ITストラテジスト 2019年 午後1 問02
保険会社の新事業の企画に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
B社は、中堅の損害保険会社である。業績が伸び悩んでおり、新たな保険商品による収益増加を、新しい中期計画の重点施策にした。保険業界には、近年、ITを業務効率化や生産性向上だけではなく、革新的な商品に活用する場面が増えてきている。B社でも、自動車保険でドライブレコーダーを装着した契約者向けに特約を提供することで、契約件数を伸ばすことができき成功した。これに倣って、ITを活用した新たな医療保険の導入を企画した。
〔新たな医療保険の概要〕
医療保険は、生命保険会社と損害保険会社の双方が取り扱えることから、市場には多くの商品が登場している。B社は、これまでにも医療保険を取り扱ってきたが、競争優位性の確保が難しく販売実績は低迷している。近年の人生100年時代の背景もあり、医療保険契約者の傾向として、健康に気を配っている層が増えている。これらの層には入院や治療などのいざというときに備えたいが、日頃から健康には気を配っていることが保険料に反映されないことに不公平感をもち、契約をためらっている潜在的な契約者も少なくない。
そこでB社では、契約者にセンサデバイスを装着してもらい、得られるデータに応じて月額保険料を割引する医療保険(以下、新商品という)を開発し、新たに販売することにした。健康に気を配っている潜在的な契約者のニーズに応え、見込み客を取り込み、販売を拡大したいと考えている。B社としては、契約者が健康であり続けることで、保険料を割引しても長期にわたり安定的に収入を得られ、かつ、保険金の支払を軽減することが期待できる。
B社は、これまでは、年齢、性別、り患率、治療費などを統計処理した結果に基づき、月額保険料を算定してきた。そのため、センサデバイスから得られるデータに応じた月額保険料の割引率体系の確定のために、データを収集し、さらに統計処理して、新商品の採算性を見極める必要があると考えている。
新商品を提供するには、センサ技術とAI技術の活用が必要になるので、取引先であるデバイスメーカーC社とスタートアップ企業D社と協議して、図1に示す事業スキームを構築することにした。その概要は次のとおりである。
(1) C社は、センサが内蔵されたリストバンド型デバイス(以下、リストデバイスという)をB社へ販売する。B社は、リストデバイスを新商品の契約者に提供する。
(2) 契約者は、リストデバイスを着用し、Bluetoothで自身のスマートフォンと連携させる。リストデバイスで収集される心拍や血圧のバイタルデータ、歩数、移動のデータ(以下、まとめて、健康データという)は、クラウドサービス上のシステム(以下、新商品システムという)に、スマートフォン用アプリケーションプログラムを通じてアップロードされる。新商品システムのためのクラウドサービスや、スマートフォン用アプリケーションプログラムは、C社が提供する。新商品システムはB社が管理する。
(3) B社は、D社のAIエンジン技術を利用して、収集した健康データ、及び病気にかかったり入院したりして保険金が請求された履歴情報(以下、保険金請求情報という)から学習し、それらをAIエンジン学習済モデル(以下、学習済モデルという)として蓄積する。その結果から、契約者別にポイントを計算し、算出されたポイントに応じて、当該契約者の月額保険料の割引率を算定する。その結果を受けて、各人の月額保険料の請求額は四半期ごとに改定する。

B社は、新商品の正式販売には割引率体系の確定が必要であり、一部の顧客や特定地域をターゲットとして割引率をいろいろ変えながら、試行販売を行うことにした。その結果から、学習済モデルの精度を向上させていく予定である。
C社、D社とも、自社技術・サービスの適用事例は少なく、売上げの拡大が期待できることから、今回のB社の新商品の取組には積極的に協力する意向である。特に、
D社は、今後実用化領域の広がりが予想されるAIエンジンの適用拡大に向けた良い機会と捉えている。B社では、今回の新商品の他社に真似されないよう、新商品システムの管理を徹底する。
