基本情報技術者 2016年 秋期 午前(科目A) 問77
問題文
品質管理における検査特性曲線(OC曲線)は、通常、横軸にロットの不良率を、縦軸にはロットの合格率を目盛ったものである。大きさNのロットから、大きさnのサンプルを抜き取り、このサンプル中に見いだされた不良個数が合格判定個数c以下のときはロットを合格とし、cを超えたときはロットを不合格とする。Nとnを一定にしてcを0, 1, 2と変えたときの、OC曲線の変化の傾向を表す図はどれか。

選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
検査特性曲線(OC曲線)の変化【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→図はイ。許容不良個数cが大きくなるほど同じ不良率での合格確率が高くなり、曲線は右方へシフトします。
- 根拠→合格確率は二項分布の累積 であり、 増加で単調に増加します。
- 差がつくポイント→「右にシフト=合格確率が高い」を逆に解釈しないこと。減少曲線での横シフトの意味を正しく把握すること。
正解の理由
正解: イ
OC 曲線は横軸に不良率 、縦軸にロットの合格率 を取ります。合格判定はサンプル中の不良個数が 以下であることなので、合格確率は二項分布の上側累積( から までの和)で表されます。 を大きくすると和の項数が増えるため任意の に対して は増加します。
グラフは が増えると合格率が小さくなる「減少関数」として描かれるため、合格率が高い曲線は同じ形状を右に平行移動したように見えます。したがって「 が大きいほど右方へシフトする」図(イ)が正しい表現です。
よくある誤解
- 「右にシフト=合格率が下がる」と誤解する
減少曲線では右にシフトしている方が同じ横点での縦値(合格率)が高いことを押さえてください。 - 曲線が交差すると思い込む
固定の 、異なる では の範囲で合格確率の大小関係は一定であり、内部で交差しません(端点 は共通)。 - N(ロット全体サイズ)を無視してハイパージオメトリックになる場合を忘れる
実際は母集団が有限でサンプル比が大きければ二項近似ではなく超幾何分布を使う必要があります。
解法ステップ
- 合格確率の数学表現を思い出す:。
- が増えればその和は増える(単調増加)ことを確認する。
- 合格率が高い曲線は同一形状の「右方平行移動」に見えることを理解する。
- 選択肢のうち「cが大きいほど右へシフトしている」図を選ぶ(イ)。
選択肢別の誤答解説
- ア:ラベルでは が大きくなるほど左へシフトしている表現です。減少曲線で左にシフトすると同じ不良率で合格率が低くなるため、 増加と矛盾します。
- ウ:曲線が中央で交差しており、 の大小による単調な順序が崩れています。実際は内部で交差しないため誤りです。
- エ:交差後の並びが「 が大きいほど左寄り」となっており、これも 増加で合格率が上がるという性質に反します。
補足コラム
- 数式による直感:任意の固定 に対して、 なので を増やすと和は増えます。したがって大小関係は常に保存されます。
- 大サンプル近似: が大きい場合、二項分布の累積は正規近似で評価できます(中心極限定理)。これを使うとOC曲線は滑らかなS字型に近づきます。
- 生産者リスク(α)・消費者リスク(β):OC曲線は受入計画の良否を評価するためによく用いられ、AQL/LTPDと組み合わせて設計します。
例(Pythonでの簡単計算)
import math
from math import comb
def P_accept(p,n,c):
return sum(comb(n,k)*(p**k)*((1-p)**(n-k)) for k in range(c+1))
n=5
for c in (0,1,2):
print(c, [round(P_accept(p/10,n,c),3) for p in range(0,11,2)])
FAQ
Q1: なぜ曲線は左上で始まり右下で終わるのですか?
A1: 不良率 のとき必ず合格(合格率=1)、 のとき必ず不合格(合格率=0)だからです。
A1: 不良率 のとき必ず合格(合格率=1)、 のとき必ず不合格(合格率=0)だからです。
Q2: 曲線が交差することは絶対にないのですか?
A2: 固定の かつ同一の不良率変数 を考える場合、 の大小で合格確率の順序は保たれ、内部で交差しません(端点は共通)。
A2: 固定の かつ同一の不良率変数 を考える場合、 の大小で合格確率の順序は保たれ、内部で交差しません(端点は共通)。
Q3: N(ロットサイズ)を考慮するとどう変わりますか?
A3: N が有限でサンプル比が大きい場合は二項分布ではなく超幾何分布を使うと若干曲線が変わりますが、 増加で合格率が増える性質は変わりません。
A3: N が有限でサンプル比が大きい場合は二項分布ではなく超幾何分布を使うと若干曲線が変わりますが、 増加で合格率が増える性質は変わりません。
関連キーワード: 検査特性曲線、OC曲線、抜取検査、受入検査、二項分布、合格確率、AQL、LTPD、超幾何分布

\ せっかくなら /
基本情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

