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プロジェクトマネージャ 2012年 午後1 問02


プロジェクトの立て直しに関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

 R社は、中堅のSI企業である。先ごろ、中堅の製造業のH社から、経営管理システムの開発を受注した。R社社長が友人であるH社社長からシステム化の相談を受けたのがきっかけであった。  プロジェクトの開始に当たって、R社社長は、若手のS氏をプロジェクトマネージャ(PM)に任命し、社内から優秀なメンバを集めてプロジェクトを進めることにした。要件定義、外部設計及び総合テストは委任契約、内部設計から結合テストまでは請負契約を締結することになっている。来年1月から開始するプロジェクトのスケジュールを図1に示す。
プロジェクトマネージャ試験(平成24年 午後1 問2 図1)
 要件定義及び外部設計終了の際には、両社社長及びH社の各部門の責任者を交えたステアリングコミッティを開催して、要求事項が反映されているかどうかの確認と、次工程以降の開発計画の承認、契約内容について見直しが必要かどうかの協議を行うことになっている。稼働開始時期については、当初はH社社長から“来年1月にプロジェクトを開始し、1年後の再来年の1月に稼働開始したい”という要求が寄せられたが、外部設計が完了した段階で協議することで合意されていた。その後、プロジェクトの開始に当たって、R社社長がH社社長を訪問したときに、R社社長がS氏の反対を抑える形で、“プロジェクト開始から1年後の稼働開始を目指す”ことを口頭ではあるが約束している。  プロジェクトは1月に予定どおり開始され、要件定義の作業は、H社社長の要求を確認している段階では順調に進んでいた。しかし、各部門の要求を洗い出す段階になると要求が収束せず、S氏の手に余る状況となり、ついに着手から1か月半を経過した時点で、S氏が体調不良を訴え、PMを交代することとなった。R社は、事態を打開するために、ベテランのT氏を新たなPMとして選任し、プロジェクトの立て直しを図ることにした。   〔プロジェクトの状況把握〕  T氏は、プロジェクトの状況を把握するために、これまでの議事録や中間成果物の確認を行い、その結果を、次のように整理した。 (1) H社のシステム化の状況と経営管理システムの範囲  ・H社には会計用ソフトウェアパッケージなど幾つかのシステムは導入されているものの、システム間の連携はとられていない。そのため、各部門の業務担当者は、月初にPCで前月分のデータを集計し、業務管理レポートとして取りまとめ、経営管理部に報告すると同時に、部門運営の資料として活用している。  ・経営管理部のI部長は、業務管理レポートの中から必要な数値を取りまとめて経営管理レポートとしてH社社長に報告している。経営管理レポートを最終的にH社社長が見るのは翌月の後半になっている。  ・H社の経営管理システムは、全社の運営のための経営管理レポートと、部門運営のための業務管理レポートを対象とする。 (2) 経営管理レポートの要件定義の状況  ・H社社長は、厳しい経営環境の中で、自社の経営状況を1日でも早く把握したいと考えており、I部長に対して、“経営管理システム稼働後は、経営管理レポートを翌月5営業日以内に提出するように”という指示を出している。  ・H社社長の要求する経営管理レポートのデータ項目の洗い出しは完了し、H社社長の承認も得ている。また、各データ項目がどのシステムから提供されているかについての調査も完了し、既存システムとの連携によって必要なデータを集計するデータフローの定義も完了している。 (3) 業務管理レポートの要件定義の状況  ・各部門の業務管理レポートは、経営管理部へ報告されると同時に、各部門の運営のための資料となっている。そのため、業務管理レポートは、各部門独自の管理項目を含んでおり、集計方法や表示形式も、各部門の業務担当者ごとに異なる。システム化の要求内容も確認するたびに範囲が拡大している。  T氏は、このプロジェクトには目標が決まっている範囲と、決まっていない範囲があると感じた。また、目標が決まっている範囲の作業については、現在の工程の作業として、適切に進められてきたと評価する一方、目標が決まっていない範囲については、状況を改善するために、早急に対策を講じる必要性を感じた。   〔関係者へのヒアリング〕  T氏は、先に把握したプロジェクトの状況を踏まえて、各関係者にヒアリングを行い、次のように整理した。  ・H社社長:経営状況の早期把握が、プロジェクト開始から1年後に実現することに最大の関心をもっている。  ・I部長:“経営管理システム稼働後は、経営管理レポートを翌月5営業日以内に提出するように”というH社社長の指示の達成を最優先に考えている。  ・各部門の業務担当者:経営管理部から“経営管理システムに対する要求を出すように”との依頼を受けて、関係する各部門の業務担当者が依頼に対応している。H社の業務管理レポートの項目は、経営管理部で必要とする項目以外は、各部門の業務担当者の判断に任されているので、様々な要求が出ている。  ・R社チームメンバ:社長同士の付き合いに気を使うあまり、H社の業務担当者の要求に全て対応している。  T氏はこの分析から、経営管理システムの要件が収束しない原因を理解した。T氏は、プロジェクト管理の観点から、実装範囲の優先順位を明確にしたプロジェクト運営方針を策定し、プロジェクトを進める必要があると考えた。そのため、R社社長とも事前に相談した上で、H社社長に対して、今後のプロジェクトの運営方針の骨子を次のとおり説明し、プロジェクトの関係者全員に徹底してもらうように依頼した。  ・開発のチーム体制を、経営管理レポートを担当するチームと、業務管理レポートを担当するチームに分ける。  ・経営管理レポートはH社社長の要求どおり、プロジェクト開始から1年後の翌年1月の稼働開始を目指す。  ・業務管理レポートについては、要件が定義できた時点で改めて開発計画を策定することにして、当面は、要求事項の取りまとめを優先して進める。  ・業務管理レポートを担当するチームは、業務担当者の要求を聞く際には、必ず要求の実現による業務上の効果と、優先順位を確認し、要求と併せて記録する。  H社社長は状況を理解し、運営方針の骨子を了承するとともに、臨時のステアリングコミッティを開催し、プロジェクトの関係者全員を招集して説明を行うことにした。   〔ステアリングコミッティ〕  ステアリングコミッティにおいて、T氏は、“プロジェクト開始から1年後に稼働開始するというH社社長の要求を実現するのであれば、この運営方針で進める必要がある。”と前置きした上で、先に両社社長に説明して了承を得た運営方針を提案した。さらに、その前提として、業務担当者の要求を取りまとめるために、H社に対して、体制面である対策をとるよう提案した。また、T氏は、業務管理レポートについては、要件が定義できた時点で改めて開発費用や期間を見積もって開発を進めることを提案した。T氏は、この運営方針で進めることが、H社社長の要求を満たし、H社業務担当者の要求を効果的に実現するための最善の方法であることを説明した。T氏の提案は、両社社長及び各部門の責任者の同意を得て、ステアリングコミッティの決定事項として承認された。

