情報セキュリティマネジメント 2016年 秋期 午前(科目A) 問42
問題文
あるデータセンタでは、受発注管理システムの運用サービスを提供している。次の“受発注管理システムの運用中の事象”において、インシデントに該当するものはどれか。
〔受発注管理システムの運用中の事象〕
夜間バッチ処理において、注文トランザクションデータから注文書を出力するプログラムが異常終了した。異常終了を検知した運用担当者から連絡を受けた保守担当者は、緊急出社してサービスを回復し、後日、異常終了の原因となったプログラムの誤りを修正した。
選択肢
ア:異常終了の検知
イ:プログラムの誤り
ウ:プログラムの異常終了(正解)
エ:保守担当者の緊急出社
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インシデントの範囲判断【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
インシデント(incident:情報資産の機密性・完全性・可用性に影響を与える事象)という観点では、システムの「正常なサービス提供が妨げられる事実」が該当します。問題の事例では、夜間バッチの一部分で注文書が出力されないというサービス停止が起きています。これは「プログラムの異常終了」によって可用性(サービスを利用できる状態)が損なわれた事象にあたるため、選択肢のうち ウ がインシデントに該当します。
ここで注目すべきは「出来事そのもの(異常終了)」がインシデントであり、原因(プログラムの誤り)や検知・対応行為(検知、緊急出社)はインシデントそのものではない点です。
※バッチ処理(複数の処理をまとめて順次自動実行する仕組み)で注文書出力が止まれば、業務に直接影響します。これがインシデント判断の理由です。
解法ステップ
- 「インシデント」の定義を確認する:機密性・完全性・可用性のいずれかに影響する事象を指す。
- 事象を分類する:出来事そのもの(障害・異常)か、その原因か、または検知・対応行為かを見分ける。
- 選択肢を照らし合わせる:出来事そのものが含まれる選択肢を選ぶ。
- 業務影響の有無を確認する:サービス停止や業務不能があればインシデントと判断しやすい。
この問題では「プログラムの異常終了」が直接サービスの停止を招いたため正解になります。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 異常終了の検知
検知(運用担当者が異常を見つけて連絡した行為)はインシデントの発見手段・運用プロセスです。検知自体は出来事ではなく、その結果に対する行為なのでインシデントそのものではありません。 -
イ: プログラムの誤り
プログラムの誤り(バグ)はインシデントの「原因(根本原因)」です。原因自体は将来の発生源になり得ますが、インシデントと呼ぶときは通常「実際に影響が出た事象」を指します。よって単に誤りが存在することは今回の設問で求められる「インシデント」ではありません。 -
ウ: プログラムの異常終了
これは実際に発生した出来事で、システムの可用性を低下させています。注文書が出力されないという業務影響が生じているため、インシデントに該当します。したがって本問の正解は ウ です。 -
エ: 保守担当者の緊急出社
緊急出社は対応行為・人的アクションです。インシデント対応の一部として評価・復旧を行う行為であり、インシデントそのものではありません。
よくある誤解
-
「原因=インシデント」と誤解する
原因(バグや脆弱性)は問題の元ですが、インシデントは実際に影響が発生した出来事を指します。原因は「なぜ起きたか」を説明する対象です。 -
「検知や対応もインシデント」と考える
検知・通報・復旧活動はインシデント対応です。インシデントそのものは、まず「何が起きたか(例:異常終了で出力停止)」を特定することです。 -
「セキュリティ以外のトラブルはインシデントに含めない」と思う
情報セキュリティのインシデントは必ずしも不正アクセスだけではありません。システム障害や操作ミスによる可用性低下も対象になります。
補足コラム
- インシデントと障害(障害=サービスや機器の故障で業務に影響が出る事象)は重なることが多いですが、用語の使い分けに注意してください。情報セキュリティの場では「インシデント」はセキュリティの観点(機密性・完全性・可用性)で影響を評価します。
- 実務では、今回のような夜間バッチの異常は「インシデント登録(チケット化)→緊急対応→復旧→原因分析(RCA:Root Cause Analysis)→恒久対策」までワンセットで運用します。ログ保存や関係者への報告が重要です。
FAQ
Q1: 検知だけでもインシデントとして報告すべきですか?
A1: 検知した時点で業務に影響が出ている、または出る可能性があるならインシデント登録して調査を開始します。検知が単なる誤アラートならインシデント扱いを解除できます。
A1: 検知した時点で業務に影響が出ている、または出る可能性があるならインシデント登録して調査を開始します。検知が単なる誤アラートならインシデント扱いを解除できます。
Q2: 根本原因が分からないとインシデントにできない?
A2: いいえ。発生した事象(例:出力停止)が確認できれば、原因不明でもインシデントとして扱い、調査と復旧を進めます。原因分析はその後で行います。
A2: いいえ。発生した事象(例:出力停止)が確認できれば、原因不明でもインシデントとして扱い、調査と復旧を進めます。原因分析はその後で行います。
Q3: 緊急出社や復旧作業を行ったらそれはインシデントの一部ですか?
A3: はい。緊急出社や復旧はインシデント対応です。インシデント自体は「起きた事象」であり、対応はその対処プロセスです。
A3: はい。緊急出社や復旧はインシデント対応です。インシデント自体は「起きた事象」であり、対応はその対処プロセスです。
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