情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A) 問38
問題文
従業員の守秘義務について、“情報セキュリティ管理基準“に基づいて監査を行った。指摘事項に該当するものはどれか。
選択肢
ア:雇用の終了をもって守秘義務が解除されることが、雇用契約に定められている。(正解)
イ:定められた勤務時間以外においても守秘義務を負うことが、雇用契約に定められている。
ウ:定められた守秘義務を果たさなかった場合、相応の措置がとられることが、雇用契約に定められている。
エ:定められた内容の守秘義務契約書に署名することが、雇用契約に定められている。
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従業員の守秘義務【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
監査で指摘すべき事項は、雇用の終了で守秘義務が消えると定めている点です。選択肢の ア は「雇用終了で守秘義務が解除される」と明記しており、情報セキュリティ管理の基準では不適切です。
守秘義務(企業が保持する秘密情報を外部に漏らさない義務)は、退職後も継続するのが原則です。退職時に業務上の機密が第三者に渡ると重大な被害につながるため、管理基準では「秘密保持は退職後も継続する」旨を求めます。したがって、雇用契約に退職で解除される旨を記すこと自体が監査の指摘対象になります。
守秘義務(企業が保持する秘密情報を外部に漏らさない義務)は、退職後も継続するのが原則です。退職時に業務上の機密が第三者に渡ると重大な被害につながるため、管理基準では「秘密保持は退職後も継続する」旨を求めます。したがって、雇用契約に退職で解除される旨を記すこと自体が監査の指摘対象になります。
(注)ここで言うNDAは NDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)のことを指します。
解法ステップ
- 各選択肢が「守秘義務の範囲や期間」をどう定めているかを読む。
- 情報セキュリティ管理基準の基本を思い出す:重要情報は社外流出を防ぐため、必要に応じて退職後も保護すべき。
- 「退職で解除する」と明記しているものは基準に反する可能性が高い。該当選択肢を選ぶ。
- 他の選択肢が合理的かどうか(勤務時間外の適用、違反時の措置、署名の義務付け)を確認して除外する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 雇用終了をもって守秘義務が解除されるとすると、退職者が機密を自由に扱えることになり、重大な情報漏えいリスクが生じます。監査基準では通常、退職後も守秘義務が残ることが求められるため指摘対象です。
- イ: 勤務時間外でも守秘義務を課す定めは一般的で妥当です。業務上知り得た情報を私的に利用・開示することを防ぐ目的があります。ただし、私生活を過度に制限する内容は問題になるため、範囲は業務関連情報に限定する必要があります。
- ウ: 守秘義務違反時に相応の措置を定めることは適切です。懲戒や損害賠償請求などの規定があることは管理面で望ましいため、監査での指摘事項ではありません。
- エ: 守秘義務契約書への署名を雇用契約で求めることは一般的で有効です。署名により従業員が内容を認識した証拠となり、運用上も重要です。
よくある誤解
- 退職したら「すべての秘密情報を使ってよい」と思い込むこと:退職後も守るべき情報は多くあります。特に取引先の名簿や設計図などは長期的に保護が必要です。
- NDAに一度サインすれば教育は不要:署名は重要ですが、守秘すべき具体的情報や例外を従業員に繰り返し教育することが必要です。
- 守秘義務と競業禁止を混同すること:守秘義務は情報の漏えい防止、競業禁止は退職後の職業活動制限であり目的や法的扱いが異なります。
補足コラム
- 期間の扱い:一般的な内部情報は数年の保護で十分な場合が多いですが、営業秘密(trade secret)に相当する情報は不正競争防止法上、長期・無期限で保護され得ます。法律上の保護と契約上の定めは別の観点がありますが、監査では「退職後も必要な期間は守秘義務が存続する」ことを確認します。
- 実務的運用例:退職手続きでのチェックリストに「機密情報の返却」「社内アカウントの停止」「守秘義務の再確認(文書で確認)」を入れると運用が安定します。人事と情報システムが協力して実行するのが現実的です。
- 契約文の書き方のヒント:
- 「守秘義務は退職後も存続する」旨を明示する。
- 対象情報の定義(何が秘密か)を具体化する。
- 守秘義務の存続期間を合理的に設定する(例:重要情報は無期限、その他は3年等)。
- 返却・消去の手続きを定める。
FAQ
Q1: 守秘義務を永続的に定めることは違法ですか?
A1: 永続的な守秘義務が直ちに違法とは限りませんが、過度に広い内容や私生活を不当に制約する場合は無効と判断されることがあります。重要なのは「対象情報の具体化」と「合理的な範囲・目的」です。
A1: 永続的な守秘義務が直ちに違法とは限りませんが、過度に広い内容や私生活を不当に制約する場合は無効と判断されることがあります。重要なのは「対象情報の具体化」と「合理的な範囲・目的」です。
Q2: 退職後に元従業員が情報を漏らしたらどうなる?
A2: まず事実確認を行い、民事(損害賠償、差止請求)や、場合によっては不正競争防止法に基づく刑事手続きが検討されます。早期に証拠保全と調査を行うことが重要です。
A2: まず事実確認を行い、民事(損害賠償、差止請求)や、場合によっては不正競争防止法に基づく刑事手続きが検討されます。早期に証拠保全と調査を行うことが重要です。
Q3: 雇用契約に署名を求めるだけで十分ですか?
A3: 署名は必要ですが十分ではありません。定期的な教育、退職時の手続き、実務でのアクセス管理など運用面が伴って初めて有効になります。
A3: 署名は必要ですが十分ではありません。定期的な教育、退職時の手続き、実務でのアクセス管理など運用面が伴って初めて有効になります。
Q4: 勤務時間外の私的な会話まで規制できますか?
A4: 業務上知り得た情報の開示は制限できますが、個人の私生活全般を不当に制限することはできません。規定は「業務関連情報の保持・不開示」に限定するのが適切です。
A4: 業務上知り得た情報の開示は制限できますが、個人の私生活全般を不当に制限することはできません。規定は「業務関連情報の保持・不開示」に限定するのが適切です。
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