設問1:〔プロジェクトの状況把握〕について、(1)~(3)に答えよ。

設問1(1)

問題文を見る
T氏が感じた、このプロジェクトで目標が決まっている範囲の、目標とは何を指すか。30字以内で述べよ。

模範解答

経営管理レポートを翌月5営業日以内に提出すること

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、T氏が「目標が決まっている範囲」と判断した部分の目標です。プロジェクト全体の稼働開始時期ではなく、本文で具体的な目標として定められている内容を探します。
  2. 経営管理レポートについて、H社社長は「経営管理レポートを翌月5営業日以内に提出するように」と指示しています。提出時期が具体的に示されているので、達成すべき目標が明確です。
  3. また、経営管理レポートのデータ項目は洗い出され、H社社長の承認も得ています。必要なデータの提供元やデータフローも定義済みです。つまり、提出時期だけでなく、その実現に必要な要件も具体化されており、目標が定まった範囲と判断できます。
  4. 一方、業務管理レポートは部門ごとに項目や集計方法、表示形式が異なり、要求を確認するたびに範囲が拡大しています。こちらは目標が定まっていない範囲です。この対比から、問われている目標は、経営管理レポートの提出時期を示すものだと分かります。

誤りやすいポイント

  • 「プロジェクト開始から1年後の稼働開始」を答えてしまうことがあります。これは稼働開始時期の要求であり、ここで問われている「目標が決まっている範囲」の具体的な目標とは異なります。
  • 経営管理レポートのデータ項目やデータフローを答えるのも適切ではありません。それらは目標を実現するために定義された要件であり、問われている目標そのものではありません。
  • 業務管理レポートの要求は、部門ごとに内容が異なり、範囲も拡大しているため、目標が決まっている範囲の根拠にはなりません。

FAQ

Q: なぜ「翌月5営業日以内」が目標だと判断できるのですか?
A: H社社長の指示として提出期限が具体的に示されており、達成できたかどうかを判断できるからです。
Q: 「プロジェクト開始から1年後の稼働開始」は目標ではないのですか?
A: 稼働開始時期に関する要求ではありますが、この設問では、要件が定まった範囲の目標として経営管理レポートの提出時期を問われています。

関連キーワード: 要件定義、要求管理、スコープ管理、ステークホルダー管理

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設問1(2)

問題文を見る
T氏が“目標が決まっている範囲の作業については、現在の工程の作業として、適切に進められてきた”と評価した作業とは何か。30字以内で述べよ。

模範解答

経営管理レポートのデータ項目の洗い出しとH社社長の承認

解説

解答の導き方

  1. まず、問われているのは、T氏が「目標が決まっている範囲」で、現在の工程の作業として適切に進んできたと評価した作業です。したがって、要件がまだ収束していない業務管理レポートではなく、目標が明確になっている範囲に注目します。
  2. 経営管理レポートについては、H社社長が必要とするデータ項目の洗い出しが完了し、その内容について「H社社長の承認も得ている」とあります。必要な項目が明らかになり、依頼者の承認も得られているため、この部分の要件は明確です。
  3. これに対して、業務管理レポートは、各部門独自の管理項目があり、「システム化の要求内容も確認するたびに範囲が拡大している」と説明されています。つまり、要件が定まっていない範囲であり、今回問われている作業とは区別できます。
  4. 以上から、適切に進められてきた作業として答える中心は、経営管理レポートについてのデータ項目の洗い出しと、その内容に対するH社社長の承認です。既存システムとの連携調査やデータフローの定義も完了していますが、30字以内で作業を述べる解答では、問題文が示すこの要件確認の作業をまとめます。

誤りやすいポイント

  • 業務管理レポートの要求も含めて答えないようにします。各部門の要求は範囲が拡大しており、目標が決まっていない側の状況です。
  • 「要件定義が完了した」とだけ答えると、どの作業が適切に進んだのかが具体的に伝わりません。
  • データ項目の洗い出しだけでなく、H社社長の承認まで含めることが大切です。承認によって、要求内容が確認され合意されたことが示されます。
  • 経営管理レポートのデータフロー定義など、関連する進捗をすべて並べると、字数制限を超えたり、問われている作業が不明確になったりするおそれがあります。

FAQ

Q: なぜ業務管理レポートの作業は答えに含めないのですか?
A: 各部門の要求が確認のたびに拡大しており、目標が定まっていない範囲だからです。
Q: 「H社社長の承認」は、なぜ作業として重要なのですか?
A: データ項目を洗い出しただけでなく、要求する側の承認を得ており、要件が確認・合意されたことが分かるためです。
Q: 既存システムとの連携調査やデータフロー定義も完了しているのに、解答に含めなくてよいのですか?
A: それらも本文に示された進捗ですが、問われている作業を字数内で具体的に述べるには、データ項目の洗い出しと承認を中心に答えるのが適切です。

