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ITストラテジスト 2011年 午後103


測定機器メーカーにおける業務改革に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

 C社は、センサや計測機器などを製造している測定機器メーカーである。顧客は、製造業や建設業など多くの業種にまたがっている。C社の強みは、様々な条件下でも安定稼働する測定機器の信頼性と機能の高さである。ここ数年、測定機器単体の利益率が減少していることから、測定機器と情報システムを組み合わせた監視システムや制御システムなどのソリューション事業にも進出している。  最近は、SIベンダが、測定機器を組み込んだ情報システムによる業務改善案をC社の顧客に提案し、引き合いにつなげており、C社の競合相手となっている。また、C社が獲得した案件でも、システム開発工数が見積工数を超えてしまい、利益が得られないケースが増えてきた。   〔営業活動の現状〕  C社の案件は、顧客からの引き合い、提案依頼、提案書の提出やプレゼンテーションなどの段階を経て、受注へとつながっていく。  優秀な営業担当者は、顧客との信頼関係を築き、C社の測定機器を活用したソリューションの導入事例などを紹介し、引き合いにつなげている。また、提案前に顧客のキーパーソンに予算額を確認することで、顧客の予算に合わせたソリューションの提案を作成している。しかし、多くの営業担当者は、ソリューションの営業活動が不十分で、引き合いにつながらなかったり、案件を獲得できなかったりしている。また、作成した提案書を顧客の意思決定者に説明するまでに至らず、担当者にとどまり、失注してしまうこともある。  技術担当者は提案書を作成し、受注後、プロジェクトマネージャとしてシステム開発プロジェクトを実施する。顧客からは、“測定機器の機能説明を中心とした提案ではなく、当社の業務要件とシステム導入の投資効果を十分に検討してほしい”という要望を受けている。   〔案件管理の問題点〕  C社は、数年前に、営業部門と技術部門間の情報共有のために案件管理システムを導入し、顧客から引き合いがあった案件を、営業担当者が順次登録している。しかし、  技術部門ではシステムの使い勝手が悪いこともあって、営業部門との情報共有は進んでいない。  案件の進捗状況は、営業担当者が訪問日時や訪問結果などを文章で記述しているだけである。案件の受注確度も登録しているが、確度の判断は営業担当者任せであり、精度が低い。営業担当者が技術担当者に提案書の作成を突然依頼し、期限までに提出できないこともあった。技術部門からは、“案件の進捗の管理を強化すべきではないか”という意見が多い。   〔技術部門の問題点〕  屋外で測定機器を利用する場合や24 時間稼働を要請される場合は、小規模なシステム開発プロジェクトでも高信頼性が求められ、テスト工数が増大する。また、顧客が測定機器にあまり詳しくなかったり関係者が多すぎたりして、システムの仕様がなかなか決まらない場合は、設計工数が増大する。ベテランの技術担当者は、システム開発プロジェクトの開始前に工数が増大しそうな作業を洗い出し、仕様を決めるために関係者によるレビューを行ったり、ハードウェアのテストを先行させたりして、リスクに応じた対応策を準備している。  顧客にとって魅力があり、競争に強いソリューションを作成するには、技術部門全体としての総合力が不足している。顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器を盛り込んだ提案書を作成できるようになるには、個々の技術担当者が業務経験を積む必要がある。若手の技術担当者は、サーバから検索した過去の提案書を流用し、提案書を作成している。作成された提案書については、技術部門の各グループ長が提案内容や見積内容を精査し、営業部門へ提出している。しかし、提案件数が多く、グループ長は十分に確認できず、若手の技術担当者への指導も不十分である。   〔業務改善案〕  C社の社長は、受注案件の増大と利益の確保を目指して、業務改革チームを立ち上げた。業務改革チームは、優秀な営業担当者の活動や失注事例などのノウハウを集約し、営業活動の必須項目と推奨項目を定義した表1の案件管理プロセスを作成した。案件管理システムでは、この定義に従って、営業活動の実施状況を登録し、必須項目の実績に応じて、案件の進捗を表1の5段階で管理することにした。  さらに、システム開発プロジェクトの利益確保のため、見積時に若手の技術担当者でもリスクを評価できるチェックシートを導入した。そして提案書と一緒に提出されたチェックシートで、リスクのチェック状況をグループ長が確認することにした。
応用情報技術者試験(平成23年度 午後 問03 表01)