〔新たな事業への取組〕
B社では、試行販売と並行し、新商品の事業スキームを活用して、新たな事業に取り組むことを計画した。新たな事業の主要な顧客は、多くの被保険者を有していて、大量のデータの入手が期待できることから、健康保険組合とした。健康保険組合は、近年、医療費負担の高額化などによって保険料率や拠出金が増加していて、その削減のために、健康指導などの健康増進活動・予防活動が注目されている。これらの活動の成否は、健康保険組合の被保険者に、自ら健康増進に取り組んでもらえるかどうかに懸かっている。そのためには、被保険者自身が自身の健康状態を把握できて、健康の維持や改善を実感できることが重要になっている。
B社が計画する新たな事業は、被保険者が自身で健康状態を把握できる仕組みを健康保険組合に提供するもので、その概要は次のとおりである。
(1) B社は健康保険組合と契約し、健康保険組合を通じてリストデバイスを被保険者に提供する。健康保険組合では、被保険者の匿名化を行い、リストデバイスのIDで対象の健康データをひも付けできるようにする。B社は、被保険者のリストデバイスから健康データを取得し、管理する。
(2) B社は、定期的にリストデバイスごとの健康データと健康データの統計分析結果を健康保険組合に提供する。
(3) 健康保険組合は、被保険者の同意を得て、匿名化した被保険者の保険給付に関する疾病情報にリストデバイスIDを付与してB社へ提供する。
(4) B社は、取得した健康データや疾病情報を、新商品の学習済モデルに追加して学習させる。
〔健康保険組合からの要望への対応〕
新たな事業に取り組む中で、健康保険組合からは、被保険者の健康診断の結果などの追加のデータの登録機能、及びWebによる健康指導を支援する機能の追加に関する要望が出てきた。B社はこれを受けて、社でこの要望への対応を検討した。その結果、追加機能については新商品への割引率体系の確定には関与しないことから、C社と D社が中心になって取り組むことにし、B社は健康保険組合に両社を紹介することにした。C社と D社の取組内容は次のとおりである。
(1) 被保険者は、健康診断の結果を C社が新たに構築するクラウドサービス上のシステムにアップロードできるようにする。また、自身で取得した、BMI、体脂肪率、睡眠時間、摂取カロリなどのデータも、C社クラウドサービス上のシステムに自発的にアップロードできるようにする。
(2) D社は、(1)でアップロードされたデータを学習させ、学習済モデルを D社自身で新たに構築して、アップロードしたデータに応じた傾向分析を行う。
(3) 健康保険組合及び被保険者は、C社クラウドサービス上のシステムの Web ページで、健康データ、アップロードされたデータ及び傾向分析結果をモニタリングできる。
(4) 健康保険組合では、(3)のデータを用いて、必要に応じて被保険者向け健康指導を行う。また、健康保険組合は、傾向分析結果から健康状態の維持や改善が見られる被保険者に対しては、福利厚生サービスの特典提供などを行う予定にしている。
設問1:〔新たな医療保険の概要〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)B社が新商品を開発する狙いは何か。25字以内で述べよ。
模範解答
健康に気を配っている潜在的な契約者の取込み
解説
解答の論理構成
- 問題文には「健康に気を配っている潜在的な契約者も少なくない」とあります。
- さらに「健康に気を配っている潜在的な契約者のニーズに応え、見込み客を取り込み、販売を拡大したいと考えている」と明記されています。
- したがって、B社が新商品を開発する直接の狙いは「健康に気を配っている潜在的な契約者」を自社に引き込むことです。
- よって解答は「健康に気を配っている潜在的な契約者の取込み」となります。
誤りやすいポイント
- 「AI技術の活用」など技術面を主目的と誤解しやすい
- 「保険金支払の軽減」や「保険料収入の安定」を狙いと書いてしまうケース
- 単に「契約者獲得」だけでは具体性が不足し失点につながりやすい
FAQ
Q: 技術導入や差別化ではなく契約者層の明記が必要ですか?