関連キーワード: 要件定義、要求分析、スコープ管理、ステークホルダー、合意形成

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設問1(3)

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T氏が、早急に対策を講じる必要性を感じた、目標が決まっていない範囲の改善すべき状況とは、具体的にどのような状況のことか。30字以内で述べよ。

模範解答

システム化の要求内容を確認するたびに範囲が拡大していること

解説

解答の導き方

  1. 問われているのは、目標が決まっていない範囲について、T氏が改善を必要と考えた具体的な状況です。「目標が決まっていない」という説明を言い換えるのではなく、本文に書かれた問題の状態を特定します。
  2. 経営管理レポートについては、データ項目の洗い出しや社長の承認、既存システムからデータを集計する流れの定義が完了しています。一方、業務管理レポートには部門独自の項目があり、集計方法や表示形式も担当者ごとに異なると説明されています。この違いから、要件が決まっていない範囲は業務管理レポート側だと分かります。
  3. その範囲の状況について、本文には「システム化の要求内容も確認するたびに範囲が拡大している」とあります。つまり、要求を確認しても対象範囲が定まらず、確認のたびに開発対象が広がっています。
  4. したがって、改善すべき状況として述べるのは、要求内容を確認するたびにシステム化の範囲が拡大していることです。「要件が未確定」とだけ述べるより、本文が示す具体的な問題を表すことが重要です。

誤りやすいポイント

  • 「業務管理レポートの要件が決まっていない」とだけ答えると、要件が定まらないことで実際に起きている問題が伝わりません。
  • 経営管理レポートと業務管理レポートの両方が未確定だと捉えないようにします。経営管理レポートは、データ項目やデータフローの定義が完了しています。
  • 要求の数が多いことだけを問題にするのも不十分です。問題なのは、確認を重ねるたびにシステム化の範囲が拡大していることです。

FAQ

Q: 「目標が決まっていない範囲」とは、何を指していますか?
A: 業務管理レポートの範囲です。部門ごとに必要な項目や集計方法、表示形式が異なり、要求内容が定まっていません。
Q: 要求の確認を続ければ、自然に問題は解決しますか?
A: この状況では、確認のたびに対象範囲が拡大しています。要求を聞くだけでなく、実現する範囲を整理する必要があります。
Q: 経営管理レポートの範囲も同じ問題を抱えていますか?
A: 本文では、経営管理レポートのデータ項目の洗い出しやデータフローの定義は完了していると説明されています。問題の中心は業務管理レポート側です。

関連キーワード: 要件定義、スコープ管理、スコープクリープ、要求管理、優先順位付け

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設問2:〔関係者へのヒアリング〕について、(1)~(4)に答えよ。

設問2(1)

問題文を見る
T氏が分析結果から理解した、経営管理システムの要件が収束しない原因とは何か。40字以内で述べよ。

模範解答

業務管理レポートの項目が各部門の業務担当者の判断に任されているから

解説

解答の導き方

  1. まず、要件が収束している範囲と、収束していない範囲を分けて考えます。本文では、経営管理レポートについては、データ項目の洗い出しとH社社長の承認が済み、必要なデータを集計するデータフローの定義も完了しています。したがって、要件が収束しない原因は、主に業務管理レポート側にあります。
  2. 業務管理レポートについて、本文には「各部門独自の管理項目を含んでおり」、集計方法や表示形式も業務担当者ごとに異なるとあります。さらに、システム化の要求範囲が確認のたびに拡大しています。
  3. その背景として、ヒアリングでは、経営管理部が必要とする項目以外は各部門の業務担当者の判断に任されており、その結果、様々な要求が出ていると分かります。つまり、各部門で共通の基準や優先順位が定まらないまま、担当者ごとに項目を決めていることが、要求がまとまらない原因です。
  4. R社チームが要求に全て対応していることも、要求範囲の拡大を助長しています。ただし、問われている根本の原因は、業務管理レポートの項目を決める基準が各部門の業務担当者に委ねられている点です。

