情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A) 問47
問題文
IPv4において、インターネット接続用ルータのNAT機能の説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:インターネットへのアクセスをキャッシュしておくことによって、その後に同じIPアドレスのWebサイトへアクセスする場合、表示を高速化できる機能である。
イ:通信中のIPパケットを検査して、インターネットからの攻撃や侵入を検知する機能である。
ウ:特定の端末宛てでのIPパケットだけを通過させる機能である。
エ:プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する機能である。(正解)
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アドレス変換(NAT)【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
NATは、NAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)という技術で、社内などで使われるプライベートIPアドレス(社内でのみ有効なIPアドレス。RFC1918で定められる範囲)と、インターネットで使われるグローバルIPアドレス(世界で一つの住所のような番号)を相互に変換する仕組みです。したがって選択肢のうち、プライベートIPとグローバルIPを相互に変換すると説明している エ が正しい説明です。
NATは、社内の多数の端末が限られたグローバルIPアドレスを共有してインターネットに接続するためによく使われます。
NATは、社内の多数の端末が限られたグローバルIPアドレスを共有してインターネットに接続するためによく使われます。
解法ステップ
- 問題文で注目する語句を見つける(今回は「NAT」)。
- NATの意味を思い出す。NAT = Network Address Translation(アドレス変換)。
- 各選択肢をNATの定義に照らして照合する。
- ア:これはキャッシュによる高速化(プロキシやキャッシュサーバ)の説明でありNATではない。
- イ:通信の検査で攻撃検知するのはIDS/IPSやファイアウォールの役割。
- ウ:特定端末宛のみ通すのはフィルタリング/ACLの話。
- エ:プライベートとグローバルの相互変換はNATそのもの。
- 最も該当する記述を選ぶ(エ)。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「インターネットへのアクセスをキャッシュして表示を高速化する機能」
→ これはキャッシュサーバやプロキシの説明です。NATはパケットの送信元/宛先のIPを書き換える機能で、コンテンツの保存や表示高速化とは関係ありません。 -
イ: 「通信中のIPパケットを検査して攻撃や侵入を検知する機能」
→ これはIDS(Intrusion Detection System:侵入検知システム)やIPS(Intrusion Prevention System:侵入防止システム)、または高度なファイアウォールの機能です。NATは検査して検知する目的の機能ではありません。 -
ウ: 「特定の端末宛てでのIPパケットだけを通過させる機能」
→ これはパケットフィルタリングやアクセス制御(ACL)の説明です。NATは通過可否を主目的とするものではなく、アドレスを変換するための機能です。 -
エ: 「プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する機能」
→ ここがNATの正しい説明です。社内のプライベートIPを外向けのグローバルIPに変換してインターネット通信を可能にします。よって正解は エ です。
よくある誤解
-
「NATはファイアウォールと同じ」
→ NATはアドレスの書き換えが主目的です。多くの家庭用/企業用ルータはNATと簡易なパケットフィルタ(Firewall)を同時に持ちますが、機能としては別です。NATがあるだけで十分な防御になるとは限りません。 -
「NATはセキュリティ対策になる」
→ NATは外部から直接内部IPへ到達しにくくする副次効果はありますが、本質はアドレス共有であり、脆弱性や攻撃を防ぐ主体的な防御策ではありません。適切なファイアウォールやアクセス制御が必要です。
補足コラム
NATにはいくつかの種類があります。代表的なのは次のとおりです。
- 静的NAT(1対1変換):特定のプライベートIPとグローバルIPを常に対応させる。サーバ公開で使う。
- 動的NAT:内部IPを利用可能なグローバルIPプールに動的に割り当てる。
- PAT / NAPT(Port Address Translation、ポートアドレス変換、別名IPマスカレード):複数の内部端末が1つのグローバルIPを共有する際、ポート番号も使って識別する方式。家庭のルータで一般的です。
運用面では、社内の端末がインターネットへ出るとルータは「変換テーブル」を作り、応答が戻ってきた際に元の端末へ正しく戻す役割を果たします。逆に、外部から内部の特定サーバにアクセスさせるにはポートフォワーディング(静的NATやDNAT)設定が必要です。
FAQ
Q. NATがあると社内の端末は全て安全ですか?
A. いいえ。NATはアドレス共有の仕組みであり、防御を目的とした技術ではありません。ウイルス対策やファイアウォール、適切なパッチ適用などが必要です。
A. いいえ。NATはアドレス共有の仕組みであり、防御を目的とした技術ではありません。ウイルス対策やファイアウォール、適切なパッチ適用などが必要です。
Q. なぜIPv6ではNATが不要と言われるのですか?
A. IPv6は膨大な数のグローバルIPを割り当て可能です。各端末が固有のグローバルIPを持てるため、アドレス枯渇対策としてのNATは不要になります。ただし運用上の理由やセキュリティの観点でNATに似た仕組みを使うこともあります。
A. IPv6は膨大な数のグローバルIPを割り当て可能です。各端末が固有のグローバルIPを持てるため、アドレス枯渇対策としてのNATは不要になります。ただし運用上の理由やセキュリティの観点でNATに似た仕組みを使うこともあります。
Q. 社内でサーバを公開したいときはどうする?
A. ルータでポートフォワーディング(特定のポートへの着信を内部サーバに転送)や静的NATを設定します。業務で運用する場合は、公開範囲やアクセス制御、ログ管理を合わせて整備します。
A. ルータでポートフォワーディング(特定のポートへの着信を内部サーバに転送)や静的NATを設定します。業務で運用する場合は、公開範囲やアクセス制御、ログ管理を合わせて整備します。
関連キーワード: NAT、ネットワークアドレス変換、プライベートIP、グローバルIP、PAT、ポートフォワーディング、RFC1918、ルータ、IPパケット、IPマスカレード、ステートフル変換

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