基本情報技術者 2016年 秋期 午前(科目A) 問70
問題文
技術のSカーブの説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:新しい技術の普及過程を示すものであり、その技術を応用した製品が市場に浸透すると、普及率の伸びが徐々に減少していくことを度数分布曲線で示す。
イ:技術の進歩の過程を示すものであり、当初は緩やかに進歩するが、やがて急激に進歩し、その後、緩やかに停滞していく過程を示す。(正解)
ウ:技術の成熟過程を示すものであり、新技術が実際に普及するまでの間、時間経過とともに変化する認知度の推移を示す。
エ:生産量と単位コストの関係を示すものであり、累積生産量が増加するに従い、単位コストが減少する過程を示す。
技術のSカーブの説明として、適切なものはどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→技術のSカーブは、時間軸で見た技術進歩の過程を示し、初期は緩やかで中盤に急速、末期に停滞する流れを表す。
- 根拠→S字形はロジスティック曲線で表現でき、成長率の変化(加速→ピーク→減速)から技術成熟度を判断できるため戦略に活用される。
- 差がつくポイント→Sカーブは普及率やコスト低下の曲線と混同されやすく、目的(進歩の速度把握か普及・コストの分析か)で適切に区別することが重要である。
正解の理由
正解は イ です。技術のSカーブは「技術の進歩の過程」を示す概念であり、時間経過に伴って技術改善の速度が「緩やか→急激→緩やかに停滞」する典型的なパターンを説明します。これはロジスティック関数などで表されるS字型の成長曲線そのものの定義に一致します。設問の選択肢イはこの概念を正しく記述しています。
よくある誤解
- 誤解1:Sカーブ=普及率の曲線(普及のS字)と同一視すること。普及曲線もS字を描く場合がありますが、設問の「技術の進歩(性能向上)」を示す意味とは区別が必要です。
- 誤解2:Sカーブ=コストと生産量の関係と考えること。累積生産とコストの関係は経験曲線・学習曲線の領域で、Sカーブの定義とは異なります。
- 誤解3:Sカーブが一度描かれたら終わりと考えること。技術交代や新技術導入で別のSカーブが重なり合う(技術の世代交代)が起こる点を忘れやすいです。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:「技術のSカーブ」「進歩の過程」など。
- 各選択肢が示す対象を分類する(進歩速度、普及率、認知度、コスト)。
- Sカーブの定義(初期緩慢→中盤急速→後期鈍化)と照らし合わせ、一致する選択肢を選ぶ。
- 残り選択肢が示す概念(普及曲線、認知度推移、経験曲線)と区別して誤りを確定する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 新しい技術の普及過程を示すものとしては部分的に正しいが、「普及率の伸びが徐々に減少していくことを度数分布曲線で示す」とある表現が不適切です。普及曲線もS字を描きますが、通常は累積普及率の時間推移を表し「度数分布曲線」とは異なります。
- イ: イ は正解です。技術の「進歩(性能や能力の向上)」が時間的に緩やか→急速→停滞する過程を正確に表しています。
- ウ: 「認知度の推移」を示すという説明はマーケティングの普及理論に近いですが、Sカーブが示す「技術の進歩過程」とは目的が異なります。したがって不適切です。
- エ: 生産量と単位コストの関係は「経験曲線(学習曲線)」や「経験則」に該当し、Sカーブの定義とは異なります。累積生産が増えると単位コストが下がるという説明は別概念の説明です。
補足コラム
- 数学的表現:Sカーブはロジスティック関数で表されることが多く、代表式は の形です。ここで は成長速度、 は成長の中点です。
- 戦略的意味:Sカーブの中盤で急成長期を捉えられるか、中盤後半で技術転換を検討できるかが企業戦略で重要です。複数のSカーブ(旧技術の成熟と新技術の立ち上がり)が重なることを想定しておくと現実の技術競争を読みやすくなります。
- 関連概念:普及のS字(diffusion)、学習曲線(経験曲線)、Gartnerのハイプサイクルとは焦点が異なるため使い分けが大切です。
FAQ
Q1: Sカーブと普及率のS字は同じですか?
A1: 似ていますが目的が異なります。Sカーブは「性能・進歩の速度」を示す概念、普及曲線は「採用・利用の広がり」を示します。文脈で区別しましょう。
A1: 似ていますが目的が異なります。Sカーブは「性能・進歩の速度」を示す概念、普及曲線は「採用・利用の広がり」を示します。文脈で区別しましょう。
Q2: エの経験曲線とSカーブは関連がありますか?
A2: 関連はありますが別概念です。経験曲線は累積生産に伴うコスト低下を表す経験則で、形はべき乗則や対数的減少を示すことが多く、一般にS字とは呼ばれません。
A2: 関連はありますが別概念です。経験曲線は累積生産に伴うコスト低下を表す経験則で、形はべき乗則や対数的減少を示すことが多く、一般にS字とは呼ばれません。
Q3: 試験ではどう見分ければいいですか?
A3: 「何を示すか(進歩・普及・コスト・認知)」をまず特定し、Sカーブの典型的挙動(遅い→速い→遅い)が記述されているか確認します。
A3: 「何を示すか(進歩・普及・コスト・認知)」をまず特定し、Sカーブの典型的挙動(遅い→速い→遅い)が記述されているか確認します。
Q4: ロジスティック関数のパラメータは何を意味しますか?
A4: が成長速度、 が成長の中心点(急成長が始まる時期)を表します。これにより異なるSカーブの形を比較できます。
A4: が成長速度、 が成長の中心点(急成長が始まる時期)を表します。これにより異なるSカーブの形を比較できます。
関連キーワード: 技術Sカーブ、技術進歩、イノベーション、ライフサイクル、学習曲線、拡散理論、ロジスティック関数

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