誤りやすいポイント

  • 経営管理レポートと業務管理レポートを混同しないようにします。経営管理レポートは、必要な項目の洗い出しや承認が済んでいます。
  • 「要求の範囲が拡大している」は現れている状況であり、その背景にある「各部門の業務担当者の判断に任されていること」まで述べると、原因を捉えた解答になります。
  • R社チームが要求に全て対応している点だけを原因として挙げると、各部門から様々な要求が出る根本的な理由を説明できません。

FAQ

Q: 業務担当者ごとに集計方法や表示形式が異なることも、原因に含まれますか?
A: 要件が収束しない状況を示す要素です。解答では、そうした違いが生じる背景として、項目の決定が各部門の業務担当者に任されている点を押さえるとよいです。
Q: R社チームが要求に全て対応していることは、原因ではないのですか?
A: 要求範囲が広がる一因ではあります。ただし、問題が尋ねている原因としては、各部門の要求に共通の決定基準がなく、項目の選定が担当者の判断に委ねられている点が中心です。
Q: 経営管理レポートの要件も、収束していないのでしょうか?
A: いいえ。本文では、データ項目の洗い出しとH社社長の承認、データフローの定義が完了したとされています。問題の中心は業務管理レポートの要件です。

関連キーワード: 要件定義、要求管理、スコープ管理、ステークホルダー、優先順位付け

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設問2(2)

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T氏が、プロジェクト運営方針についてR社社長と事前に相談した理由とは何か。35字以内で述べよ。

模範解答

プロジェクト開始から1年後に稼働開始する約束が一部守られないから

解説

解答の導き方

  1. まず、R社社長がH社社長に対して、S氏の反対を抑える形で「プロジェクト開始から1年後の稼働開始を目指す」と約束したことを確認します。つまり、1年後の稼働開始は、R社社長自身が行った約束です。
  2. 一方、T氏が示した運営方針では、経営管理レポートは1年後の稼働開始を目指しますが、業務管理レポートは要件が定義できた時点で改めて開発計画を策定します。そのため、経営管理システム全体を1年後に稼働させるという約束を、すべての範囲で実現できるとは限りません。
  3. このように、新しい運営方針はR社社長がH社社長にした約束と一部食い違う可能性があります。その方針をH社社長に説明する前に、約束をしたR社社長と相談し、方針との整合を取っておく必要があったと分かります。

誤りやすいポイント

  • 相談の理由を、単なる社内手続や情報共有だと捉えないようにします。重要なのは、R社社長自身が1年後の稼働開始を約束していた点です。
  • 経営管理レポートは1年後の稼働開始を目指す一方、業務管理レポートは開発計画を後で策定します。システム全体の範囲が一律に1年後の稼働対象になるわけではありません。
  • 「1年後の稼働開始を目指す」という約束がすべて破棄されるのではなく、一部の範囲では実現を目指し、別の範囲では後続の計画に委ねる方針になっています。

FAQ

Q: 経営管理レポートについても、1年後の稼働開始を目指さない方針なのですか?
A: いいえ。運営方針では、経営管理レポートはプロジェクト開始から1年後の稼働開始を目指しています。
Q: なぜ、業務管理レポートの開発計画を後で策定することが問題になるのですか?
A: 業務管理レポートの範囲や要件がまだ定まっていないため、1年後にシステム全体を稼働させるという約束を、その範囲まで含めて実現できるかが確定していないからです。
Q: R社社長との事前相談では、何を確認する必要がありましたか?
A: 以前の約束と、業務管理レポートの開発を後続計画に委ねる運営方針との間にあるずれを共有し、H社社長への説明に先立って認識を合わせる必要がありました。