A: はい。問題文が強調しているのは「健康に気を配っている潜在的な契約者」というターゲット層であり、それを明示することがポイントです。
A: はい。問題文が強調しているのは「健康に気を配っている潜在的な契約者」というターゲット層であり、それを明示することがポイントです。
Q: 「販売拡大」だけでは不足しますか?
A: 不足します。誰を取り込んで販売を拡大するのかが問われているため、具体的に「健康に気を配っている潜在的な契約者」と書く必要があります。
A: 不足します。誰を取り込んで販売を拡大するのかが問われているため、具体的に「健康に気を配っている潜在的な契約者」と書く必要があります。
Q: 新商品の割引制度を答えに入れるべきですか?
A: 割引制度は手段であり主目的ではないため、狙いとして記述する必要はありません。
A: 割引制度は手段であり主目的ではないため、狙いとして記述する必要はありません。
関連キーワード: センサデバイス, バイタルデータ, 保険料割引, データ活用
設問1:〔新たな医療保険の概要〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)B社が試行販売する狙いは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
月額保険料の割引に対する商品の採算性を見極めること
解説
解答の論理構成
- 試行販売の目的を直接示す記述
・問題文には「B社は、新商品の正式販売には割引率体系の確定が必要であり、一部の顧客や特定地域をターゲットとして割引率をいろいろ変えながら、試行販売を行うことにした。」とあります。 - 試行販売で達成したい最終目標
・続けて「その結果から、学習済モデルの精度を向上させていく予定」とあるものの、試行販売を行う根本理由は「センサデバイスから得られるデータに応じた月額保険料の割引率体系の確定のために、…新商品の採算性を見極める必要がある」という記述がより本質です。 - 以上から導かれる答え
・割引率を変化させながら販売し、その結果得られた実績データを解析して「月額保険料を割引しても損益が取れるのか」を確認するのが狙いであると整理できます。
誤りやすいポイント
- 「学習済モデルの精度向上」が主目的と誤解しやすい
→ 精度向上は手段であり、目的は採算性確認です。 - 「顧客ニーズ調査」や「マーケティング検証」と答えてしまう
→ 本文には採算性に焦点を当てた記述が明確にあります。 - 「割引率体系の確定」だけで止めてしまう
→ 体系を確定する理由=商品の収益性判定まで書く必要があります。
FAQ
Q: 試行販売で得たデータはどのように活用されるのですか?
A: 契約者の健康データと「保険金請求情報」を組み合わせ、D社の技術で学習済モデルを更新し、割引率と実際の保険支払額のバランスを検証します。
A: 契約者の健康データと「保険金請求情報」を組み合わせ、D社の技術で学習済モデルを更新し、割引率と実際の保険支払額のバランスを検証します。
Q: 割引率体系が確定すれば正式販売に移行できますか?
A: はい。採算性を確認したうえで割引率が決まれば、B社は正式販売に踏み切る計画です。
A: はい。採算性を確認したうえで割引率が決まれば、B社は正式販売に踏み切る計画です。
Q: 学習済モデルの精度向上だけでは不十分なのでしょうか?
A: 精度が高くても割引率が高すぎて赤字になると事業は成り立ちません。精度向上は採算性判断を支える要素の一つです。
A: 精度が高くても割引率が高すぎて赤字になると事業は成り立ちません。精度向上は採算性判断を支える要素の一つです。
関連キーワード: 統計処理, 機械学習モデル, ビッグデータ解析, 需要予測
設問1:〔新たな医療保険の概要〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)B社が、新商品システムを自ら管理するようにした理由は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
新商品が他社に真似をされないようにしたいから
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には
“B社では、今回の新商品の他社に真似されないよう、新商品システムの管理を徹底する。”
と明記されています。 - 設問は「B社が、新商品システムを自ら管理するようにした理由」を尋ねています。
- 引用文より、理由は “他社に真似されないよう” であることが読み取れます。
- したがって解答は
「新商品が他社に真似をされないようにしたいから」
となります。
誤りやすいポイント
- “データ漏えいを防ぐため” と書きたくなるが、問題文は具体的に “真似されないよう” と述べており論点が異なります。
- “システム品質を確保するため” など、一般論だけで理由を書いてしまうと根拠が不足します。
- C社やD社の技術的制約を理由に挙げると設問の主旨から外れてしまいます。
FAQ
Q: セキュリティ確保も理由になりませんか?
