基本情報技術者 2016年 秋期 午前(科目A) 問76
問題文
マトリックス組織を説明したものはどれか。
選択肢
ア:業務遂行に必要な機能と利益責任を、製品別、顧客別又は地域別にもつことによって、自己完結的な経営活動が展開できる組織である。
イ:構成員が、自己の専門とする職能部門と特定の事業を遂行する部門の両方に所属する組織である。(正解)
ウ:購買・生産・販売財務など、仕事の専門性によって機能分化された部門をもつ組織である。
エ:特定の課題の下に各部門から専門家を集めて編成し、期間と目標を定めて活動する一時的かつ柔軟な組織である。
マトリックス組織を説明したものはどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:正解はイです。構成員が職能部門と特定事業(プロジェクト)部門の両方に所属する二重所属型の組織です。
- 根拠:マトリックス組織は専門性維持のための機能部門と事業推進のためのラインが交差し、二重の報告関係が生じる点が特徴です。
- 差がつくポイント:事業部制や機能別、期間限定のプロジェクト編成と混同しないこと。恒常的な二重所属と権限調整の仕組みが決め手です。
正解の理由
イは「構成員が、自己の専門とする職能部門と特定の事業を遂行する部門の両方に所属する組織である」と記述しており、これがマトリックス組織の定義に合致します。マトリックス組織は同一人物が機能(技術・人事・経理など)と事業・プロジェクトの両方の指示系統に従う「二重報告関係(dual reporting)」を基本とし、専門性維持と事業横断的な意思決定を両立させることを目的としています。そのため選択肢イが唯一正確に本質を表しています。
よくある誤解
- マトリックス組織を「一時的なプロジェクトチーム」と混同する:マトリックスは恒常的な二重所属を前提とすることが多く、短期タスクフォースとは異なります。
- 事業部制(製品・顧客・地域別)と同一視する:事業部制は各部門が自己完結的に利益責任を持つ点でマトリックスとは構造が異なります。
- 二重所属=混乱のみと考える:権限調整やコミュニケーションルールで有効活用すれば柔軟性と専門性の両立が可能です。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを拾う:「両方に所属」「職能部門」「特定の事業」を探す。
- 各選択肢をそれぞれの組織形態(事業部制、マトリックス、機能別、プロジェクトチーム)と照らし合わせる。
- 「二重報告」や「恒常的な両所属」を含む記述がある選択肢を正とする。
- 一時的/自己完結的/機能分化といった語は別組織の特徴なので速やかに除外する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 業務遂行に必要な機能と利益責任を、製品別、顧客別又は地域別にもつことによって、自己完結的な経営活動が展開できる組織である。
→ これは事業部制(ディビジョナル組織)の説明です。各事業部が利益責任を持ち自己完結的に運営される点が特徴で、二重所属の記述は含みません。よって誤りです。 -
イ: 構成員が、自己の専門とする職能部門と特定の事業を遂行する部門の両方に所属する組織である。
→ これはマトリックス組織そのものです。専門性維持のための機能と、事業やプロジェクトのラインが交差して二重報告関係を生む点を正確に表しています。正解です。 -
ウ: 購買・生産・販売・財務など、仕事の専門性によって機能分化された部門をもつ組織である。
→ これは機能別組織(ファンクショナル組織)の説明です。各機能ごとに部門が分かれ専門性を追求する構造で、マトリックスの「事業横断ラインとの両所属」は含みません。誤りです。 -
エ: 特定の課題の下に各部門から専門家を集めて編成し、期間と目標を定めて活動する一時的かつ柔軟な組織である。
→ これはプロジェクトチームやタスクフォースの説明です。短期的・目的別の一時編成であり、恒常的な二重所属を前提とするマトリックスとは異なります。誤りです。
補足コラム
- マトリックス組織の長所:専門性を保持しつつ事業横断的な資源配分が可能で、柔軟な対応やナレッジ共有が促進されます。
- 短所:二重報告による指示の対立や権限不明確さが生じやすく、調整コストとコミュニケーションコストが増加します。
- 種類:強マトリックス(プロジェクト側強め)、弱マトリックス(機能側強め)、バランス型があります。導入時は責任と報告ルールを明確にすることが重要です。
- 実務例:R&Dや複数製品ラインを持つ企業で、専門研究員が機能部門とプロジェクトチーム双方に属するケースが典型です。
FAQ
Q1. マトリックス組織は常に恒久的ですか?
A1. 必ずしも恒久的ではありませんが、マトリックスの特徴である「二重所属」は比較的持続的に設計されることが多く、一時的編成のプロジェクトチームとは区別されます。
A1. 必ずしも恒久的ではありませんが、マトリックスの特徴である「二重所属」は比較的持続的に設計されることが多く、一時的編成のプロジェクトチームとは区別されます。
Q2. 二重報告で指示が矛盾した場合はどうすればよいですか?
A2. 事前に優先順位・権限分配・調整ルールを明確化し、コンフリクト解消のための意思決定者(例:プロジェクト長や機能長)を定めることが実務上の対策です。
A2. 事前に優先順位・権限分配・調整ルールを明確化し、コンフリクト解消のための意思決定者(例:プロジェクト長や機能長)を定めることが実務上の対策です。
Q3. 試験で「二重所属」「職能と事業の交差」などの語が出たらどう判断すべきですか?
A3. それらはマトリックス組織の決定的なキーワードです。類似する表現でも二重所属が明示されていればマトリックスを疑ってください。
A3. それらはマトリックス組織の決定的なキーワードです。類似する表現でも二重所属が明示されていればマトリックスを疑ってください。
関連キーワード: マトリックス組織、二重所属、機能別組織、事業部制、プロジェクト組織、二重報告、組織形態、マトリックスマネジメント

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