプロジェクト(事業)で二元的な指揮命令があるため柔軟性は高いが、起業者に単独で全面責任と独立裁量を与える形ではない。
補足コラム
社内ベンチャと事業部制の違いは「目的」と「独立度」に集約されます。事業部制は既存事業を効率的に管理・拡大するための分権化手法で、長期的な継続運営を重視します。社内ベンチャは新規事業創出のための実験的装置で、成功すれば事業化・独立化(スピンオフ)することもあります。リスクテイクと意思決定速度が重要な局面では社内ベンチャのモデルが有効です。
また、社内ベンチャ導入時の注意点:
- 評価指標を明確にして短期と中長期の目標を分けること。
- 親会社とベンチャのガバナンス関係を定め、失敗時の責任や資源回収ルールを決めること。
FAQ
Q1: 事業部制と社内ベンチャ、どちらが大規模組織向きですか?
A1: 両方使えますが、既存の大規模事業の管理は事業部制、新規事業の創出や実験には社内ベンチャが効果的です。組織目的で使い分けます。
A1: 両方使えますが、既存の大規模事業の管理は事業部制、新規事業の創出や実験には社内ベンチャが効果的です。組織目的で使い分けます。
Q2: 社内ベンチャは必ずスピンオフする必要がありますか?
A2: いいえ。成功すれば社内の一事業として本格化させるか、スピンオフ(独立)させるかは事業戦略次第です。
A2: いいえ。成功すれば社内の一事業として本格化させるか、スピンオフ(独立)させるかは事業戦略次第です。
Q3: マトリックス組織で起業家的権限を与えられることは絶対にないですか?
A3: マトリックスでもプロジェクトリーダーに強い権限を与える運用は可能ですが、二重指揮の性質上、完全な独立性と全面的責任の一任には制約が残りやすいです。
A3: マトリックスでもプロジェクトリーダーに強い権限を与える運用は可能ですが、二重指揮の性質上、完全な独立性と全面的責任の一任には制約が残りやすいです。
関連キーワード: 組織構造、社内ベンチャー、イントラプレナーシップ、事業部制、マトリックス組織、職能別組織、責任と権限

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