設問1

営業担当者が引き合いを得るために、顧客に提供すべき有効な情報を三つ挙げ、それぞれ30字以内で述べよ。

模範解答

①:測定機器を組み込んだ情報システムによる業務改善案 ②:C社の測定機器を活用したソリューションの導入事例 ③:概算費用と投資回収期間の目安

解説

解答の論理構成

  1. 引き合い発生の鍵は、先行して成果や効果を具体的に示すことです。問題文には、優秀な営業担当者は「顧客との信頼関係を築き、“C社の測定機器を活用したソリューションの導入事例などを紹介し、引き合いにつなげている。” とあります。したがって導入事例の提示は必須と判断できます。
  2. さらに顧客企業は単なる製品説明ではなく「“当社の業務要件とシステム導入の投資効果を十分に検討してほしい”」と要望しています。この記述から、費用面と投資回収を見通せる情報が有効だと分かります。
  3. 優秀な営業担当者が行っているもう一つの行動は「“提案前に顧客のキーパーソンに予算額を確認することで、顧客の予算に合わせたソリューションの提案を作成している。”」です。ここから、具体的な業務改善案(要件に合わせたシステム像)を示しつつ概算費用を共有すれば、顧客側は予算確保の根拠を得やすくなり、引き合い獲得につながると論理付けられます。
  4. 以上より、
    ①測定機器を組み込んだ情報システムによる業務改善案
    ②C社の測定機器を活用したソリューションの導入事例
    ③概算費用と投資回収期間の目安
    の三点が、顧客に提供すべき有効な情報として正当化されます。

誤りやすいポイント

  • 測定機器のスペックだけを強調し、ソリューション全体像や投資効果を示さない。
  • 過去事例を示さずに自社の実績を裏付けないため、信頼獲得に失敗する。
  • 費用を伏せたまま話を進め、予算感の不一致で引き合いが立ち消えになる。

FAQ

Q: なぜ投資回収期間まで提示する必要があるのですか?
A: 顧客は投資効果まで検討したいと要求しています(“投資効果を十分に検討してほしい”)。費用だけでなく回収期間を示すことで、経営層の判断材料がそろい、引き合いにつながりやすくなります。
Q: 製品カタログを詳細に説明するのは効果的でしょうか?
A: 問題文が示すとおり、機能説明中心では顧客の要望を満たせません。業務改善案や導入事例とセットで提示し、システム全体の価値を示す方が効果的です。
Q: 過去事例が自社にない場合はどうすればよいですか?
A: 類似業界のケーススタディやパイロットプロジェクトの結果を用意し、効果測定データを示すことで代替可能です。実績の裏付けが信頼構築につながります。

関連キーワード: ソリューション提案, 投資対効果, 案件管理, ナレッジ共有

設問2技術部門の業務改革について、(1)、(2)に答えよ。

(1)受注につなげるために、提案書に盛り込むべき内容を、顧客の視点及びC社の視点から、それぞれ30字以内で述べよ。

模範解答

顧客の視点:顧客の業務要件とシステム導入の投資効果 C社の視点:顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器

解説

解答の論理構成

  1. 顧客の要望を確認
    • 【問題文】には、顧客から “測定機器の機能説明を中心とした提案ではなく、当社の業務要件とシステム導入の投資効果を十分に検討してほしい” とある。
    • したがって顧客視点で強調すべきは「業務要件」と「投資効果」。
  2. C社が目指す提案の方向性を確認
    • 技術部門の課題説明で “顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器を盛り込んだ提案書を作成できるようになるには…” と示されている。
    • ここから、C社視点では「業務要件への適合」と「市場競争力のある測定機器」を提案書に織り込む必要があると導ける。
  3. 以上を要素ごとにまとめる
    • 顧客視点:「顧客の業務要件」+「システム導入の投資効果」
    • C社視点:「顧客の業務要件に合致」+「市場競争力のある測定機器」
これが模範解答
・顧客の視点:顧客の業務要件とシステム導入の投資効果
・C社の視点:顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器

