情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問36
問題文
特権ID(システムの設定、データの操作、それらの権限の設定が可能なID)の不正使用を発見するコントロールとして、最も有効なものはどれか。
選択肢
ア:特権IDの貸出し及び返却の管理簿と、特権IDの利用ログを照合する。(正解)
イ:特権IDの使用を許可された者も、通常の操作では一般利用者IDを使用する。
ウ:特権IDの使用を必要とする者は、使用の都度、特権IDの貸出しを受ける。
エ:特権IDの設定内容や使用範囲を、用途に応じて細分化する。
🔒 解説は解答すると表示されます
特権IDの不正検知【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
不正使用を「発見(検知)する」ことが目的なら、利用者の申告や推測ではなく、誰がいつどのように使ったかを照合できる仕組みが必要です。特権IDの貸出・返却の管理簿(誰が借りたかの記録)と、特権IDの利用ログ(システム側の操作記録)を照合すれば、記録上の貸出と実際の利用が一致するかを確認できます。つまり、操作の事実(ログ)と許可の事実(貸出簿)を突き合わせることで「不正利用」を発見できます。したがって、アが最も有効です。
補足説明:
- ログとは操作の履歴を記録したファイルやデータのことです。改ざん防止や時刻の正確さが重要です。
- この照合は手作業でも可能ですが、SIEM(Security Information and Event Management:セキュリティ情報・イベント管理)やログ管理ツールで自動化すると確実です。
解法ステップ
- 問題の目的を明確にする:ここでは「不正使用の発見(検知)」が目的。予防と検知は異なる点に注意します。
- 各選択肢が「検知」に寄与するかを判定する:
- 記録(ログ)と照合できるか。
- 第三者が後で検証できる証跡(監査証跡)を残すか。
- 最終的に「検知のために証拠をつなげられる」選択肢を選ぶ。
- 運用面(現実的な作業負荷、改ざん対策)も考慮する。
この手順で各選択肢を検討すると、ログと貸出簿の照合が検知に直結するためアが最適と判断できます。
選択肢別の誤答解説
-
ア:正解。貸出簿は「誰に許可したか」の記録、利用ログは「誰が何をしたか」の事実。両者を突き合わせることで、許可された利用か不正利用かが判定できます。ログの保全(改ざん防止)と時刻同期が前提です。
-
イ:特権使用者でも通常は一般利用者IDを使う、という運用は「誤用を減らす」予防策に近いです。しかし、普段から一般IDを使っているだけでは、特権IDが使われたかどうかを自動的に検出する仕組みにはなりません。検知にはログと貸出の証跡が必要です。
-
ウ:使用の都度貸出しを受けることはアクセスの管理として有効です(承認プロセス)。ただし、貸出しの記録と実際の利用ログを照合しなければ、貸出を受けた後に誰が使ったか(借りた人以外が使ったか)を発見できません。つまり「貸出しの記録だけ」では不正検知は不十分です。
-
エ:特権を細分化する(最小権限化)は良い予防策で、被害の範囲を小さくします。しかし、既存の特権IDが不正に使われた事実を「発見する」ための直接的な検知手段ではありません。
よくある誤解
-
「予防できれば検知は不要」
予防は重要ですが完全ではありません。検知できないと、被害の範囲や原因が分からず再発防止ができません。 -
「ログがあるだけで十分」
ログは重要ですが、誰が許可を持っていたかという別の記録(貸出簿や承認履歴)と結びつけて初めて不正と判定できます。またログの改ざん防止も必須です。 -
「手書きの貸出簿で十分」
手書きや分散管理だと改ざんや記録漏れが発生しやすいです。できれば電子化して中央で保管し、ログと自動照合できる体制が望ましいです。
補足コラム
- 推奨される技術:PAM(Privileged Access Management:特権アクセス管理)という製品群があります。PAMは特権IDの貸出・発行を自動化し、セッション録画や操作ログを残す機能を持ちます。これにより、人手による突合せや改ざんリスクを低減できます。
- 運用の実例:管理業務でサーバ設定を変更する際、従業員が「特権利用申請フォーム」を電子申請。承認後に一時的に使える資格情報が発行され、操作はすべて記録される。業務終了後にシステムが自動で返却し、日次で貸出記録とログを突合せて差異があればアラートする、という流れが現場で有効です。
- ログ保全のポイント:タイムスタンプの同期(NTP)、ログの中央集約、WORM(Write Once Read Many:書き込み一回、読み取り何度でも)保存やハッシュによる改ざん検知などを導入します。
FAQ
Q1: 貸出簿とログの突合せはどの頻度で行うべきですか?
A1: 少なくとも日次が望ましいです。重要なシステムはリアルタイムまたは都度照合・アラートが望まれます。
A1: 少なくとも日次が望ましいです。重要なシステムはリアルタイムまたは都度照合・アラートが望まれます。
Q2: 共有の特権IDは絶対に使ってはいけませんか?
A2: 理想は個人ごとの特権アカウントです。ただし運用上共有が避けられない場合は、PAMでセッション録画・貸出管理・一時発行を行い、必ずログと貸出記録で照合できるようにします。
A2: 理想は個人ごとの特権アカウントです。ただし運用上共有が避けられない場合は、PAMでセッション録画・貸出管理・一時発行を行い、必ずログと貸出記録で照合できるようにします。
Q3: ログが消えていたらどうする?
A3: まずログのバックアップや中央ログサーバの存在を確認します。改ざんや消去が疑われる場合は証拠保全(ログの複製、関係者のアクセス記録確保)と上長への報告、専門家による調査が必要です。
A3: まずログのバックアップや中央ログサーバの存在を確認します。改ざんや消去が疑われる場合は証拠保全(ログの複製、関係者のアクセス記録確保)と上長への報告、専門家による調査が必要です。
関連キーワード: 特権ID、ログ監査、PAM、SIEM、監査証跡、アクセス制御、最小権限、ログ保全、不正検知、貸出管理

\ せっかくなら /
情報セキュリティマネジメントを
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

