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情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A)41


問題文

事業継続計画で用いられる用語であり、インシデントの発生後、次のいずれかの事項までに要する時間を表すものはどれか。
(1) 製品又はサービスが再開される。 (2) 事業活動が再開される。 (3) 資源が復旧される。

選択肢

MTBF
MTTR
RPO
RTO(正解)

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復旧時間目標【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

選択肢のRTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)は、インシデント発生後に業務やサービスを再開するまでに許容される「最大の時間」を示す指標です。設問の(1)製品・サービスの再開、(2)事業活動の再開、(3)資源(人・設備・システムなど)の復旧のいずれかまでに要する時間という定義は、まさにRTOの対象となります。RTOは「いつまでに復旧すべきか」を示す経営的な目標値であり、これが正解になります。
(ここで初出の用語)
  • RTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)…業務やサービスの中断から復旧までの許容時間
  • RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)…許容できる最大のデータ消失時間
  • MTTR(Mean Time To Repair/Recover:平均修理(復旧)時間)…故障から修理完了までの平均時間
  • MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)…故障と次の故障までの平均時間

解法ステップ

  1. 各選択肢の定義を確認する(RTO, RPO, MTTR, MTBF)。
  2. 設問は「インシデント後、ある事象(再開・復旧)までに要する時間」を問うている点を把握する。
  3. 「要する時間を表す」かつ「事業やサービスの再開まで」を指す用語はRTOであると照合する。
  4. よって選択肢が該当する。
簡単な覚え方:RTO = Time(時間)でOperation(業務)を再開する目標。RPO = Point(時点)でデータを戻す許容点。

選択肢別の誤答解説

  • ア: MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)
    • 装置やシステムが「故障と故障の間に平均どれだけ動くか」を示す信頼性の指標です。故障の頻度・耐久性に関する指標で、復旧までの時間を示すものではありません。
  • イ: MTTR(Mean Time To Repair/Recover:平均修理(復旧)時間)
    • 故障発生から修理完了までの技術的な平均時間を指します。サーバの部品交換や修理などの工数が中心で、業務レベルでの「いつまでにサービスを再開するか(経営目標)」を示すRTOとは役割が異なります。運用チームの性能指標として使います。
  • ウ: RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)
    • どの時点までのデータを復元できればよいか、つまり「どれだけのデータ消失を許容するか」を時間で表します。データの損失量(時間)に関する指標で、業務再開のタイミング(RTO)とは別の観点です。
  • エ: RTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)
    • 業務・サービス・資源の復旧までに要する時間の目標を表すため、この設問に合致します。

よくある誤解

  1. 「MTTRがそのままRTOだ」と考える誤り
    • MTTRは主に技術的な修理時間の平均で、RTOはビジネスの視点で設定する目標です。例えば「部品交換に2時間かかる(MTTR)」でも、業務の優先度によりRTOは1時間(代替手段で業務継続)に設定されることがあります。
  2. RPOとRTOを同じものだと混同する
    • RPOは「どの時点のデータに戻すか(データ損失の許容)」、RTOは「いつまでに業務を再開するか(時間)」です。目的が違うので、両方を別々に設定・運用する必要があります。
  3. RTOは「完全に元どおりに戻す時間」と思う誤り
    • RTOは「許容される復旧完了の目標タイム」です。復旧レベルを段階的に定め(限定機能で早期復旧 → 完全復旧は後日)、短いRTOを達成することもあります。

補足コラム

現場での運用イメージ:
  • 事業部が「顧客対応は4時間以内に再開しなければ損失が大きい」と判断すれば、そのサービスのRTOは4時間になります。IT部門はそのRTOを満たすために代替手段(予備サーバ、クラウドフェイルオーバー、簡易業務プロセス)を用意します。
  • RTOの決め方はBIA(Business Impact Analysis:業務影響分析)で始めます。影響度(売上、顧客への影響、法的影響など)に基づき、サービス毎にRTOとRPOを設定します。
  • 実務的にはRTOはSLA(サービスレベル契約)や委託先管理(外部ベンダーとの契約)にも反映されます。ドリル(訓練)で想定通りの復旧ができるか確認することが重要です。

FAQ

Q: RTOはインシデント検知から計るのですか?それとも宣言から?
A: 原則は業務中断が発生した時点(インシデント発生時)から計測します。ただし組織内の「災害宣言」など運用ルールによって計測開始を宣言時点にする場合もあるため、運用規程で明確にしておく必要があります。
Q: RPOが短ければRTOも短くしなければいけませんか?
A: 両者は別の要件です。ただし非常に短いRPO(データ損失をほとんど許容しない)を設定すると、そのデータ同期・復旧手順が複雑になり、RTOにも影響します。現実的にはRPOとRTOのバランスとコストを考えて決めます。
Q: 誰がRTOを決めるべきですか?
A: 事業部(業務オーナー)と経営層がビジネス影響を評価し、ITや委託先と協議して実現可能なRTOを決定します。IT部門は達成手段とコストを提示します。

関連キーワード: 事業継続計画(BCP)、復旧時間目標、RTO、RPO、MTTR、MTBF、BIA、バックアップ、DRP、SLA
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