基本情報技術者 2015年 秋期 午前(科目A) 問54
問題文
プロジェクトのリスクに対応する戦略として、損害発生時のリスクに備え、損害賠償保険に加入することにした。PMBOKによれば、該当する戦略はどれか。
選択肢
ア:回避
イ:軽減
ウ:受容
エ:転嫁(正解)
プロジェクトのリスクに対応する戦略(損害賠償保険に加入する場合)【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:損害賠償保険への加入は発生した損害の財務的負担を第三者に移転する措置で、PMBOKの「転嫁」に該当します。
- 根拠:PMBOKはリスク対応を回避・軽減・転嫁・受容に分類し、保険は損失発生時の負担(影響)を他者に移すため転嫁と定義されます。
- 差がつくポイント:保険は「発生確率」を下げない点に注意し、契約条件・免責額・補償範囲を確認して真のリスク移転度合いを見極めることが重要です。
正解の理由
正解は エ(転嫁)です。
PMBOKの定義ではリスク対応策のうち「転嫁(transfer)」は、リスクの結果として発生する損失や責任を契約や保険などにより第三者に移すことを指します。損害賠償保険は発生した損害の金銭的負担を保険会社が負担する仕組みであり、プロジェクトが被る財務的影響を第三者へ移す典型的な転嫁手段です。したがって保険加入は転嫁に該当します。
PMBOKの定義ではリスク対応策のうち「転嫁(transfer)」は、リスクの結果として発生する損失や責任を契約や保険などにより第三者に移すことを指します。損害賠償保険は発生した損害の金銭的負担を保険会社が負担する仕組みであり、プロジェクトが被る財務的影響を第三者へ移す典型的な転嫁手段です。したがって保険加入は転嫁に該当します。
よくある誤解
- 保険に加入すればリスクそのものが消える:保険は損失の財務負担を移すだけで、発生確率や発生自体を低減するものではありません。
- 転嫁すれば責任から完全に免れる:法的・品質面の責任や管理責任は残ることが多く、契約条件で免責範囲が限定される点を見落としがちです。
- 軽減と混同する:軽減(mitigation)は発生確率や影響を直接小さくする対策を指し、保険は影響の負担を移す点で目的が異なります。
解法ステップ
- 問題文で示された対策(損害賠償保険に加入)の目的を確認する:何を変えたいのか(確率か影響か、誰が負担するか)。
- PMBOKの4つの基本戦略(回避・軽減・転嫁・受容)を思い出す。
- 対策が「発生確率を下げるか」「発生時の損失の負担を移すか」「発生自体を避けるか」「単に受け入れるか」を照合する。
- 「損害賠償保険」は発生時の損失負担を第三者に移すため「転嫁」に該当すると判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 回避
回避はリスクの原因を排除して発生自体を防ぐ手段です。保険は発生を防がないため回避ではありません。 - イ: 軽減
軽減は発生確率や影響を直接減らす対策(設計変更、冗長化など)です。保険は影響の金銭的負担を移すだけで軽減とは目的が異なります。 - ウ: 受容
受容はリスクをそのまま受け入れることで、保険加入は積極的に第三者に負担を移す行為のため受容ではありません。 - エ: 転嫁
保険は発生した損害の財務的負担を保険会社に移すため、PMBOKの「転嫁(transfer)」に相当します。
補足コラム
- 転嫁の手段は保険だけではありません。契約による保証・請負契約での責任移転、分担契約やサプライヤーへの委託なども転嫁に含まれます。
- 転嫁は「リスクの所有権(負担)」を移すが、プロジェクトマネージャーの管理責任や監督義務が消えるわけではありません。契約条項、免責事項、保険の補償限度額、自己負担(免責額)を確認して完全な移転かどうかを評価してください。
- 予算管理上、保険料はプロジェクト予算に計上し、保険が適用される範囲外の残存リスクはコンティンジェンシー(予備費)でカバーする運用が一般的です。
FAQ
Q1. 保険で転嫁すればプロジェクトチームは責任ゼロですか?
A1. いいえ。保険は金銭的負担を軽減しますが、品質や納期に関する責任、契約上の違約責任は残る場合があります。
A1. いいえ。保険は金銭的負担を軽減しますが、品質や納期に関する責任、契約上の違約責任は残る場合があります。
Q2. いつ「転嫁」を選ぶべきですか?
A2. リスクが高額で経済的に大きな影響を与えるが、保険や契約で移転可能かつコスト対効果が見合う場合に選択します。
A2. リスクが高額で経済的に大きな影響を与えるが、保険や契約で移転可能かつコスト対効果が見合う場合に選択します。
Q3. 転嫁と共有(リスク分担)の違いは?
A3. 転嫁は第三者に負担を移すこと、共有は複数の当事者でリスクと影響を分担することで保険は典型的な転嫁です。
A3. 転嫁は第三者に負担を移すこと、共有は複数の当事者でリスクと影響を分担することで保険は典型的な転嫁です。
Q4. 保険加入と「軽減」を同時に行ってもよいですか?
A4. はい。発生確率を下げる軽減策と発生時の負担を減らす転嫁策は併用することでリスク対応の効果を高められます。
A4. はい。発生確率を下げる軽減策と発生時の負担を減らす転嫁策は併用することでリスク対応の効果を高められます。
関連キーワード: リスクマネジメント、PMBOK、リスク転嫁、保険、損害賠償、軽減、回避、受容

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