情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問39
問題文
システム障害管理の監査で判明した状況のうち、監査人が監査報告書で報告すべき指摘事項はどれか。
選択肢
ア:システム障害対応マニュアルが作成され、オペレータへの周知が図られている。
イ:システム障害によってデータベースが被害を受けた場合を想定して、規程に従って、データのバックアップをとっている。
ウ:システム障害の種類や発生箇所、影響度合いに関係なく、共通の連絡・報告ルートが定められている。(正解)
エ:全てのシステム障害について、障害記録を残し、責任者の承認を得ることが定められている。
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障害時の連絡・報告体制【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
監査で報告すべき指摘は、運用上の不備やリスクを示す事項です。今回、監査人が報告すべきなのはウの「障害の種類や影響度合いに関係なく、共通の連絡・報告ルートが定められている」点です。理由は、障害の重大度や発生場所に応じて連絡先や報告経路(エスカレーション(escalation:問題を上位に報告・移行すること))を変える必要があるからです。全て一律のルートだと、重大障害で適切な人に迅速に連絡が届かないなど業務継続や復旧に支障を来たす可能性があり、監査上の指摘事項(改善が必要な不備)になります。
他の選択肢は監査上問題になりにくい要素です。例えば、アはマニュアル作成とオペレータ(システムを操作・監視する担当者)への周知が行われている点で運用対策が取られています。イはデータのバックアップ(データを別に保存して、障害時に復元できるようにすること)が規程に基づき行われているため基本的防御が整っています。エは障害記録(発生日時・原因・対応・承認などの記録)を残し責任者承認を定める点で、管理面の要件を満たしています。したがって監査報告で指摘すべきはウです。
解法ステップ
- 監査の評価基準を確認する:管理策の「有無」だけでなく「妥当性(adequacy)」や「効果性(effectiveness)」を見る。
- 各選択肢が基準に照らして「不備(改善が必要)」か「適合(要件充足)」か判定する。
- 「一律の連絡ルート」が実務上どんな問題を起こすかを想定する(重大障害で連絡遅延、担当が不明で対応遅延など)。
- 不備に該当する選択肢を選ぶ。今回の不備は「連絡・報告体制の不適切さ(緊急度・影響に応じた分岐がない)」です。
選択肢別の誤答解説
- ア: システム障害対応マニュアルが作成され、オペレータへの周知が図られている。
解説:マニュアル作成と周知は基本的な管理策です。運用が行われている証拠となるため、通常は監査指摘にはなりにくいです。ただし、内容が不十分なら別途指摘対象になります。 - イ: システム障害でデータベースが被害を受けた場合を想定し、規程に従ってバックアップをとっている。
解説:バックアップ(データ復旧のための保存)が規程どおり実行されているなら、重要な防御策が整っています。実際の監査では「バックアップの頻度・検証(実際に復旧できるかの確認)」を確認しますが、問題文だけでは不備とは言えません。 - ウ: システム障害の種類や発生箇所、影響度合いに関係なく、共通の連絡・報告ルートが定められている。
解説:これが監査指摘になる理由は、障害の重大度や種類に応じた「優先度」と「連絡先(オンコール担当者、管理職、外部委託先など)」が明確でないと復旧遅延や二次被害のリスクが高まるためです。したがって監査報告で改善を求めるべきです。 - エ: 全てのシステム障害について、障害記録を残し、責任者の承認を得ることが定められている。
解説:障害記録(ログや報告書)と責任者承認は管理上の良い慣行です。場合によっては軽微な障害に対して運用負荷が高くなるため「運用改善の指摘(所見)」にはなり得ますが、選択肢の表現だけでは監査指摘(重大な不備)とは判断しにくいです。
よくある誤解
- 「連絡経路は一本化すれば混乱しない」は誤り:一本化すると軽微な障害でも上位へ行き、重要な連絡が埋もれる/重大障害の際に迅速に専門担当へ回らない恐れがあります。
- 「記録が残っていれば十分だ」は誤り:記録は重要ですが、リアルタイム対応(誰にどう連絡するか)が定まっていないと被害拡大を防げません。記録と迅速な連絡経路の両方が必要です。
補足コラム
実務では「影響度(重大・中・軽)」と「担当者(一次対応、上位対応、外部ベンダー)」を組み合わせたエスカレーション表(例:レベル1は運用担当、レベル2はグループ長、レベル3は経営層と外部ベンダー連絡)を用意します。現場イメージとしては、火災報知器と避難誘導の関係に似ていて、危険度によって呼ぶ人が違うと考えると分かりやすいです。監査人はその運用ルールが「適切に分岐・文書化・周知・訓練」されているかを確認します。
職場での運用例(短く)
- 事前定義:障害レベル判定基準を作る(影響範囲、時間的影響、業務停止の有無)。
- 連絡ルート:レベル毎に連絡先と対応時間帯(在席・オンコール)を明示。
- 定期訓練:想定訓練でルートの有効性を確認。
- 見直し:発生履歴を元にルートを改善。
FAQ
Q: 単一ルートでも連絡が確実なら問題ないですか?
A: 可能ですが「確実」にするためには、単一ルート内でのトリアージ(仕分け)やオンコール体制、代替手段が必要です。単に「一本化した」だけでは監査で不備と判断されることがあります。
A: 可能ですが「確実」にするためには、単一ルート内でのトリアージ(仕分け)やオンコール体制、代替手段が必要です。単に「一本化した」だけでは監査で不備と判断されることがあります。
Q: 軽微な障害も別ルートにすべきですか?
A: 全てを同等に扱う必要はありません。業務影響が小さいものは簡易な報告で済ませ、重大なものは速やかに専門チームと経営層にエスカレーションする、という区別が実務では一般的です。
A: 全てを同等に扱う必要はありません。業務影響が小さいものは簡易な報告で済ませ、重大なものは速やかに専門チームと経営層にエスカレーションする、という区別が実務では一般的です。
Q: 監査指摘を受けたらまず何をすればよいですか?
A: まず影響範囲と現行ルールの問題点を整理し、優先度基準とエスカレーション表を作成することを推奨します。関係者(運用、管理、業務部門、委託先)で合意を取ることが重要です。
A: まず影響範囲と現行ルールの問題点を整理し、優先度基準とエスカレーション表を作成することを推奨します。関係者(運用、管理、業務部門、委託先)で合意を取ることが重要です。
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