基本情報技術者 2017年 秋期 午前(科目A) 問54
問題文
プロジェクトで発生した課題の傾向を分析するために、ステークホルダ、コスト、スケジュール、品質などの管理項目別の課題件数を棒グラフとして件数が多い順に並べ、この順で累積した課題件数を折れ線グラフとして重ね合わせた図を作成した。この図はどれか。
選択肢
ア:管理図
イ:散布図
ウ:特性要因図
エ:パレート図(正解)
管理項目別の課題件数を棒グラフと累積折れ線で示す図は何か【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:件数の多い順に並べた棒グラフに累積件数(比率)の折れ線を重ねる図はパレート図で、重要な少数を可視化します。
- 根拠:パレート図はカテゴリ別の値を降順の棒で示し、折れ線で各カテゴリまでの累積比率を表す構成で、原因の優先順位付けに適します。
- 差がつくポイント:棒を「降順に並べる」ことと「累積比率の折れ線」を必ず確認すること。管理図や散布図と混同しないでください。
正解の理由
設問の条件(カテゴリ別の件数を件数が多い順に並べた棒グラフと、その順に累積した件数を折れ線で重ね合わせる図)そのものがパレート図の定義に合致します。パレート図は「どのカテゴリが全体に対して大きな影響を与えているか(重要少数)」を短時間で把握するための可視化手法であり、棒グラフは個別件数、折れ線は累積比率を表します。よって正解はエ(パレート図)です。
よくある誤解
- 「累積線がある=管理図」と考える誤解:管理図は時系列での工程安定性監視に用いるもので、累積比率の折れ線を重ねた降順の棒グラフとは目的が異なります。
- 「単に棒が降順ならパレート図」とする誤認:降順の棒だけでは不十分で、累積比率の折れ線があることがパレート図の特徴です。
- 「特性要因図(魚骨図)や散布図と混同する」:原因の全体像把握と相関関係確認は別手法で、表示形式と目的で区別する必要があります。
解法ステップ
- 図の構成要素を確認:棒グラフと折れ線が重ねてあるかを確認する。
- 棒の並び順を確認:棒が「件数の多い順(降順)」に並んでいるかを確かめる。
- 折れ線の意味を確認:折れ線が各カテゴリまでの累積件数(または累積比率)を示しているか確認する。
- 目的を照合:重要な少数(上位カテゴリ)が全体に占める割合を把握する目的に合致すればパレート図と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 管理図 — 工程の安定性監視や管理限界を示す時系列グラフで、個別カテゴリの降順棒+累積線という構成ではありません。
- イ: 散布図 — 2変数間の相関を点で示す図で、棒グラフも累積折れ線も使いません。
- ウ: 特性要因図 — 魚の骨のような形で原因と結果の関係を整理する図で、頻度の降順棒や累積折れ線は含みません。
- エ: パレート図 — 棒を多い順に並べ、累積比率を折れ線で重ねる典型的な構成で、設問の条件に完全に一致します。
補足コラム
- パレート図は「80/20の法則(パレートの法則)」と関連し、上位少数の原因が大部分の問題を占めることを示すために使われます。実務では「上位2〜3項目に対策を集中する」判断を支援します。
- 累積比率の計算式例:各カテゴリの累積比率は で求めます。
- Excelでの簡単な作成手順:カテゴリごとの件数を集計→件数で降順ソート→棒グラフ挿入→累積比率列を追加して折れ線(第2軸)として重ねる。
- Pythonでの簡易例(pandas, matplotlib):
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
# サンプルデータ
df = pd.DataFrame({'項目':['A','B','C','D','E'],'件数':[50,30,10,7,3]})
df = df.sort_values('件数', ascending=False)
df['累積']=df['件数'].cumsum()
df['累積比率']=df['累積']/df['件数'].sum()*100
fig, ax1 = plt.subplots()
ax1.bar(df['項目'], df['件数'], color='tab:blue')
ax2 = ax1.twinx()
ax2.plot(df['項目'], df['累積比率'], color='tab:red', marker='o')
ax2.set_ylabel('累積比率 (%)')
ax1.set_ylabel('件数')
plt.show()
FAQ
- Q: パレート図とヒストグラムの違いは?
A: ヒストグラムは数値データの分布(階級ごとの度数)を示すのに対し、パレート図はカテゴリ別の値を降順で示し累積比率を重ねる点が異なります。 - Q: 降順に並べなくてもパレート図と言えますか?
A: 形式上は降順に並べることがパレート図の要件です。降順でない場合、優先順位付けの視認性が損なわれます。 - Q: 累積比率は必ず百分率で示すべきですか?
A: 百分率で示すのが一般的で視認性も高く、累積の到達度を直感的に把握できます。 - Q: パレート図はどんな場面で有効ですか?
A: 品質問題の原因特定、顧客クレームの頻度分析、プロジェクトの課題優先順位付けなど、優先的に対処すべき要素を絞る場面で有効です。
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