基本情報技術者 2014年 秋期 午前(科目A) 問56
問題文
ITサービスを廃止する際には、使われていた資産を包括的に識別し、余分な資産の除去や解放を適切に行うことが重要である。除去すべきでない資産を誤って除去することが原因で起こる可能性がある事象はどれか。
選択肢
ア:磁気ディスク内の使わなくなる領域の無駄使い
イ:ソフトウェアやハードウェアの保守料金の過払い
ウ:ソフトウェアライセンスの無駄使い
エ:廃止するITサービスと資産を共有している別のITサービスでのインシデントの発生(正解)
ITサービス廃止時の資産除去ミスが引き起こす事象【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論: 廃止作業で誤って共有されている資産を除去すると、他のサービスへ波及して重大なインシデントを引き起こす可能性がある。
- 根拠: IT資産はデータ・ライブラリ・設定・ハードを共有することが多く、削除により依存先のサービスが停止または障害を起こすため。
- 差がつくポイント: 依存関係の洗い出しとステークホルダー確認、段階的削除とバックアウト計画で影響範囲を確実に把握すること。
正解の理由
設問は「除去すべきでない資産を誤って除去することが原因で起こる可能性がある事象はどれか」を問うています。誤って除去することの直接的な危険は、除去した資産を他のITサービスが共有・依存していた場合に、その別サービス側で機能不全やインシデントが発生する点です。選択肢の中でこの因果を表しているのは、共有資産を除去した結果として別サービスでインシデントが起きることを述べた「エ」です。したがって、正答は エ です。
よくある誤解
- 「資産を除去=コスト削減・無駄解消」と短絡し、除去ミスの逆効果(他サービス影響)を見落とす。
- ライセンスや保守費用の無駄遣い(保有し続けることの問題)を除去ミスの結果と混同する。除去ミスは残存コストではなく他サービス障害に直結する点を区別する。
- 共有の定義を狭く考え、ファイルやAPI、設定、共通ライブラリなど多層の依存を見逃しやすい。
解法ステップ
- 問題文の因果関係を把握:「誤って除去することが原因で起こる可能性」=除去によるマイナス影響を探す。
- 各選択肢が「除去」と「残存(放置)」のどちらに関連する影響かを判別する。
- 除去によって発生し得る直接的影響(他サービス停止、データ欠損、機能消失)を選ぶ。
- 関連性がある選択肢(共有資産の影響を示すもの)を選択する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 磁気ディスク内の使わなくなる領域の無駄使い
- 誤り。これは不要資産を「除去せずに残す」ことによる無駄であり、誤って除去した場合の直接的影響ではない。
- イ: ソフトウェアやハードウェアの保守料金の過払い
- 誤り。保守料金の過払いは資産を廃止できずに残すや管理不足に起因する費用問題で、除去ミスの結果ではない。
- ウ: ソフトウェアライセンスの無駄使い
- 誤り。ライセンスの無駄遣いも「残存コスト」の問題であり、除去しすぎて発生するインシデントとは因果が逆である。
- エ: 廃止するITサービスと資産を共有している別のITサービスでのインシデントの発生
- 正解。誤って共有資産を削除すれば、依存先のサービスに障害や停止が発生する直接的なリスクを表している。
補足コラム
- 実務での対策例
- 資産インベントリとCMDBで物理・論理の所有・利用関係を明確化する。
- 依存関係マッピング(サービス/アプリ/ライブラリ/データベース/ネットワーク)を実施する。
- ステークホルダー承認と通知を必須化し、影響範囲の合意を得る。
- 段階的デコミッション(フェーズごとに削除)とロールバック手順、バックアップの確保。
- 廃止チェックリスト(資産利用者確認、契約/ライセンス処理、データ消去方針、監査記録)を用意する。
- 事例: 共通ライブラリを削除して複数アプリが起動不能になったケースでは、ロールバックと依存リストの未整備が原因であった。
FAQ
Q1: 共有資産の具体例は何ですか?
A1: データベース、共通ライブラリ、認証サービス、共有ストレージ、ネットワーク機器、構成管理ツールなど広範囲です。
A1: データベース、共通ライブラリ、認証サービス、共有ストレージ、ネットワーク機器、構成管理ツールなど広範囲です。
Q2: ライセンスは削除したらどうなる?
A2: ライセンスを「除去」するという概念は通常ないが、ライセンスを管理するプロセスを削除・放棄するとコンプライアンス違反や使用停止につながる可能性があります。過剰保有の問題とは別に扱います。
A2: ライセンスを「除去」するという概念は通常ないが、ライセンスを管理するプロセスを削除・放棄するとコンプライアンス違反や使用停止につながる可能性があります。過剰保有の問題とは別に扱います。
Q3: 廃止時に最優先すべき確認項目は何ですか?
A3: 当該資産を参照・利用しているサービス一覧、依存関係、データの所在と保持要件、ステークホルダー合意、バックアップとロールバック手順です。
A3: 当該資産を参照・利用しているサービス一覧、依存関係、データの所在と保持要件、ステークホルダー合意、バックアップとロールバック手順です。
Q4: テスト環境での検証はどこまで必要ですか?
A4: 本番で使われている依存関係を模した環境で、段階的削除と回復手順を検証することが望ましい。完全再現が難しい場合は影響分析と緊急対応計画を入念に整備してください。
A4: 本番で使われている依存関係を模した環境で、段階的削除と回復手順を検証することが望ましい。完全再現が難しい場合は影響分析と緊急対応計画を入念に整備してください。
関連キーワード: 資産管理, 廃止手順, 依存関係, CMDB, 構成管理, 変更管理, ライセンス管理, サービス終了, デコミッション, インシデント対応, サービス停止

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