関連キーワード: スコープ管理、ステークホルダー管理、要求管理、合意形成、プロジェクト計画

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設問2(3)

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T氏はなぜ、H社社長の要求する経営管理レポートの部分と、業務担当者の要求する業務管理レポートの部分に分けて進めることにしたのか。30字以内で述べよ。

模範解答

H社社長の要求を来年1月までに完了させたいから

解説

解答の導き方

  1. まず、T氏が優先して実現しようとしている要求を確認します。H社社長は「経営状況の早期把握」に最大の関心があり、経営管理レポートを翌月5営業日以内に提出するよう指示しています。さらに、プロジェクト開始から1年後の翌年1月の稼働開始を目指す方針が示されています。
  2. 次に、二つのレポートの要件定義の進み具合を比べます。経営管理レポートは、データ項目についてH社社長の承認を得ており、既存システムとの連携によるデータフローの定義も完了しています。一方、業務管理レポートは部門ごとに管理項目や集計方法が異なり、要求の範囲が拡大しています。つまり、前者は目標とする内容が定まり、後者はまだ定まっていません。
  3. このまま両方の要求を一つの作業として進めると、業務管理レポートの要件が定まらないことが、経営管理レポートの開発にも影響しかねません。そこで、経営管理レポートを担当するチームと業務管理レポートを担当するチームに分け、前者の開発を優先できるようにしています。
  4. したがって、分けて進める理由は、未確定の業務管理レポートの要求に引きずられず、H社社長が求める経営状況の早期把握を、プロジェクト開始から1年後の翌年1月までに実現するためです。

誤りやすいポイント

  • 「要求の範囲が拡大しているから」だけでは、分ける目的まで説明できていません。分けることで、H社社長の要求を期限までに実現しようとしている点が重要です。
  • 二つのレポートを分ける理由を、単なる作業分担やチーム編成の都合と考えないようにします。優先度と稼働時期の違いに基づく判断です。
  • 業務管理レポートを開発しないという意味ではありません。要件が定義できた時点で、改めて開発計画を策定する方針です。

FAQ

Q: 経営管理レポートを先に進められるのはなぜですか?
A: 必要なデータ項目の洗い出しと承認、既存システムとのデータフローの定義が完了しているためです。
Q: 業務管理レポートは後回しにしてよいのですか?
A: 開発を取りやめるのではなく、まず要求を取りまとめ、要件が定義できた段階で開発計画を立てる方針です。
Q: チームを分けることは、期限の達成にどう役立ちますか?
A: 業務管理レポートの未確定な要求が、経営管理レポートの開発を遅らせるのを防ぎ、優先する部分に作業を集中できます。

関連キーワード: 要件定義、スコープ管理、優先順位付け、段階的開発、ステークホルダー管理

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設問2(4)

問題文を見る
T氏が、業務管理レポートを担当するチームに、業務担当者の要求を聞く際には、業務上の効果と、優先順位を確認させた理由は何か。30字以内で述べよ。

模範解答

業務管理レポートの要件を収束させる根拠とするから

解説

解答の導き方

この設問では、業務担当者に要求の「業務上の効果」と「優先順位」を確認させることが、要件定義にどう役立つのかを考えます。
本文では、業務管理レポートに各部門独自の管理項目があり、集計方法や表示形式も担当者ごとに異なるとされています。さらに、「システム化の要求内容も確認するたびに範囲が拡大している」状況です。つまり、出された要求をそのまま取り込むだけでは、要件の範囲を定められず、内容が収束しません。
また、R社チームメンバは、社長同士の付き合いに気を使い、業務担当者の要求に全て対応していました。このままでは、要求の必要性や重要度を判断する基準がありません。
そこで、要求ごとに業務上の効果を確認すれば、その要求を実現する意義を把握できます。さらに、優先順位も確認して記録すれば、複数の要求を比較し、どれを優先して要件に含めるかを判断できます。このように、要求を整理・選別するための判断材料を得て、業務管理レポートの要件を収束させることが目的です。

