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情報セキュリティマネジメント 2016年 秋期 午前(科目A)43


問題文

メールサーバのディスクに障害が発生して多数の電子メールが消失した。消失した電子メールの復旧を試みたが、2週間ごとに行っている磁気テープへのフルバックアップしかなかったので、最後のフルバックアップ以降1週間分の電子メールが回復できなかった。そこで、今後は前日の状態までは復旧できるようにしたい。対応策として、適切なものはどれか。

選択肢

2週間ごとの磁気テープへのフルバックアップに加え、毎日、磁気テープへの差分バックアップを行う。(正解)
電子メールを複数のディスクに分散して蓄積する。
バックアップ方法は今のままとして、メールサーバのディスクをミラーリングするようにし、信頼性を高める。
毎日、メールサーバのディスクにフルバックアップを行い、2週間ごとに、バックアップしたデータを磁気テープにコピーして保管する。

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差分バックアップ運用【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

メールサーバの「前日の状態まで復旧したい」という要望は、復旧時点の最新データ(RPO=1日)を確保することが目的です。バックアップ(データの複製保存)にはフルバックアップ(full backup:すべてのデータを保存)と差分バックアップ(differential backup:最後のフルバックアップ以降に変わったデータだけを保存)があります。選択肢のうち、(2週間ごとのフルバックアップに加え毎日磁気テープへの差分バックアップ)は、復旧時に「最後のフル」+「最新の差分」だけで復元できるため、前日の状態まで確実かつ迅速に戻せます。差分はフルからの差分だけを持つため、復旧に必要なテープ数・時間が少なく実務的です。

解法ステップ

  1. 要件を整理:復旧目標(RPO)=「前日まで戻せる(1日)」であることを確認する。RPO=Recovery Point Objective(復旧時に許容するデータ損失の最大時間)。
  2. 各選択肢がRPOを満たすか検討する。
  3. 同時に、復旧手順(必要なメディア数・復旧時間=RTO)や運用負荷(作業量・テープ消費)も評価する。
  4. 「最小の手順で前日の状態に戻せる」方式を採択する。
この観点から、フル+毎日の差分が最も手軽で確実です。

選択肢別の誤答解説

  • :正解。2週間ごとのフルと毎日の差分なら、復旧は「最後のフル」+「最新の差分」で済むため、前日分まで復旧可能。差分は前回のフル以降の差分なので、テープ数も復旧時間も抑えられる。
  • イ:電子メールを複数のディスクに分散して蓄積する、は単に保管場所を分散するだけで「バックアップ」にはならない。分散の仕方によっては単一障害点を減らせるが、誤削除や論理障害(データ破損)では分散先にも影響が及ぶ。要件の「前日まで復旧」には不十分。
  • ウ:メールサーバのディスクをミラーリング(mirroring、RAID 1等)するとディスク故障時の可用性は上がるが、誤削除やデータ消失が発生した場合はミラー側にも同じ状態が反映されるため、過去の状態への復旧(RPO=1日)はできない。ミラーリングはバックアップの代替にはならない。
  • エ:毎日フルバックアップを行い、2週間ごとに磁気テープへコピーする案は一見よいが、磁気テープに保管される頻度が2週間に一度だと、外部保管やテープ管理の観点で運用ミスが発生しやすい。さらに「2週間ごとのコピー」が何を意味するか運用次第でリスクが残る。運用コスト(毎日フルは容量と時間が大きい)も高い。

よくある誤解

  • 差分バックアップ=増分バックアップと思い込む
    → 差分(differential)は最後のフル以降の差分全体を保存します。増分(incremental)は直前のバックアップ以降の差分だけを保存します。復旧時に必要なメディア数や手順が変わります。
  • ミラーリングがあればバックアップ不要と考える
    → ミラーは可用性(障害時の継続)を高めますが、誤削除やウイルスによる削除、管理ミスの巻き戻しには無力です。バックアップは別に必要です。
  • テープは古くてダメという先入観
    → 運用次第でテープはコスト効率が良く、オフライン保管(ネットワークから隔離)による安全性を提供します。大切なのは運用と検証です。

補足コラム

  • 差分と増分の選択肢の比較(運用イメージ)
    • 差分:復旧は「最後のフル」+「最新差分」。復旧が速く操作が少ない。差分データは日数が経つほど大きくなる(フルからの累積差分)。
    • 増分:復旧は「最後のフル」+「全ての増分(当日まで)」が必要。バックアップは小さいが、復旧に時間がかかり、途中のメディアが欠けると復旧不可になるリスクがある。
  • 実務上の運用例(現場での一言イメージ)
    • 毎晩自動で差分バックアップを実行し、担当者または自動で週に一度は差分の整合性を検証する。週次あるいは隔週でフルを取得し、テープはラベリングして暗号化した上でオフサイト保管する。
  • さらに安全にするには
    • 差分をまずディスクに保存し、定期的にテープ/オフサイトへ移す。
    • バックアップの暗号化、メディアの耐久管理、定期的なリストアテストを必須にする。

FAQ

Q: 差分バックアップはテープに毎日取らないとダメですか?
A: 必要なRPOに合わせて決めます。質問の要件(前日まで復旧)であれば「毎日差分」を取るのが確実です。差分をまず安価なディスクに取り、夜間や週次でテープへ移す運用も現実的です。
Q: 増分バックアップにして容量を節約した方が良い?
A: 増分はバックアップ自体は小さく効率的ですが、復旧時に複数の増分を順に適用する必要があり、復旧時間とリスクが増えます。業務で「短時間で確実に復旧したい」なら差分が扱いやすいです。
Q: ミラーリングは全く不要?
A: ミラーリングは「可用性向上(ディスク故障に備える)」として有用です。ただし、バックアップとは別に運用してください。両方併用するのが望ましい設計です。

関連キーワード: バックアップ, 差分バックアップ, 増分バックアップ, フルバックアップ, ミラーリング, RAID, テープバックアップ, 復旧手順, リストアテスト, RPO, RTO, 災害対策
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