情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問33
問題文
不正競争防止法で保護されるものはどれか。
選択肢
ア:特許権を取得した発明
イ:頒布されている自社独自のシステム開発手順書
ウ:秘密として管理していない、自社システムを開発するための重要な設計書
エ:秘密として管理している、事業活動用の非公開の顧客名簿(正解)
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営業秘密の要件【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
不正競争防止法(企業の不正な競争行為を防ぐ法律)が保護するのは「営業秘密(trade secret:企業が事業活動で使う非公開の有用な情報)」です。選択肢のうち、秘匿(ひとり占めにする)と管理がされている顧客名簿、すなわち選択肢エは「秘密性(公に知られていない)」「有用性(事業上の価値がある)」「秘密管理性(合理的に秘密として管理されている)」という営業秘密の3要件を満たします。したがって不正競争防止法の保護対象になります。
解法ステップ
- 問題のキーワードを見つける:ここでは「不正競争防止法で保護されるもの」→ 営業秘密の有無を判断する問題と分かる。
- 営業秘密の3要件を確認する(まず暗記ではなく意味を理解する):
- 秘密性:一般に知られていないこと。配布や公開されていない。
- 有用性:事業の競争上の利益につながること(顧客名簿や製造ノウハウなど)。
- 秘密管理性:企業が合理的に秘密として管理していること(アクセス制限や契約など)。
- 各選択肢を3要件に照らして当てはめる。公開・配布されているものや特許のように公になっているものは除外される。
- 秘密として管理していれば営業秘密、そうでなければ保護されないと結論づける。
※ 「秘密管理性」の例:ファイルにパスワードをかける、物理的に施錠する、閲覧を権限で制限する、従業員に守秘義務契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)を結ばせる、など。
選択肢別の誤答解説
- ア: 特許権を取得した発明
特許は特許法で保護されます。特許出願すると内容が公開され、営業秘密の「秘密性」を失います。公開して保護を受けるか、非公開で営業秘密にするかは選択肢が異なります。 - イ: 頒布されている自社独自のシステム開発手順書
すでに頒布(配布)されている=公にされているため「秘密性」がない。配っている文書は営業秘密に該当しません。 - ウ: 秘密として管理していない、自社システムを開発するための重要な設計書
重要であっても「秘密として管理していない」場合は秘密管理性が欠けます。管理していない情報は営業秘密の保護対象になりません。 - エ: 秘密として管理している、事業活動用の非公開の顧客名簿
顧客名簿は事業上の有用性が高く、かつ「非公開でかつ合理的に管理されている」なら営業秘密となり、不正競争防止法で保護されます。これが正解です(選択肢エ)。
よくある誤解
- 「公開していなければ自動で営業秘密になる」
→ 秘密性だけでなく、企業が合理的に管理していることが必要です。単にファイルを放置しているだけでは保護されません。 - 「特許と営業秘密は同じ」
→ 特許は公開して独占権を得る制度で、営業秘密は非公開で保護する考え方。同じ情報を同時に両方で守ることは原則難しいです。
補足コラム
営業秘密の保護期限は原則として「公開されるまで」です。特許のような期間制限はありません。つまり、適切に管理できる限り長期間、競争上の優位性を維持できます。一方で一度漏洩して公知になると保護は失われます。実務では「社外秘」「機密」などのラベル付け、アクセス権設定、退職者の情報持ち出し防止、取引先との守秘義務契約(NDA)締結が基本管理策です。
職場での運用イメージ:顧客名簿はアクセス権のある担当者のみ閲覧可にし、電子ファイルは暗号化、印刷物は施錠保管、外部委託時はNDAを結び取り扱い手順を書面化します。
FAQ
Q. 従業員が持ち出しても営業秘密として守られる?
A. 企業側が合理的な管理をしていた場合は不正競争に該当し、持ち出した従業員や受け取った第三者に責任が生じます。管理が不十分だと保護が難しくなります。
A. 企業側が合理的な管理をしていた場合は不正競争に該当し、持ち出した従業員や受け取った第三者に責任が生じます。管理が不十分だと保護が難しくなります。
Q. 公的に発表したらどうなる?
A. 一度公表すれば「秘密性」を失い、営業秘密としての保護は原則なくなります。公開を検討する場合は特許出願など他の手段も含めて検討します。
A. 一度公表すれば「秘密性」を失い、営業秘密としての保護は原則なくなります。公開を検討する場合は特許出願など他の手段も含めて検討します。
Q. 顧客リスト以外にどんなものが営業秘密になる?
A. 製造工程のノウハウ、取引条件のデータベース、独自アルゴリズム、未公開のマーケティング戦略などが典型例です。いずれも「有用性」「秘密性」「管理性」がポイントです。
A. 製造工程のノウハウ、取引条件のデータベース、独自アルゴリズム、未公開のマーケティング戦略などが典型例です。いずれも「有用性」「秘密性」「管理性」がポイントです。
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