誤りやすいポイント

  • 要求を聞き漏らさないため、とだけ考えないことです。設問の焦点は、要求を集めることではなく、要件を収束させるための確認にあります。
  • 「優先順位を確認する」だけに注目しないことです。業務上の効果も併せて把握することで、優先順位の根拠が明らかになります。
  • 業務担当者の要求をすべて実現することが目的だと捉えないことです。要求の効果と優先度を基に、実現する範囲を判断するための情報を集めます。

FAQ

Q: 業務上の効果を確認するのはなぜですか?
A: 要求を実現する価値や必要性を把握し、要求を比較・選別する判断材料にするためです。
Q: 優先順位だけを記録すれば十分ではありませんか?
A: 優先順位に加えて業務上の効果も分かれば、なぜその要求を優先するのかを判断しやすくなります。
Q: 要求を記録するだけで、要件は収束しますか?
A: 記録した要求について効果と優先順位を確認し、それを根拠に実現する範囲を判断することで、要件を収束させやすくなります。

関連キーワード: 要件定義、要求管理、優先順位付け、スコープ管理

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T氏が、H社社長の要求を実現する運営方針の前提として、H社に提案した体制面の対策とは何か。30字以内で述べよ。

模範解答

業務担当者の要求を取りまとめる責任者を決めてもらう。

解説

解答の導き方

  1. まず、問題が尋ねているのは、業務管理レポートの要求をまとめるために、T氏がH社へ提案した「体制面」の対策です。要求の内容や開発順序ではなく、要求を誰がどのように取りまとめる体制にするかを考えます。
  2. 本文では、業務管理レポートに「各部門独自の管理項目」が含まれ、集計方法や表示形式も業務担当者ごとに異なると説明されています。さらに、システム化の要求範囲が確認のたびに拡大していました。つまり、複数の担当者から異なる要求が出ており、要求を整理・調整する役割が明確になっていないことが問題です。
  3. ヒアリング結果からも、各部門の担当者がそれぞれの判断で要求を出し、R社のメンバはその要求に全て対応していると分かります。このままでは、要求の優先順位や対象範囲を定めにくく、業務管理レポートの要件が収束しません。
  4. そこで、H社側で要求を集約する役割を担う人を明確にする必要があります。T氏が求めた対策は、業務担当者の要求を取りまとめる責任者をH社に決めてもらうことです。

誤りやすいポイント

  • 「業務上の効果や優先順位を確認すること」を体制面の対策とする誤りです。それは要求を聞く際の進め方であり、責任者を置くという体制の変更とは別です。
  • R社のチームを増員することや、業務担当者の要求を一律に受け付けないことと取り違えないようにします。必要なのは、H社側で要求を整理・集約する担当を明確にすることです。
  • 要件が定義できた時点で開発費用や期間を見積もる提案は、開発計画に関するものです。問われている体制面の対策とは異なります。

FAQ

Q: なぜH社側に責任者を置く必要があるのですか?
A: 部門ごとに異なる要求をR社だけで判断すると、業務上の必要性や部門間の調整を適切に行えないためです。H社側で要求を集約する役割を明確にする必要があります。
Q: 各担当者に要求の優先順位を尋ねるだけでは不十分ですか?
A: 優先順位を確認することは有効ですが、複数の担当者の要求を整理し、全体として調整する責任者がいなければ、要求の収束につながりにくいからです。
Q: 責任者を決めると、業務管理レポートの要求をすぐ開発するのですか?
A: いいえ。本文では、まず要求事項の取りまとめを優先し、要件が定義できた時点で改めて開発計画を策定する方針です。

関連キーワード: 要件定義、要求管理、ステークホルダー管理、要求の優先順位付け、プロジェクト体制

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