基本情報技術者 2011年 春期 午前(科目A) 問55
問題文
データのバックアップに関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:バックアップからの復旧時間を最短にするために、差分バックアップ方式を採用する。
イ:バックアップからの復旧処理でランダムアクセスを可能にするために、磁気テープにバックアップする。
ウ:バックアップしたデータの整合性を保証するために、バックアップ処理と業務処理が重ならないようにスケジューリングする。(正解)
エ:バックアップ処理の時間を最短にするために、同一記憶媒体内にバックアップする。
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バックアップ運用と整合性管理【午前解説】
正解の理由
選択肢ウ(バックアップ処理と業務処理が重ならないようにスケジューリングする)が正解です。理由は以下の通りです。
- バックアップ中に業務処理が同一データに書き込みを行うと、バックアップデータが部分的に古いデータと新しいデータが混在した「不整合」な状態になる可能性があるためです。
- 特にファイル単位のバックアップやアプリケーション非整合な方式では、書込みと同時に取得したバックアップは復旧時に正しい状態を再現できない恐れがあります。
- 業務を停止するか、アプリケーションのスナップショット/トランザクション整合性機能を利用して一貫性を担保するスケジューリングが必要です。
解法ステップ
- 各選択肢の主張を短く要約する。復旧時間、アクセス性、整合性、保存場所に注目。
- バックアップの基本原則(完全性、一貫性、可用性、耐障害性)に照らして評価する。
- 「整合性を保証する」とあるウは、業務と重ならないスケジューリングの効果を確認し、一貫性確保の観点で最も妥当と判断する。
- 他の選択肢は媒体特性(テープは逐次)やバックアップ方式(差分・増分・フル)の利害を検討し、不適合を示す。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「差分バックアップ方式を採用すると復旧時間を最短にする」
- 誤り。差分バックアップはフルバックアップ+最新差分のみで復旧可能なので増分より速いが、復旧最速はフルバックアップ(単一セット読み込み)です。運用とストレージのトレードオフを理解する必要があります。
-
イ: 「復旧処理でランダムアクセスを可能にするために磁気テープにバックアップ」
- 誤り。磁気テープは基本的に逐次アクセス媒体でありランダムアクセス性能は低いです。ランダムアクセスが必要ならディスクやSSD、オブジェクトストレージが適切です。
-
ウ: 「バックアップしたデータの整合性を保証するために、バックアップ処理と業務処理が重ならないようにスケジューリングする」
- 正解。業務処理と重なるとスナップショットが取られた時点で一貫性が崩れる可能性があるため、停止またはアプリ整合な手法が必要です。
-
エ: 「バックアップ処理の時間を最短にするために、同一記憶媒体内にバックアップする」
- 誤り。確かに同一媒体内コピーは転送時間が短縮されることがあるが、媒体障害や災害時に原本とバックアップを同時に失う単一障害点(SPOF)を作り危険です。オフサイト保管が望ましい。
よくある誤解
- 「差分バックアップ = 最速復旧」:差分は増分より復旧が速いが、復旧最速はフルバックアップ(復旧時に読み込むメディアが最小)です。
- 「磁気テープはランダムアクセスに向く」:テープは基本的に逐次アクセス媒体で、ランダム読み出しは遅延が大きく復旧時間を増やす場合があります。
- 「同一媒体にバックアップすれば復旧時間が短く安全」:確かにI/O遅延は低減できるが、媒体障害や災害で原本とバックアップを同時に失うリスクが高まります。
補足コラム
- 一貫性の確保方法:業務停止(冷バックアップ)、ファイルシステムやアプリケーションのスナップショット、データベースのトランザクションログとチェックポイント利用(アプリケーション整合性)などがあります。
- バックアップ戦略:RTO(復旧時間目標)とRPO(復旧時点目標)を定め、フル/差分/増分やレプリケーション、スナップショットを組み合わせて設計します。
- 運用ベストプラクティス:定期的なリストア検証、ハッシュやチェックサムによる整合性検証、オフサイト/クラウドにおける複製(3-2-1ルール:3コピー、2種類の媒体、1つはオフサイト)を推奨します。
FAQ
Q1: 差分バックアップと増分バックアップの復旧手順の違いは?
A1: 差分は「フル + 最新差分」のみ読み込み。増分は「フル + すべての増分」を順に読み込むため、増分は世代数が多いと復旧時間が長くなります。
A1: 差分は「フル + 最新差分」のみ読み込み。増分は「フル + すべての増分」を順に読み込むため、増分は世代数が多いと復旧時間が長くなります。
Q2: ランダムアクセスが必要ならどの媒体を選ぶべき?
A2: ディスク(HDD/SSD)やネットワーク接続ストレージ、オブジェクトストレージがランダムアクセスに適しています。テープは長期保存やコスト面で有効ですがランダム性は苦手です。
A2: ディスク(HDD/SSD)やネットワーク接続ストレージ、オブジェクトストレージがランダムアクセスに適しています。テープは長期保存やコスト面で有効ですがランダム性は苦手です。
Q3: 業務停止が難しい場合、整合性はどうやって確保する?
A3: アプリケーションやデータベースのスナップショット機能、トランザクションログの活用、または一貫性を取るためのアプリケーションレベルの一時停止(quiesce)を利用します。
A3: アプリケーションやデータベースのスナップショット機能、トランザクションログの活用、または一貫性を取るためのアプリケーションレベルの一時停止(quiesce)を利用します。
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