A: セキュリティは重要ですが、本設問が求める“主たる理由”は【問題文】が示す「他社に真似されないよう」であり、そこに焦点を合わせる必要があります。
A: セキュリティは重要ですが、本設問が求める“主たる理由”は【問題文】が示す「他社に真似されないよう」であり、そこに焦点を合わせる必要があります。
Q: “B社の競争優位を維持するため” と書くのは正しいですか?
A: 競争優位の維持は趣旨として近いものの、引用表現 “他社に真似されないよう” を含めないと根拠が明示されません。
A: 競争優位の維持は趣旨として近いものの、引用表現 “他社に真似されないよう” を含めないと根拠が明示されません。
Q: なぜ“自ら管理”が真似防止につながるのですか?
A: システムを自社で管理すれば、仕様やアルゴリズムが外部に漏れにくく、模倣を防ぎやすいからです。
A: システムを自社で管理すれば、仕様やアルゴリズムが外部に漏れにくく、模倣を防ぎやすいからです。
関連キーワード: AIモデル, センサデバイス, データマネジメント, 競争優位性, プライバシー保護
設問2:〔新たな事業への取組〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)B社から提供されるデータなどの健康保険組合での活用方法はどのようなものか。25字以内で述べよ。
模範解答
健康指導などの健康増進活動・予防活動への利用
解説
解答の論理構成
-
B社が健康保険組合へ提供するもの
・【問題文】「B社は、定期的にリストデバイスごとの健康データと健康データの統計分析結果を健康保険組合に提供する。」
ここで示されるデータが活用対象です。 -
健康保険組合が抱える課題とニーズ
・【問題文】「医療費負担の高額化などによって保険料率や拠出金が増加していて、その削減のために、健康指導などの健康増進活動・予防活動が注目されている。」
データを使って被保険者の行動変容を促し、医療費を抑制することが目的であると読み取れます。 -
データ活用の具体的方向性
上記①②をつなげると、提供された健康データや統計分析結果は、被保険者に対する「健康指導」や「健康増進活動・予防活動」をより効果的に実施する材料になります。 -
したがって設問「B社から提供されるデータなどの健康保険組合での活用方法」に対する答えは、引用語句を中心にまとめると
「健康指導などの健康増進活動・予防活動への利用」
となります。
誤りやすいポイント
- 「医療費削減のための分析」だけを書くと“何に活用するか”が曖昧になり減点されやすいです。
- 「被保険者の特典設計」など後段の施策を主語にすると、本来問われている“データの主用途”から焦点がずれます。
- 活用主体はあくまでも健康保険組合であり、B社やD社を主体に書くと誤答になります。
FAQ
Q: 「統計分析結果」も含めて書くべきですか?
A: 設問は“活用方法”を問うているので、データの種類を列挙せず用途を端的に述べれば十分です。
A: 設問は“活用方法”を問うているので、データの種類を列挙せず用途を端的に述べれば十分です。
Q: 「予防活動」と「健康増進活動」は両方入れないといけませんか?
A: どちらか一方でも趣旨は伝わりますが、問題文に両方が並記されているため両方書くと文意を忠実に反映できます。
A: どちらか一方でも趣旨は伝わりますが、問題文に両方が並記されているため両方書くと文意を忠実に反映できます。
Q: 被保険者へのフィードバックを強調してもよいですか?