誤りやすいポイント

  • 測定機器の機能説明や性能値だけを書き連ね、“業務要件” や “投資効果” を具体的に示さない。
  • C社視点を「自社利益の最大化」などと表現し、顧客要件への適合や市場競争力を外してしまう。
  • 顧客視点とC社視点を混同し、同じ文言を重複させる。
  • “市場競争力のある測定機器” を “高性能測定機器” とだけ書き換え、原文のキーワードを欠落させる。

FAQ

Q: 顧客視点で “投資効果” を強調する理由は何ですか?
A: 【問題文】で顧客自身が “システム導入の投資効果を十分に検討してほしい” と要望しているため、提案書に必ず盛り込むべき核心要素になります。
Q: C社視点に “市場競争力” を入れるメリットは?
A: 自社測定機器の強みを訴求し、競合他社との差別化を図ることで、価格競争だけに陥らず利益を確保できるからです。
Q: “業務要件” は顧客視点とC社視点の両方に登場していますが、意味は同じですか?
A: 基本的には同じですが、顧客視点では「自社業務の課題解決」というニュアンス、C社視点では「提案が顧客要件に合致しているかを示す証拠」というニュアンスで使われます。

関連キーワード: 要件定義, 投資対効果, ソリューション営業, 競争優位, リスク評価

設問2技術部門の業務改革について、(1)、(2)に答えよ。

(2)システム開発プロジェクトの利益確保のために、チェックシートに盛り込むべき、チェック項目を二つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ。

模範解答

①:システムに要求される信頼性の高さ ②:システム仕様の確定の状況

解説

解答の論理構成

  1. チェックシートは「見積時に若手の技術担当者でもリスクを評価」する目的で導入されました。したがって、工数や品質に大きく影響するリスク要因を抽出する必要があります。
  2. 【問題文】には、工数増大の主因として二つの状況が明示されています。
    • 「屋外で測定機器を利用する場合や24 時間稼働を要請される場合は、小規模なシステム開発プロジェクトでも高信頼性が求められ、テスト工数が増大する。」
    • 「顧客が測定機器にあまり詳しくなかったり関係者が多すぎたりして、システムの仕様がなかなか決まらない場合は、設計工数が増大する。」
  3. これらは、①システムが要求する信頼性のレベル、②システム仕様確定の度合い――という二大リスク指標に要約できます。
  4. 以上を踏まえ、チェック項目として
    ①「システムに要求される信頼性の高さ」
    ②「システム仕様の確定の状況」
    を設定することで、見積段階でのリスク顕在化と対策立案が可能になります。

誤りやすいポイント

  • 品質全般を漠然と「品質リスク」とだけ書いてしまい、具体的な判断基準が示されていない。
  • 工数やコストそのものをチェック項目にしてしまう。工数・コストは結果であってリスク要因ではありません。
  • 「顧客満足度」や「市場動向」など、本設問の“見積時リスク”と直接結び付かない視点を挙げる。

FAQ

Q: 信頼性は具体的にどのようにチェックすれば良いですか?
A: 稼働時間、故障許容回数、冗長構成の有無などを具体的に尋ね、テスト計画やハード構成に反映できる粒度で評価すると実務に役立ちます。
Q: 仕様確定の状況を判断する基準はありますか?
A: 要件定義書の合意状況、関係者数、変更管理プロセスの整備状況などを確認します。関係者レビューが完了しているかも重要です。
Q: 他にチェック項目を増やしても良いでしょうか?
A: プロジェクト特性に応じて追加は有効ですが、重要度の高いものから優先順位を付け、チェック数を過多にしないことがポイントです。

