情報セキュリティマネジメント 2019年 秋期 午前(科目A) 問43
問題文
プロジェクトライフサイクルの一般的な特性はどれか。
選択肢
ア:開発要員数は、プロジェクト開始時が最多であり、プロジェクトが進むにつれて減少し、完了に近づくと再度増加する。
イ:ステークホルダがコストを変えずにプロジェクトの成果物に対して及ぼすことができる影響の度合いは、プロジェクト完了直前が最も大きくなる。
ウ:プロジェクトが完了に近づくほど、変更やエラーの修正がプロジェクトに影響する度合いは小さくなる。
エ:リスクは、プロジェクトが完了に近づくにつれて減少する。(正解)
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プロジェクトのリスク推移【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
「リスク」はここで、発生する可能性とその影響の組合せ(起こりうる問題や不確実性)を指します。プロジェクト開始時は不確実性が大きく、要件や設計、外部条件が未確定のためリスクが高くなります。作業が進み、設計や実装、テストが進むにつれて不確実性は解消され、リスクは一般に低下します。したがって、試験の一般論として正しいのは エ です。とはいえ「ゼロになる」わけではなく残存リスクは残ります(後述)。
※用語説明:ステークホルダ(stakeholder)は「利害関係者」、変更管理は「仕様や成果物をどう扱うかの仕組み」です。
解法ステップ
- 用語を短く確認する(リスク=不確実性/問題の可能性と影響)。
- 各選択肢がライフサイクル(時間経過での性質)に合うか照らし合わせる。
- 「不確実性が解消される」原則を基準に当てはまるものを選ぶ。
- 変化の影響や人員配置など別の曲線(影響度やコスト)の挙動と混同していないか確認する。
この問題は「時間経過で不確実性がどう変わるか」を問う典型問題です。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「開始時が最多で減少し、完了に近づくと再び増加」
通常のプロジェクトでは人員は開始時に最も多くなることは少ないです。多くは立ち上げ後に人員が増え、中盤でピークを迎え、終盤で減る(ベル型や台形)ことが多いので誤りです。完了直前に急増するという描写は一般的ではありません。 -
イ: 「ステークホルダがコストを変えずに成果物に与える影響は完了直前が最大」
ステークホルダ(利害関係者)が仕様や要望を変えられる度合いは、プロジェクト初期の方が大きいです。完了直前だと成果物はほぼ固まっており、変更はコストやスケジュールに大きな影響を与えるため、自由に影響を及ぼせるわけではありません。したがって誤りです。 -
ウ: 「完了に近づくほど変更やエラー修正の影響は小さくなる」
実際は逆です。完了間際の変更や修正はテストや納期、他工程への連鎖的影響が大きく、影響度もコストも増大します。よって誤りです。 -
エ: 「リスクは完了に近づくにつれて減少する」
これが最も一般的な特性です。設計・実装・検証を経て不確実性が減るため、全体のリスクは低下します。ただし、残存リスクや統合時の大問題などは存在しうる点に注意してください。
よくある誤解
- 「リスクが減る=問題が起きない」ではない:リスクは低下しても、重大な残存リスクや不測事態は発生します(確率は下がっても影響は大きい場合がある)。
- 「変更の影響」と「リスク」を混同する:変更が与える影響(コストや工数の増加)は完了近くで大きくなるが、不確実性(リスクの源)は進行で減るのが普通です。
- 「アジャイルなら必ずリスクは早く消える」と過信しない:アジャイルはリスクを早期に発見・低減しやすいが、全てのリスクが消えるわけではありません。領域により残存リスクは存在します。
補足コラム
頭の中で「2本の曲線」を描くと理解しやすいです。横軸が時間、縦軸が量だとすると:
- リスク(不確実性)曲線は左(開始)で高く、右(完了)へ向かい低くなる。
- 変更コスト(変更による影響)曲線は左で低く、右で高くなる。
この2本の曲線が交差するあたりが「設計変更の許容度が低くなり、コストが大きくなる」局面です。現場ではこの交差点を意識して、早めに要件を固め、ステークホルダとの合意形成を図る運用が望まれます。
プロジェクト運用上の実務例:要件定義や設計の早期ワークショップでステークホルダを巻き込み、リスクの早期洗い出しと対策を行う。進捗に合わせてリスク登録簿(リスクログ)を更新し、残存リスクは完了前に必ずレビューします。
FAQ
Q1: 完了間際に大きな不具合が出たらどう評価する?
A1: その不具合は「残存リスク」あるいは「新たに発生したリスク」とみなします。影響度と発生確率を評価して、優先度を決めて対処します。場合によりリリース延期や修正計画の再調整が必要です。
A1: その不具合は「残存リスク」あるいは「新たに発生したリスク」とみなします。影響度と発生確率を評価して、優先度を決めて対処します。場合によりリリース延期や修正計画の再調整が必要です。
Q2: アジャイルではリスクの推移はどう違う?
A2: アジャイルは短い反復で成果物を出して検証するため、リスクが早期に顕在化・解消されやすいです。結果的に大きな不確実性を長く抱えにくくなりますが、総じて「リスクが完了に近づくほど必ず減る」という原則は変わりません。
A2: アジャイルは短い反復で成果物を出して検証するため、リスクが早期に顕在化・解消されやすいです。結果的に大きな不確実性を長く抱えにくくなりますが、総じて「リスクが完了に近づくほど必ず減る」という原則は変わりません。
Q3: 「リスクが減る」と言っても具体的に何をすればいい?
A3: 要件の早期確定、ステークホルダの巻き込み、段階的な検証(レビュー・テスト)、リスク管理会議での定期レビューが実務上効果的です。
A3: 要件の早期確定、ステークホルダの巻き込み、段階的な検証(レビュー・テスト)、リスク管理会議での定期レビューが実務上効果的です。
関連キーワード: プロジェクトマネジメント、リスク管理、ライフサイクル、変更管理、ステークホルダ管理、変更コスト、アジャイル、ウォーターフォール

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