情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A) 問32
問題文
記憶媒体を介して、企業で使用されているコンピュータにマルウェアを侵入させ、そのコンピュータの記憶内容を消去した者を処罰の対象とする法律はどれか。
選択肢
ア:刑法(正解)
イ:製造物責任法
ウ:不正アクセス禁止法
エ:プロバイダ責任制限法
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刑法【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
記憶媒体(リムーバブルメディア:外部記憶媒体。例:USBメモリ)を介してマルウェア(malware:悪意あるソフト)を侵入させ、当該コンピュータの記憶内容を消去する行為は、故意に他人の業務や資産を損なう行為です。こうした「故意によるデータの破壊・業務妨害」は刑事罰の対象となり、日本では主に刑法で処罰されます。したがって選択肢の中では ア(刑法)が正解です。
※刑法上は、物理的な損壊に相当する場合は器物損壊罪(物を壊す罪)や、業務に支障を生じさせれば業務妨害罪などの罪名が問題となります。これらはいずれも故意や結果を基準に処罰されます。
解法ステップ
- 問題文の行為を簡潔に把握する
- マルウェアを持ち込み、データを消去する=故意によるデータ破壊・業務妨害。
- 「どの法律が処罰するか」を分類する
- 刑事罰(刑法)か、民事的な責任(損害賠償)か、あるいは事業者向けの規制かを区別する。
- 各選択肢を当てはめて消去法
- 刑法:故意の犯罪を処罰 → 該当。
- 他の法律(製造物責任法、プロバイダ責任制限法等)は主旨が異なるため除外。
ポイント:行為が「故意に他者の業務・資産を損なう」なら刑法が基本的な処罰根拠になります。
選択肢別の誤答解説
- ア:刑法
- 正しい。故意にデータを破壊・業務を妨害する行為は刑事罰の対象になるため、刑法による処罰が想定されます。
- イ:製造物責任法(Product Liability:欠陥製品による損害賠償を定める法律)
- 誤り。製造物責任法は製品の欠陥で使用者などに損害が出た場合の民事責任(賠償)を扱うもので、第三者が意図的にマルウェアを入れる行為を処罰する法律ではありません。
- ウ:不正アクセス禁止法(Unauthorized Access:権限のないアクセスを禁じる法律)
- 一見関係ありそうですが、主に「認証を突破して不正にアクセスする」ことを処罰します。今回のケースは記憶媒体を介してマルウェアを持ち込みデータを消去する「破壊・妨害」が中心であり、直接の処罰根拠は刑法になります(状況によっては不正アクセス罪が併合される場合もありますが、問題の主題は刑法です)。
- エ:プロバイダ責任制限法(接続事業者の責任制限に関する法律)
- 誤り。プロバイダ責任制限法は、インターネット事業者(ISPなど)の情報発信者に対する損害賠償請求や発信者情報開示の手続き等に関する規定で、マルウェアを持ち込みデータを消去した者を刑事処罰する法律ではありません。
よくある誤解
- 「不正アクセス禁止法ですぐに処罰される」
- 誤解の元:不正アクセス禁止法は確かに重要ですが、今回の主題はデータ破壊という「損害・妨害」行為であり、まず刑法の適用が中心です(状況によって併合適用の可能性あり)。
- 「製造物責任法やプロバイダ法で個人が刑事処罰される」
- 製造物責任法は民事(賠償)中心、プロバイダ責任制限法は発信者情報の扱いやプロバイダの責任範囲の規定であり、いずれも行為者を刑事処罰する主たる法律ではありません。
補足コラム
- 職場での実務イメージ:USB等の記憶媒体でマルウェアが侵入すると、業務データが消失して復旧に時間と費用がかかります。実務対策としては、リムーバブルメディアの使用制限、アンチマルウェアの導入(端末での自動スキャン)、定期的なバックアップ、従業員教育が有効です。
- 事件発生時の対応(ポイント):
- 端末の電源切断やネットワーク切断で拡大防止(ただし証拠保全に注意)。
- 内部のインシデント対応チーム(CSIRT)や上長に報告。
- 必要に応じて警察へ被害届を提出。刑事捜査につながる場合があります。
- バックアップからの復旧と再発防止措置の実施。
- 証拠保全の注意:犯罪捜査の可能性があるため、勝手に証拠を消したり端末を初期化したりせず、社内の手順(または警察の指示)に従うことが重要です。
FAQ
Q1. 故意でなければ刑法で処罰されませんか?
A1. 刑法上は「故意」(や過失で重大な結果が生じる特別法規の場合)や結果によって構成要件が満たされます。誤ってウイルスを拡散してしまった場合、故意がないかどうかが問われ、刑事責任の有無はケースごとに異なります。民事上の責任(損害賠償)は別途問われることがあります。
A1. 刑法上は「故意」(や過失で重大な結果が生じる特別法規の場合)や結果によって構成要件が満たされます。誤ってウイルスを拡散してしまった場合、故意がないかどうかが問われ、刑事責任の有無はケースごとに異なります。民事上の責任(損害賠償)は別途問われることがあります。
Q2. リモートでデータを消された場合は?
A2. リモート操作で正当な権限なくアクセスしてデータを消したなら、刑法(データ破壊・業務妨害等)に加え、不正アクセス禁止法の適用が検討される場合があります。具体的な適用は事案の態様次第です。
A2. リモート操作で正当な権限なくアクセスしてデータを消したなら、刑法(データ破壊・業務妨害等)に加え、不正アクセス禁止法の適用が検討される場合があります。具体的な適用は事案の態様次第です。
Q3. まず社内でどう対応すればよいですか?
A3. 被害の拡大を防ぎつつ証拠保全を行い、社内のインシデント対応フローに従って速やかに報告します。必要なら警察へ相談します。事後に原因分析と再発防止(ルール・技術・教育)を実施します。
A3. 被害の拡大を防ぎつつ証拠保全を行い、社内のインシデント対応フローに従って速やかに報告します。必要なら警察へ相談します。事後に原因分析と再発防止(ルール・技術・教育)を実施します。
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