基本情報技術者 2019年 秋期 午前(科目A) 問53
問題文
ソフトウェア開発の見積方法の一つであるファンクションポイント法の説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:開発規模が分かっていることを前提として、工数と工期を見積もる方法である。ビジネス分野に限らず、全分野に適用可能である。
イ:過去に経験した類似のシステムについてのデータを基にして、システムの相違点を調べ、同じ部分については過去のデータを使い、異なった部分は経験から規模と工数を見積もる方法である。
ウ:システムの機能を入出力データ数やファイル数などによって定量的に計測し、複雑さとアプリケーションの特性による調整を行って、システム規模を見積もる方法である。(正解)
エ:単位作業量の基準値を決めておき、作業項目を単位作業項目まで分解し、その積算で全体の作業量を見積もる方法である。
🔒 解説は解答すると表示されます
ファンクションポイント法【午前解説】
正解の理由
ファンクションポイント法は、システムがユーザーに提供する「機能」を入出力データやファイルなどの観点で定量的に数え、その複雑さやアプリケーション特性で調整してシステム規模を算出する手法です。選択肢の中では、この特徴を正確に表しているのがウです。言い換えると、機能単位(例:外部入力、外部出力、内部論理ファイル 等)をカウントして重み付けし、調整係数を掛けて機能規模(ファンクションポイント)を得る点が本法の本質です。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを探す:「入出力データ数」「ファイル数」「複雑さによる調整」など、ファンクションポイントの特徴語を確認する。
- 各選択肢の手法が何を前提にするか判断する:過去の類似データに依存する類推法、作業分解して足し合わせるボトムアップ、機能を数えるFP法などに分類する。
- キーワードと照合して最も一致する選択肢を選ぶ(今回は機能の定量計測と調整というFPの説明に一致する選択肢を選ぶ)。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「開発規模が分かっていることを前提に工数と工期を見積もる」「全分野に適用可能」とあるが、これはファンクションポイントの説明ではありません。規模が既知という前提は逆で、FPは規模(機能サイズ)を算出するために用います。従って誤りです。
- イ: 類似システムの過去データを流用して見積る方法は「類推見積り(類似見積り)」の説明です。過去データの「同じ部分は使い、異なる部分は経験で見積る」という記述は類推法の特徴で、FPとは別手法です。
- エ: 作業項目を単位作業まで分解して積算するのは「ボトムアップ見積り(作業分解・積算)」の説明です。FPは機能の数え上げに基づく規模推定であり、作業分解とは異なります。
よくある誤解
- FPは「ソース行数(LOC)を数える代わり」のものだが、FP自体は言語に依存しない機能規模であって、直接的に工数ではない。工数にするには過去の生産性(FP/人月など)で換算する必要があります。
- 「FPは全分野に万能」という誤解。業務系アプリケーションには有効ですが、リアルタイム処理や組込みのアルゴリズム重視のシステムには COSMIC など別のFP派生手法の方が適する場合があります。
- UFP と調整を混同する:まず未調整ファンクションポイント(UFP)を算出し、次に全体特性で調整して最終値を得る流れを忘れがちです。
補足コラム
代表的なFP算出の流れ(IFPUG準拠の一般的手順):
- 機能タイプを識別:内部論理ファイル(ILF)、外部インターフェースファイル(EIF)、外部入力(EI)、外部出力(EO)、外部照会(EQ)。
- 各機能の複雑さ(低・中・高)に基づく重みを掛けて未調整FP(UFP)を算出。
- 14項目程度の一般システム特性(操作性、性能、再利用性等)を0〜5で評価し合計値TDIを得る。
- 調整係数(VAF) = を計算し、最終ファンクションポイント = UFP × VAF。
簡単な例:UFP = 40、TDI = 28 の場合、VAF = 、調整後FP = 。
派生情報として、IFPUG以外に COSMIC (リアルタイム/組込み向け)や NESMA などの手法もあります。FPは早期の段階でも適用でき、履歴があれば精度を高められるため見積管理に有用です。
派生情報として、IFPUG以外に COSMIC (リアルタイム/組込み向け)や NESMA などの手法もあります。FPは早期の段階でも適用でき、履歴があれば精度を高められるため見積管理に有用です。
FAQ
Q1: LOC(ソース行数)と比べてFPの利点は?
A1: FPはユーザー視点の機能量を測るため、使用言語に依存せず設計段階でも算出可能で、言語による差を排除して比較や生産性分析に適しています。
A1: FPはユーザー視点の機能量を測るため、使用言語に依存せず設計段階でも算出可能で、言語による差を排除して比較や生産性分析に適しています。
Q2: FPだけで工数は出せますか?
A2: 直接は出せません。FPを工数に変換するには組織やプロジェクトの過去の生産性(例:FP/人月)を用いて換算します。
A2: 直接は出せません。FPを工数に変換するには組織やプロジェクトの過去の生産性(例:FP/人月)を用いて換算します。
Q3: リアルタイムや組込みシステムに適用できますか?
A3: 標準FPは業務系向けです。リアルタイム処理やイベント駆動の組込み系は COSMIC 等、別手法が適する場合があります。
A3: 標準FPは業務系向けです。リアルタイム処理やイベント駆動の組込み系は COSMIC 等、別手法が適する場合があります。
Q4: 自動計測ツールはありますか?
A4: ありますが、FPは仕様の読み取りや機能の正しい分類が重要なので、ツール結果をレビューして補正する運用が一般的です。
A4: ありますが、FPは仕様の読み取りや機能の正しい分類が重要なので、ツール結果をレビューして補正する運用が一般的です。
関連キーワード: ファンクションポイント、UFP、VAF、ILF、EIF、EI、EO、EQ、見積り手法、類推見積り、ボトムアップ見積り、COSMIC、生産性分析

\ せっかくなら /
基本情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