A: “健康指導”にはフィードバックが含まれるので、本解答の趣旨内であれば問題ありません。
A: “健康指導”にはフィードバックが含まれるので、本解答の趣旨内であれば問題ありません。
関連キーワード: 匿名化, 統計分析, AIモデル, 健康データ, 予防医療
設問2:〔新たな事業への取組〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)B社が新たな事業に取り組む狙いは何か。25字以内で述べよ。
模範解答
被保険者のデータによる学習済モデルの精度向上
解説
解答の論理構成
-
データ量を確保したい背景
- 【問題文】「多くの被保険者を有していて、大量のデータの入手が期待できることから、健康保険組合とした。」
→ 新事業のターゲットを“健康保険組合”に定めた理由は、健康データを多量に集めるためです。
- 【問題文】「多くの被保険者を有していて、大量のデータの入手が期待できることから、健康保険組合とした。」
-
収集したデータの具体的な利用方法
- 【問題文】「B社は、取得した健康データや疾病情報を、新商品の学習済モデルに追加して学習させる。」
→ 健康保険組合経由で取得したデータは、そのまま“学習済モデル”の追加学習に使用されます。
- 【問題文】「B社は、取得した健康データや疾病情報を、新商品の学習済モデルに追加して学習させる。」
-
新事業の狙いの整理
- ① 大量の被保険者データを集める
- ② そのデータで“学習済モデル”を再学習させる
- ③ モデルの予測精度や保険料割引判定の妥当性を高める
→ 以上より、狙いは「被保険者データで学習済モデルの精度を高めること」と言えます。
-
したがって解答は
被保険者のデータによる学習済モデルの精度向上
誤りやすいポイント
- 健康保険組合へのサービス提供が主目的だと早合点し、モデル精度への言及を忘れる。
- 「保険料率や拠出金の削減」が狙いと読み違え、B社ではなく健康保険組合の目的を書いてしまう。
- 「販売拡大」や「顧客満足度向上」を一般論で答え、データ活用という核心を外す。
FAQ
Q: データは匿名化されているのに学習に支障はありませんか?
A: 目的が統計的学習なので、個人を特定しなくても特徴量として十分機能し、モデル精度向上に寄与します。
A: 目的が統計的学習なので、個人を特定しなくても特徴量として十分機能し、モデル精度向上に寄与します。
Q: 健康保険組合への提供データはモデルと無関係ですか?
A: 提供する統計分析結果自体は健康指導用途ですが、その元データと疾病情報は【問題文】にある通り“学習済モデル”にも再学習させます。
A: 提供する統計分析結果自体は健康指導用途ですが、その元データと疾病情報は【問題文】にある通り“学習済モデル”にも再学習させます。
Q: モデル精度が上がると具体的に何が改善されますか?
A: 保険料割引率の算定がより契約者のリスクを的確に反映し、割引し過ぎによる保険収支悪化や割引不足による顧客離反を防ぎます。
A: 保険料割引率の算定がより契約者のリスクを的確に反映し、割引し過ぎによる保険収支悪化や割引不足による顧客離反を防ぎます。
関連キーワード: 機械学習, 匿名加工情報, データ収集, 予測モデル, 精度向上
設問2:〔新たな事業への取組〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)B社が、被保険者の健康データに加えて、疾病情報を学習させる理由は何か。35字以内で述べよ。
模範解答
保険金請求情報に代わる情報として割引率体系の確定に必要だから
解説
解答の論理構成
- 新商品の割引率は、契約者ごとに「健康データ」と「保険金請求情報」を AI に学習させて算定すると明記されています。
――【問題文】「収集した健康データ、及び病気にかかったり入院したりして保険金が請求された履歴情報(以下、保険金請求情報という)から学習し…当該契約者の月額保険料の割引率を算定する」 - 新たな事業では、健康保険組合を通じて「疾病情報」を受領し、それを「新商品の学習済モデルに追加して学習させる」と示されています。
――【問題文】「B社は、取得した健康データや疾病情報を、新商品の学習済モデルに追加して学習させる」 - 健康保険組合の被保険者は B 社の保険契約者ではないため、「保険金請求情報」は存在しません。したがって疾病情報は、割引率体系を精度高く確定するための代替データになります。
- 以上より、模範解答の「保険金請求情報に代わる情報として割引率体系の確定に必要だから」が導かれます。
誤りやすいポイント
- 「疾病情報=診断書そのもの」と早合点し、プライバシー保護目的だけを書いてしまう。
- 「健康データが増えるほど精度向上」とだけ書き、なぜ疾病情報が特に必要なのかを示さない。
- 「保険金請求情報が入手できない」点を見落とし、理由に含めない。
FAQ
Q: なぜ健康保険組合経由では「保険金請求情報」が取れないのですか?
