情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問40
問題文
システムの利用部門の利用者と情報システム部門の運用者が合同で、システムの運用テストを実施する。利用者が優先して確認すべき事項はどれか。
選択肢
ア:オンライン処理、バッチ処理などが運用手順どおりに稼働すること
イ:システムが決められた業務手順どおりに稼働すること(正解)
ウ:システムが目標とする性能要件を満たしていること
エ:全てのアプリケーションプログラムが仕様どおりに機能すること
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業務手順通りの稼働【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
利用者(業務担当者)が運用テストで最優先に確認すべきは、業務が予定どおり進められることです。つまりシステムが業務手順どおりに動き、業務の成果物(伝票、承認、帳票、入出力データなど)が期待どおりに得られるかを確認することが最重要です。設問の選択肢では、これに該当するのが イ です。
理由を簡潔に言うと、利用者が責任を負うのは「業務の遂行と結果」だからです。システムの細かい内部動作や性能は重要ですが、まずは業務が途切れず正しく実行できることを利用者視点で確認する必要があります。
※補足用語:UAT(User Acceptance Testing:利用者受入テスト)とは、利用者側が業務観点で「これで業務できる」と合意するためのテストです。今回の優先事項はまさにUATの中心です。
解法ステップ
- 立場を確認する
- 問題は「利用者が優先して確認すべき」ことを問うています。つまり業務責任を持つ側の視点で考えます。
- 利用者にとって最重要なことを決める
- 利用者が最も困るのは、業務手順が崩れて仕事が回らなくなることです(業務停止、誤請求、承認漏れなど)。
- 各選択肢を役割分担で評価する
- 技術的な運用手順やバッチの稼働確認は運用(情報システム部門)寄り。性能はSLA(サービスレベル)や性能試験で評価。アプリの詳細な仕様検証は開発・テスト部門の領域。
- 利用者の責務に最も近いものを選ぶ
- 上の観点から、業務手順どおりに稼働すること(イ)を選びます。
実務で行うべき簡単なチェックリスト例(利用者視点):
- 主要業務フロー(受注→承認→出荷→請求)が順に動くか
- 帳票やレポートの内容が業務ルールどおりか
- 異常/例外時の処理(却下、差戻し、再処理)が期待どおりか
- 実運用データでの照合(ダブルチェック)結果
選択肢別の誤答解説
- ア: オンライン処理、バッチ処理などが運用手順どおりに稼働すること
- これは情報システム部門が主に確認する「運用手順の実施確認」です。利用者は運用手順の結果(業務への影響)を重視するため、優先度はイより低くなります。とはいえ、バッチのタイミングが業務に影響する場合は利用者も関与します(例:夜間バッチで請求が確定する業務)。
- ウ: システムが目標とする性能要件を満たしていること
- 性能(応答時間、スループットなど)は重要ですが、業務が成立していなければ意味がありません。性能問題は別途性能試験やSLA(Service Level Agreement:サービス水準合意)で扱うことが普通です。まずは業務手順の正しさを確認します。
- エ: 全てのアプリケーションプログラムが仕様どおりに機能すること
- これは詳細な機能試験(単体/結合テスト)や品質保証の範囲です。全機能の100%確認はコストが高く、利用者が優先するのは業務上必要な主要機能の正常動作です。したがって優先度はイより低くなります。
よくある誤解
- 「プログラムの細かいバグを見つけるのが利用者の仕事」
- 利用者の役割は業務の遂行確認です。細かいプログラム不具合は開発・テストに報告し、業務に支障が出るかを判断します。
- 「性能が少し遅ければ業務はできない」と即決すること
- 業務への影響(業務遅延や締切に間に合わない等)を評価し、改善の優先順位を決めます。
- 「運用部門に任せればよい」と責任放棄すること
- 運用部門が技術的に作業しても、ユーザーの承認(業務的に問題ないか)は利用者側が行う必要があります(最終的な合意とサインオフ)。
補足コラム
- 運用テストと利用者受入(UAT)の違い
- 運用テスト:運用手順(バックアップ、バッチスケジュール、監視手順など)の確認。主に情報システム部門が実施。
- UAT(User Acceptance Testing:利用者受入テスト):業務フローが正しく動くかを利用者が確認して承認するテスト。今回の設問はUATに近い視点です。
- 実務での進め方(短く)
- 主要業務シナリオを3〜5個に絞る(最短で業務が回る一連の流れ)
- 各シナリオに期待結果を明記(例:受注後○分で在庫引当、承認者のメール送信)
- テスト実行→ログ・出力の保存→不具合はチケット化→再テスト→利用者のサインオフ
- サインオフ(承認)は利用者の責任者が行うのが一般的です。これにより「業務視点での可否」が明確になります。
FAQ
Q1: もし業務手順は動くが性能が不十分だったら?
A1: 業務に支障が出るかを評価します。支障があるなら改善を要求します。支障がない場合は性能改善を次フェーズで対応する合意(スケジュールやSLAの設定)を行います。
A1: 業務に支障が出るかを評価します。支障があるなら改善を要求します。支障がない場合は性能改善を次フェーズで対応する合意(スケジュールやSLAの設定)を行います。
Q2: 利用者はどこまで詳細にテストすべきですか?
A2: 全機能を細かくは見なくてよいです。業務に直結する主要フローと高リスクな例外処理(キャンセル、訂正、権限不足時の処理など)を重点的に確認します。
A2: 全機能を細かくは見なくてよいです。業務に直結する主要フローと高リスクな例外処理(キャンセル、訂正、権限不足時の処理など)を重点的に確認します。
Q3: テスト結果の記録は何を残すべきですか?
A3: 実行日時、実行者、試験シナリオ、期待結果、実結果、発生した障害のID(チケット番号)、スクリーンショットやログの抜粋、最終的な承認コメントを残します。
A3: 実行日時、実行者、試験シナリオ、期待結果、実結果、発生した障害のID(チケット番号)、スクリーンショットやログの抜粋、最終的な承認コメントを残します。
関連キーワード: 運用テスト、利用者受入、UAT(User Acceptance Testing:利用者受入テスト)、業務手順、運用手順、バッチ処理、オンライン処理、性能要件、テストケース、受入基準、サインオフ、SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)

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