情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問35
問題文
時間外労働に関する記述のうち、労働基準法に照らして適切なものはどれか。
選択肢
ア:裁量労働制を導入している場合、法定労働時間外の労働は従業員の自己管理としてよい。
イ:事業場外労働が適用されている営業担当者には時間外手当の支払いはない。
ウ:年俸制が適用される従業員には時間外手当の支払いはない。
エ:法定労働時間外の労働を労使協定(36協定)なしで行わせるのは違法である。(正解)
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時間外労働の法的規制【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
労働基準法では、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えて労働させる場合、使用者と労働者の代表が締結する「労使協定(いわゆる36(サブロク)協定)」を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出ることが必要です。36協定がないまま法定時間外に働かせることは労働基準法違反になります。したがって、法的に正しいのは エ の記述です。
(用語説明:36協定は「労働基準法第36条に基づく協定」の略称で、時間外・休日労働を認めるための労使合意です。)
解法ステップ
- 「労働基準法で何が必須か」を確認する:法定労働時間の超過には原則として36協定が必要であることを思い出す。
- 各選択肢の制度の意味を確認する:裁量労働制、事業場外労働、年俸制のそれぞれが「残業代支払い義務」を免除するかどうかを判断する。
- 36協定の有無が直接「違法/合法」を分ける重要基準であることから、該当する記述を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 裁量労働制を導入している場合、法定労働時間外の労働は従業員の自己管理としてよい。
誤り。裁量労働制(専門業務型や企画業務型など)は「労働時間をあらかじめ一定時間とみなす制度」です(みなし労働時間制度)。しかし、導入には労使協定や制度要件の遵守が必要で、健康管理・労働時間管理の責任は使用者にあります。したがって「自己管理でよい」とする記述は不正確です。 -
イ: 事業場外労働が適用されている営業担当者には時間外手当の支払いはない。
誤り。事業場外労働(主に外回り営業など、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な場合に適用されることがある制度)は、一定の条件が満たされれば労働時間の規制が適用されない場合があります。しかし「常に支払わない」と断定できません。実際には具体的な業務実態や条件判定が必要で、多くの場合は時間管理・手当の検討が必要です。 -
ウ: 年俸制が適用される従業員には時間外手当の支払いはない。
誤り。年俸制は給与の支払い方法(1年分をまとめて支払う契約形態)であり、労働時間に関する法的免除を自動的にもたらすものではありません。年俸制であっても、労働基準法に基づき時間外割増賃金の対象となることが普通です。一定の管理監督者等の適用除外は別途判断が必要です。
よくある誤解
- 裁量労働制は「残業代ゼロ」になると思い込む。
→ 実際は制度の要件を満たす必要があり、健康配慮や適切な導入手続きが必要です。 - 事業場外労働は「外出=労働時間外」と単純に扱ってよいと思う。
→ 外回りでも業務の実態(待機時間、顧客対応など)によっては労働時間とみなされます。 - 年俸制は法律的に残業代を免除する制度だと思う。
→ 年俸は支払形態であり、残業代の支払い義務とは別問題です。
補足コラム
36協定の実務ポイント(職場での運用イメージ)
- 36協定は単に締結して保管すればよいのではなく、超過時間の上限や割増率、対象者範囲を明記します。
- 2019年の法改正で時間外労働の上限規制が強化され、長時間労働の抑制が求められています(職場では月次の残業時間の管理や代休・有給の活用、業務配分の見直しが重要)。
- 労務担当者は就業規則や雇用契約書、労使協定の整備と労働時間の実態把握(タイムカードや勤怠システムの導入)を行い、必要に応じて労働基準監督署へ相談・届出を行います。
(用語メモ)
- 裁量労働制:実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ一定時間働いたと「みなす」制度。
- 事業場外労働:事業場の外で行う業務で、監督が及ばず時間の算定が困難な場合に規定される扱い。
- 年俸制:年単位で報酬を決める支払い方法。労働時間の扱いは別途判断。
FAQ
Q1: 36協定がないと会社はどうなる?
A1: 労働基準法違反となり、是正勧告や罰則(罰金など)の対象になり得ます。実務的には未払い残業の請求リスクも高まります。
A1: 労働基準法違反となり、是正勧告や罰則(罰金など)の対象になり得ます。実務的には未払い残業の請求リスクも高まります。
Q2: 管理職は残業代が不要ですか?
A2: 管理監督者(管理職)は労働時間の規制対象外になる場合がありますが、該当かどうかは業務内容・権限・待遇など総合的に判断されます。単に「管理職の名札がある」だけでは基準を満たしません。
A2: 管理監督者(管理職)は労働時間の規制対象外になる場合がありますが、該当かどうかは業務内容・権限・待遇など総合的に判断されます。単に「管理職の名札がある」だけでは基準を満たしません。
Q3: 在宅勤務(テレワーク)だと時間外手当はどうなる?
A3: 在宅勤務でも労働時間の管理が必要です。使用者は始業・終業時間や休憩の確認、過重労働の防止措置を講じる責任があります。
A3: 在宅勤務でも労働時間の管理が必要です。使用者は始業・終業時間や休憩の確認、過重労働の防止措置を講じる責任があります。
関連キーワード: 労働基準法、36協定、裁量労働制、事業場外労働、年俸制、時間外手当

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