情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A) 問13
問題文
クライアントとWebサーバの間において、クライアントからWebサーバに送信されたデータを検査して、SQLインジェクションなどの攻撃を遮断するためのものはどれか。
選択肢
ア:SSL-VPN機能
イ:WAF(正解)
ウ:クラスタ構成
エ:ロードバランシング機能
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Webアプリケーションファイアウォール【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
クライアントからWebサーバへ送られるHTTP/HTTPSのリクエストを中身まで検査し、SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング:悪意あるスクリプト挿入)などの攻撃パターンを検出・遮断する装置やソフトウェアは、WAF(Web Application Firewall:ウェブアプリケーションファイアウォール)です。したがって選択肢のうち イ が正解です。
WAFは「アプリケーション層(HTTP/HTTPS)に特化して不正な入力や振る舞いを見つける」仕組みです。SQLインジェクションは送信データ内の不正なSQL文や特殊文字列を狙う攻撃なので、WAFのルールで検出して遮断できます。
解法ステップ
- 問題で求められている機能を確認:クライアント→Webサーバの通信内容を検査してSQLインジェクション等を遮断する。
- 各選択肢の役割を思い出す:
- SSL-VPN:リモート接続の暗号化・接続管理(トンネル)
- WAF:Web(HTTP/HTTPS)トラフィックの内容検査・遮断
- クラスタ構成:可用性・冗長化のための複数台連携
- ロードバランシング:負荷分散(トラフィック振り分け)
- 内容検査と遮断を行うものはWAFだけなので、イ を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: SSL-VPN機能
- SSL-VPN(Secure Sockets Layer Virtual Private Network:インターネット経由で安全に社内ネットワークへ接続する仕組み)は通信を暗号化して安全に接続するためのもので、通信内容の検査・攻撃パターンの遮断を主目的としません。従ってSQLインジェクションの検出・遮断には直接使えません。
- イ: WAF
- 正解。Webアプリケーション向けにHTTP/HTTPSのリクエスト本文やパラメータを解析し、不正な入力をブロックします。
- ウ: クラスタ構成
- クラスタは複数のサーバで処理を分担したり冗長化する構成です。可用性や耐障害性を高めますが、通信内容の検査や攻撃遮断の役割はありません。
- エ: ロードバランシング機能
- ロードバランサはリクエストを複数サーバに振り分ける機能で、性能や可用性向上が目的です。一部のロードバランサは簡易的なヘルスチェックやレイヤー7の振り分けを行えますが、SQLインジェクションのような攻撃検出・遮断はWAFの専門領域です。
よくある誤解
- WAFとロードバランサは同じものだと思う誤解
- 両者は配備場所が似ていることがあります(例:ネットワークの入り口)が、目的が違います。ロードバランサは「どのサーバに送るか」を決め、WAFは「そのリクエストが安全か」を判定します。
- SSL-VPNやTLSで暗号化されているとWAFが使えないと思う誤解
- WAFで検査するには通信を復号(TLS終端)できる必要があります。多くのWAFはTLS終端(SSLオフロード)機能を持ち、復号して検査します。復号しないと中身は見えないため検査できません。
- WAFで全ての攻撃が完全に防げると思う誤解
- WAFは強力ですが、誤検知(正当なリクエストを遮断)や検知漏れ(未知の攻撃や巧妙な回避手法)があります。アプリケーションの安全設計(入力検証やパラメータ化されたSQLなど)と組み合わせる必要があります。
補足コラム
- WAFの検査方式には大きく2種類あります:
- ホワイトリスト型(ポジティブセキュリティモデル):許可された入力のみ受け付ける。誤検知は少ないが運用コストが高い。
- ブラックリスト型(ネガティブセキュリティモデル):既知の悪意あるパターンをブロックする。簡単だが未知攻撃に弱い。
- 配置例と運用イメージ:社内でWeb公開する場合、WAFをDMZ(公開サーバ群が置かれる中間ネットワーク)にリバースプロキシとして置きます。WAFはログを出すので、定期的にログ確認・ルール更新を行い、本番へ適用する前にステージングでテストします。
- WAFとIPS(Intrusion Prevention System:侵入防止システム)の違い:IPSはネットワーク層・トラフィック全体を監視して既知の攻撃を防ぐのが主目的で、WAFはアプリケーション層(HTTP/HTTPS)に特化して深い検査を行います。
FAQ
Q. HTTPSでもWAFは有効ですか?
A. 有効です。ただしWAFが通信内容を検査するにはTLS(旧SSL)を復号する必要があります。WAFでTLS終端(暗号の解除)を行う方法や、サーバ側で証明書を共有して復号する方式があります。
A. 有効です。ただしWAFが通信内容を検査するにはTLS(旧SSL)を復号する必要があります。WAFでTLS終端(暗号の解除)を行う方法や、サーバ側で証明書を共有して復号する方式があります。
Q. WAFだけで安全になりますか?
A. いいえ。WAFは防御の一層(レイヤー)です。アプリケーション側での入力検証、SQLのパラメータ化(プレースホルダの利用)、脆弱性対策を併せて行う必要があります。
A. いいえ。WAFは防御の一層(レイヤー)です。アプリケーション側での入力検証、SQLのパラメータ化(プレースホルダの利用)、脆弱性対策を併せて行う必要があります。
Q. クラウドのWebサービスでもWAFは使うべきですか?
A. はい。多くのクラウドプロバイダはマネージドWAFサービスを提供しています。クラウド環境でもアプリケーション層の攻撃対策は必要です。
A. はい。多くのクラウドプロバイダはマネージドWAFサービスを提供しています。クラウド環境でもアプリケーション層の攻撃対策は必要です。
関連キーワード: WAF、Webアプリケーション、SQLインジェクション、XSS、TLS復号、リバースプロキシ、セキュリティ運用、ブラックリスト、ホワイトリスト、IPS

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