A: 被保険者は B 社の保険契約者ではなく、医療費は健康保険組合から支払われるため、B 社には請求データが届かないからです。
A: 被保険者は B 社の保険契約者ではなく、医療費は健康保険組合から支払われるため、B 社には請求データが届かないからです。
Q: 疾病情報は具体的にどのような項目が AI 学習に使われますか?
A: 疾病名、発症時期、治療内容などの匿名化済み情報が想定されます。これらを健康データと組み合わせ、疾病発症リスクと生活習慣の関連性を学習します。
A: 疾病名、発症時期、治療内容などの匿名化済み情報が想定されます。これらを健康データと組み合わせ、疾病発症リスクと生活習慣の関連性を学習します。
Q: 疾病情報を用いることでどんなメリットがありますか?
A: 割引率体系の精度向上に加え、疾病リスクの早期予測が可能となり、契約者や被保険者への予防提案といった付加価値サービスにもつながります。
A: 割引率体系の精度向上に加え、疾病リスクの早期予測が可能となり、契約者や被保険者への予防提案といった付加価値サービスにもつながります。
関連キーワード: センサデバイス, AIモデル, 統計分析, 健康データ, 匿名化
設問3:〔健康保険組合からの要望への対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)健康保険組合が追加機能を要望した背景はどのようなものか。30字以内で述べよ。
模範解答
被保険者が自ら健康増進に取り組んでもらうため
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、健康保険組合の課題として「医療費負担の高額化」への対策として「健康増進活動・予防活動」が挙げられています。
引用:「健康指導などの健康増進活動・予防活動が注目されている」 - その活動が成功する条件を次の一文が示しています。
引用:「これらの活動の成否は、健康保険組合の被保険者に、自ら健康増進に取り組んでもらえるかどうかに懸かっている」 - さらに、被保険者が取り組むための要件として「自身の健康状態を把握できて、健康の維持や改善を実感できること」が重要と説明されています。
引用:「被保険者自身が自身の健康状態を把握できて、健康の維持や改善を実感できることが重要になっている」 - 追加機能(データ登録やWeb健康指導支援)は、まさに被保険者が自発的に健康管理・改善を行う仕掛けです。
- 以上より、健康保険組合が機能追加を求めた背景は「被保険者に主体的に健康増進へ取り組ませること」であると導けます。
誤りやすいポイント
- 「医療費削減」を背景とだけまとめてしまう
→ 目的は削減の手段としての「行動変容」である点を見落としやすいです。 - 「匿名化」や「データ量確保」など技術面を強調しすぎる
→ 要望は機能追加の目的(ユーザ行動)に着目する必要があります。 - 被保険者ではなく「健康保険組合が健康増進に取り組む」と誤記する
→ 主語を取り違えると意図がずれてしまいます。
FAQ
Q: 医療費削減を直接理由にしてはいけませんか?