関連キーワード: 信頼性, 要求定義, リスクマネジメント, 工数見積り, 品質保証

設問3C社のノウハウを集約した案件管理プロセスについて、(1)、(2)に答えよ。

(1)表1中の推奨項目の ab に入れる活動を、それぞれ20字以内で述べよ。

模範解答

a:キーパーソンに予算額を確認する。 b:意思決定者に提案書を説明する。

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】には、優秀な営業担当者の具体的な行動が示されています。
    引用①「提案前に顧客のキーパーソンに予算額を確認することで、顧客の予算に合わせたソリューションの提案を作成している。」
    ここから “a” には「キーパーソンに予算額を確認する。」が該当すると判断できます。
  2. 同じ段落に、提案書を誰に提示すべきかに関する記述があります。
    引用②「作成した提案書を顧客の意思決定者に説明するまでに至らず、担当者にとどまり、失注してしまうこともある。」
    失注要因の反対を推奨事項とするのが案件管理プロセスの趣旨のため “b” には「意思決定者に提案書を説明する。」が相当します。
  3. 表1「案件管理プロセス」では、推奨項目は“必須項目を補完し、受注確度を高める行動”として整理されています。
    a は “②提案依頼” 段階での顧客情報の深掘り、b は “④プレゼンテーション” 段階での決裁者フォローに一致し、文脈的にも整合します。

誤りやすいポイント

  • a を「予算を提示する」など顧客側の動きを書いてしまう。実際には営業側が「確認」する行為です。
  • b を「キーパーソンに説明する」としてしまうミス。引用②が示す通り、“担当者止まり”を打破するため「意思決定者」が正解です。
  • 段階と行動を取り違え、「契約交渉」フェーズの活動を a・b に入れてしまうケース。

FAQ

Q: “キーパーソン” と “意思決定者” の違いは何ですか?
A: “キーパーソン” は社内で影響力を持ち情報提供や推進を行ってくれる人物、“意思決定者” は最終的な発注可否を決裁する人物です。同一の場合もありますが、別であることが多いので区別が重要です。
Q: 引用①の「予算額を確認する」は必須ではないのですか?
A: 必須項目は RFP の内容確認など最低限の条件で、予算確認は受注確度を高める“推奨項目”として整理されています。
Q: プレゼン時に意思決定者が不在の場合はどうすべきですか?
A: まず同席を依頼し、それでも不在なら別途“意思決定者向け説明”の場を設けるなどフォローが必要です。

関連キーワード: RFI, RFP, プリセールス, 案件管理, キーパーソン

設問3C社のノウハウを集約した案件管理プロセスについて、(1)、(2)に答えよ。

(2)推奨項目の実施状況も登録することで、現在の案件管理システムを更に改善する効果が見込まれる。どのような効果か、30字以内で述べよ。

模範解答

推奨項目の実施状況から受注確度を客観的に判断できる。

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】では、営業担当者が自由記述で進捗を登録しているため「案件の受注確度も登録しているが、確度の判断は営業担当者任せであり、精度が低い」と課題を指摘しています。
  2. 業務改革チームは、この課題を解決するために「表1 案件管理プロセス」を策定し、必須項目だけでなく推奨項目も定義しました。
  3. さらに「案件管理システムでは、この定義に従って、営業活動の実施状況を登録」すると明記しています。
  4. 推奨項目は、受注に至るプロセスの“質”を示す指標です。実施状況を定量的に記録すれば、営業担当者個人の主観に頼らず、客観的な受注確度を算出できます。
  5. したがって「推奨項目の実施状況」を登録することの効果は、模範解答どおり「受注確度を客観的に判断できる」点であると論理的に導けます。

誤りやすいポイント

  • 「推奨項目=任意だから登録不要」と早合点し、効果を“活動の漏れ防止”に限定してしまう。
  • 受注確度の問題が既に挙げられているにもかかわらず、要因分析をせずに「案件の進捗を見える化できる」とだけ記述してしまう。
  • 必須項目と推奨項目の区分を混同し、「必須項目の充実により~」と書いてしまう。

FAQ

Q: 推奨項目を登録すると作業負荷が増えませんか?
A: 活動実績を定型フォームで登録するため負荷は限定的です。それよりも客観的な受注確度算定による見込み誤差の縮小効果が大きいと期待されます。
Q: 受注確度を客観化する具体的な方法は?
A: 推奨項目ごとに重みを設定し、達成率をスコア化します。たとえば「顧客のキーパーソンと信頼関係を築く」を達成すると確度が一定ポイント上昇する仕組みです。
Q: 技術部門にもメリットはありますか?
A: 受注可能性が高い案件が早期に識別できるため、提案書作成やリスク評価のリソース配分を最適化できます。

関連キーワード: リスク評価, 案件進捗管理, 受注確度, 営業プロセス
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