情報セキュリティマネジメント 2019年 春期 午前(科目A) 問43
問題文
組織が実施する作業を、プロジェクトと定常業務の二つに類別するとき、プロジェクトに該当するものはどれか。
選択肢
ア:企業の経理部門が行っている、月次・半期・年次の決算処理
イ:金融機関の各支店が行っている、個人顧客向けの住宅ローンの貸付け
ウ:精密機器の製造販売企業が行っている、製品の取扱方法に関する問合せへの対応
エ:地方公共団体が行っている、庁舎の建替え(正解)
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プロジェクトの特性【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
プロジェクトとは「期間が限られ、明確な目的(成果物)を達成するために行う一時的な活動」です。ここで言う成果物は、完了時に引き渡す具体的なものや状態(例:新しい庁舎、システム、マニュアル)を指します。一方、定常業務とは「日常的に繰り返され、継続して行う業務」です。
選択肢のうち、エ(地方公共団体が行っている、庁舎の建替え)は、開始・終了が明確で、完成という成果物(新庁舎)があり、計画・設計・施工・引渡しといった一連工程を通して一回限りで実施されます。したがって「プロジェクト」に該当します。
(補足)情報セキュリティ上も、建替えのようなプロジェクトは変更管理や関係者のアクセス制御、工事業者との委託管理など固有のリスク対策が必要になります。
解法ステップ
- 「期間」を確認する
- いつ始まり、いつ終わるか。期間が定まっているかを見ます。
- 「成果物(目的)」を確認する
- 完成時に引き渡す具体的なモノや状態があるか。
- 「反復性(継続性)」を確認する
- 同じ作業が日常的に繰り返されるかどうか。
- 「一意性(独自性)」を確認する
- 内容が一度きりで、特別な計画・調整・予算が必要か。
- 上記を当てはめ、該当すればプロジェクト、当てはまらなければ定常業務と判断します。
この手順で各選択肢を当てはめると、エだけがプロジェクトになります。
選択肢別の誤答解説
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ア: 企業の経理部門が行っている、月次・半期・年次の決算処理
- 定常業務です。決算は周期的・反復的に行われ、手順が定まっています。期間は短期に区切れることはあっても目的は継続的な会計処理であり「一度きりの成果物」を作る活動ではありません。
-
イ: 金融機関の各支店が行っている、個人顧客向けの住宅ローンの貸付け
- これも定常業務です。個々の貸付けは契約という出来事ですが、支店の業務としては日常的に繰り返される業務プロセスであり、プロジェクトの定義(一時的・独自・明確な完了)が当てはまりません。
-
ウ: 精密機器の製造販売企業が行っている、製品の取扱方法に関する問合せへの対応
- 顧客対応は継続的な業務です。問合せ対応自体は個別のやり取りですが、組織の業務としては常時行う「定常業務」となります。
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エ: 地方公共団体が行っている、庁舎の建替え
- 建替えは計画→設計→工事→引渡しという期間と成果物が明確な一時的活動です。よってプロジェクトに該当します。(正解)
よくある誤解
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「規模が大きければプロジェクト」ではない
- 規模(予算や人数)が大きくても、繰り返し行う業務や運用は定常業務です。逆に小規模でも一度きりの明確な目標があればプロジェクトになります。
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「期限が曖昧だと定常業務」ではない
- 期限が明確でなくても、明確な成果を目指して一時的に組織体制を変えるならプロジェクトになり得ます。期限は「いつか終わるか」が重要です。
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「外部業者に任せる=プロジェクト」ではない
- 業務を外注しても、業務そのものが継続的なら定常業務です。ただし外注時は委託契約に基づくプロジェクト管理が必要になる場合があります。
補足コラム
プロジェクトと定常業務の区別は、情報セキュリティ運用で重要です。理由は次の通りです。
- プロジェクトでは新しいシステム導入や施設変更など「変化」が生じます。変化はセキュリティリスクを生みやすいので、リスク評価やアクセス制御、資産管理の更新が必要です。
- 定常業務では継続的な監視や手順(運用ルール)が重視されます。パッチ適用やログ監視、ユーザー管理は日常的な作業です。
職場での運用イメージ:
- 庁舎建替え(プロジェクト)では、プロジェクトマネージャーを置き、設計段階でセキュリティ要件を決め、施工業者に守らせるチェックリストを作成します。完成後は運用チームへ引き渡し、資産台帳やアクセス権を更新します。
FAQ
Q1: プロジェクトの期間はどれくらいならプロジェクト扱いですか?
A1: 期間の長短に基準はありません。「開始と終了が明確で、一度きりの成果物があるか」が判断基準です。数週間〜数年までさまざまです。
A1: 期間の長短に基準はありません。「開始と終了が明確で、一度きりの成果物があるか」が判断基準です。数週間〜数年までさまざまです。
Q2: 定常業務の一部を改善する活動はプロジェクトですか?
A2: 改善活動が一度きりで明確な目標(例:業務効率化で月10時間削減)と完了基準を持つなら「改善プロジェクト」として扱います。日常的な改善(継続的改善)は定常的運用の一部です。
A2: 改善活動が一度きりで明確な目標(例:業務効率化で月10時間削減)と完了基準を持つなら「改善プロジェクト」として扱います。日常的な改善(継続的改善)は定常的運用の一部です。
Q3: プロジェクトでの情報セキュリティの責任は誰が持ちますか?
A3: プロジェクトマネージャーが全体責任を持ちつつ、セキュリティ要件の設定・実施は情報システム部門や担当者、必要なら外部のセキュリティ専門家と協働します。運用移管後の責任は運用側に移ります。
A3: プロジェクトマネージャーが全体責任を持ちつつ、セキュリティ要件の設定・実施は情報システム部門や担当者、必要なら外部のセキュリティ専門家と協働します。運用移管後の責任は運用側に移ります。
関連キーワード: プロジェクトマネジメント、定常業務、業務分類、成果物、変更管理、リスク評価、委託管理

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