A: 削減は最終目標ですが、要望の直接動機は「被保険者の主体的な健康増進」を促すことです。引用文にもその点が強調されています。
A: 削減は最終目標ですが、要望の直接動機は「被保険者の主体的な健康増進」を促すことです。引用文にもその点が強調されています。
Q: 「健康状態を把握」「実感できる」などのフレーズは解答に含めるべきですか?
A: それらは背景説明の要素ですが、核心は「自ら健康増進に取り組む」点です。
A: それらは背景説明の要素ですが、核心は「自ら健康増進に取り組む」点です。
Q: なぜWebによる健康指導が必要なのですか?
A: オンラインで随時データを見せフィードバックを行うことで、被保険者が行動変容を起こしやすくするためです。
A: オンラインで随時データを見せフィードバックを行うことで、被保険者が行動変容を起こしやすくするためです。
関連キーワード: 行動変容, ヘルスケアデータ, モニタリング, インセンティブ
設問3:〔健康保険組合からの要望への対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)C社とD社が追加機能の要望に取り組むことにした狙いは何か。それぞれ20字以内で述べよ。
模範解答
C社:クラウドサービスの適用拡大
D社:AIエンジン技術の適用拡大
解説
解答の論理構成
- 追加機能の担当が決定した経緯
・【問題文】の「追加機能については…C社と D 社が中心になって取り組むことにし」とあるように、B社は自社ではなく両社に対応を委ねています。 - C社が得られるメリットを把握
・C社は「C 社が新たに構築するクラウドサービス上のシステム」に健康診断結果などを蓄積し、健康保険組合と被保険者にWeb提供を行います。
・同じ段落の前段では「C社、D社とも、自社技術・サービスの適用事例は少なく」と述べられており、C社にとっては自社クラウドサービスを実運用で拡大できる好機です。
⇒ 狙いは「クラウドサービスの適用拡大」。 - D社が得られるメリットを把握
・D社は「学習済モデルを D 社自身で新たに構築して、アップロードしたデータに応じた傾向分析を行う」と記載されています。
・また【問題文】には「特に、 D社は、今後実用化領域の広がりが予想されるAIエンジンの適用拡大に向けた良い機会」と明記されています。
⇒ 狙いは「AIエンジン技術の適用拡大」。
誤りやすいポイント
- 「売上げ拡大」「事例創出」など抽象度の高い表現でまとめると、設問が求める“自社技術に直結したキーワード”が不足し減点対象になることがあります。
- C社とD社を逆に記述してしまうミス。C社はクラウド、D社はAIエンジンであることを図1や本文から確認しましょう。
- 追加機能の目的と、もともとの新商品スキームでの目的を混同し、保険料割引や契約者メリットを狙いに書いてしまうケース。設問はあくまで「C社」「D社」の立場での狙いを問うています。
FAQ
Q: C社の狙いに「IoTデバイス販売拡大」と書いたら不正解ですか?
A: 主軸は「クラウドサービス」の活用事例を増やす点にあります。「リストデバイス」の販売は本文で追加機能の主目的ではないため減点対象になり得ます。
A: 主軸は「クラウドサービス」の活用事例を増やす点にあります。「リストデバイス」の販売は本文で追加機能の主目的ではないため減点対象になり得ます。
Q: D社の狙いに「学習データの収集」と書くのはどうですか?
A: AIエンジンの実適用を増やすことが本文で明示されているので、「AIエンジン技術の適用拡大」と表現するのが最適です。データ収集は手段に過ぎません。
A: AIエンジンの実適用を増やすことが本文で明示されているので、「AIエンジン技術の適用拡大」と表現するのが最適です。データ収集は手段に過ぎません。
Q: 20字以内を超えたら失点になりますか?
A: 字数制限がある設問では超過分が採点の対象外、または減点となる場合があります。本文のキーワードを端的にまとめましょう。
A: 字数制限がある設問では超過分が採点の対象外、または減点となる場合があります。本文のキーワードを端的にまとめましょう。
関連キーワード: クラウドサービス, AIエンジン, データ活用, 統計分析


