情報セキュリティマネジメント 2019年 秋期 午前(科目A) 問03
問題文
JIS Q 27001:2014 (情報セキュリティマネジメントシステムー要求事項)において、リスクを受容するプロセスに求められるものはどれか。
選択肢
ア:受容するリスクについては、リスク所有者が承認すること(正解)
イ:受容するリスクを監視やレビューの対象外とすること
ウ:リスクの受容は、リスク分析前に行うこと
エ:リスクを受容するかどうかは、リスク対応後に決定すること
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リスク受容の承認【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001に相当)では、組織が受容するリスク(リスク受容:対策を行わずそのまま許容するリスク)について、責任の所在を明確にし、適切な承認を得ることが求められます。ここで言うリスク所有者(risk owner:そのリスクに対する管理責任を持つ人)は、受容するかどうかを最終的に判断・承認する責任があります。したがって、選択肢の中では、受容するリスクについてリスク所有者が承認することを示す ア が規格の要求に合致します。
(ポイント)
- リスク所有者は対象資産や業務に対する責任者であり、受容の可否を判断する立場です。
- 受容は決定だけでなく「記録」や「監視の仕組み」も伴います。
解法ステップ
- 問題が「リスクを受容するプロセスに求められるもの」を問うていると把握する。
- キーワードに注目する:リスク受容(判断・承認・監視・手順など)。
- 各選択肢を「規格や実務で求められるか?」で検討する。
- 誰が最終判断するのか=責任者(リスク所有者)の承認が必要かを優先して考える。
- それに合致する選択肢を選ぶ(ア が該当)。
選択肢別の誤答解説
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ア:正しい。受容(risk acceptance)は、リスクに対して責任を持つ者(リスク所有者)が承認することが求められるため、規格の趣旨に合致します。
-
イ:誤り。受容したリスクを監視やレビューの対象外とすることは規格に反します。受容しても残留リスク(residual risk:対策後に残るリスク)は継続的に監視・レビューし、状況変化に応じて見直す必要があります。
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ウ:誤り。リスクの受容をリスク分析(リスクアセスメント:リスクの特定・評価)より前に行うのは不適切です。どの程度のリスクかを把握した上で、どのリスクを受容するか判断します。
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エ:誤り。リスク対応(リスクトリートメント:対策の選択と実施)後にのみ受容を決定する、という一方的な制約は誤りです。実務ではリスク評価結果を踏まえて受容を判断しますし、場合によっては対応前に受容を決めること(例:影響が小さくコストが見合わない場合)もあります。重要なのは「責任者の承認」と「記録・監視」が伴うことです。
よくある誤解
-
「受容=放置」と思い込む
- 誤解です。受容は意図的な判断です。受容したリスクも記録し、継続的に監視します。例:小額の損失リスクは受容するが、定期的に発生頻度を監視する、など。
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「リスク所有者=社長だけ」と考える
- リスク所有者は必ずしも経営トップではありません。業務や資産に責任を持つ担当者(部門長やプロジェクト責任者)であることが多いです。重要なのは権限と責任が明確であることです。
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「受容は口頭で済む」と思う
- 実務では文書(リスクレジスター等)で記録し、誰がいつ承認したかを明確にしておく必要があります。後で見直すためです。
補足コラム
職場での運用イメージ:
- リスク評価を行い、リスク一覧(リスクレジスター)を作成します。リスクごとに想定される影響と発生確率を評価します(これがリスクアセスメント)。
- 各リスクに対して「対応」(回避・移転・軽減・受容)を検討します。受容を選ぶ場合は、なぜ受容するのか(影響が小さい、対策費用が高すぎる等)を記載し、リスク所有者の承認を得ます。
- 受容したリスクは定期的に監視し、環境や業務の変化で条件が変われば再検討します。これがPDCA(Plan-Do-Check-Act)の流れです。
関連用語(初出で簡単説明):
- リスクアセスメント(risk assessment:リスクの特定・分析・評価)
- リスク所有者(risk owner:そのリスクに対する意思決定と管理責任を持つ人)
- リスク対応(risk treatment:リスクに対する対策の選択と実施)
- 残留リスク(residual risk:対策後に残ったリスク)
- リスクレジスター(risk register:リスクを一覧・記録する表)
FAQ
Q1: 誰をリスク所有者にすれば良いですか?
A1: 当該業務や資産の運用責任と意思決定権を持つ人が適切です。小規模なら部門長、プロジェクト単位ならプロジェクトマネージャーなど。
A1: 当該業務や資産の運用責任と意思決定権を持つ人が適切です。小規模なら部門長、プロジェクト単位ならプロジェクトマネージャーなど。
Q2: 受容の記録は何に残せば良いですか?
A2: リスクレジスターやリスク対応計画に、受容理由、承認者、承認日、監視方法を明記します。メール承認でも管理できれば可ですが、トレーサビリティ(追跡可能性)が重要です。
A2: リスクレジスターやリスク対応計画に、受容理由、承認者、承認日、監視方法を明記します。メール承認でも管理できれば可ですが、トレーサビリティ(追跡可能性)が重要です。
Q3: 受容したリスクはいつ見直すべきですか?
A3: 定期レビュー(例:年次)と、業務・環境・法令の変更があった場合に都度見直します。インシデント発生時は即時再評価が必要です。
A3: 定期レビュー(例:年次)と、業務・環境・法令の変更があった場合に都度見直します。インシデント発生時は即時再評価が必要です。
Q4: 受容は経営判断だけで良いですか?
A4: 経営判断は重要ですが、現場のリスク所有者が影響を理解して承認することが必須です。組織によっては経営層と所有者の二重承認を求める場合もあります。
A4: 経営判断は重要ですが、現場のリスク所有者が影響を理解して承認することが必須です。組織によっては経営層と所有者の二重承認を求める場合もあります。
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