登録販売者 2020年 中国・四国 問17
問題文
サリドマイド製剤及びサリドマイド訴訟に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
選択肢
1:サリドマイド訴訟は、貧血用薬として販売されたサリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。(正解)
2:サリドマイドは、妊娠している女性が摂取した場合、血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。
3:サリドマイドの副作用である血管新生を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体のうち、S体のみが有する作用である。
4:サリドマイドによる薬害事件は、日本のみならず世界的にも問題となったため、WHO加盟国を中心に市販後の副作用情報の収集の重要性が改めて認識された。
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サリドマイド薬害【登録販売者解説】
正解の理由
サリドマイド訴訟の原因となったのは、貧血用薬ではなく催眠鎮静剤等です。
誤っているのは1です。記述1は「貧血用薬」としていますが、手引きでは「催眠鎮静剤等」とされています。記述2・3・4は、いずれも手引きの内容と一致しています。
根拠は、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」第1章IV「薬害の歴史」です。
解法ステップ
- まず、サリドマイド訴訟の説明にある「貧血用薬」に注目します。
- 販売時の用途は「催眠鎮静剤等」なので、用途の部分が誤りだと判断できます。
- ほかの記述は、胎児への移行、S体の作用、世界的な副作用情報収集の重要性について述べています。これらは手引きの説明と照らして確認します。
選択肢別の誤答解説
-
1:誤りです。
×「貧血用薬として販売」→ ○「催眠鎮静剤等として販売」
サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用し、出生児に四肢欠損や耳の障害などの先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟です。訴訟の被害内容は合っていますが、販売時の用途が違います。 -
2:正しい記述です。
サリドマイドは、妊娠している女性が摂取すると血液-胎盤関門を通過し、胎児に移行します。その結果、胎児の発育に影響することがあります。 -
3:正しい記述です。
血管新生(けっかんしんせい:新しい血管がつくられること)を妨げる作用は、サリドマイドの光学異性体(こうがくいせいたい:鏡に映したような関係にある分子)のうち、S体にあるとされています。R体にはこの作用がなく、鎮静作用はR体にあるとされています。 -
4:正しい記述です。
サリドマイドによる薬害は世界的な問題となり、市販後の副作用情報を集める重要性が改めて認識されました。WHO加盟国を中心とした副作用情報の収集・評価体制につながりました。
よくある誤解
- 薬害の説明では、被害の内容だけでなく、医薬品の販売時の用途も確認します。この問題は「貧血用薬」と書き換えている点がひっかけです。
- 「血管新生を妨げる作用はS体にある」ことと、「R体だけにすれば安全である」ことは同じではありません。体内でR体とS体が相互に転換します。
補足コラム
サリドマイド事件は、市販後の副作用情報を収集する体制の重要性が認識される契機となりました。手引きでは、1968年にWHO加盟各国を中心として、各国が副作用情報を収集・評価する国際的な仕組みが確立されたと説明されています。
FAQ
光学異性体とは、どのようなものですか?
分子の化学的な配列は同じでも、鏡に映したように左右対称で、互いに重ね合わせられない関係にあるものです。
分子の化学的な配列は同じでも、鏡に映したように左右対称で、互いに重ね合わせられない関係にあるものです。
R体だけを製剤にすれば、胎児への影響を避けられたのでしょうか?
いいえ。R体とS体は体内で相互に転換するため、R体だけを分離して製剤化しても、催奇形性(さいきけいせい:胎児に先天異常を起こす性質)は避けられないとされています。
いいえ。R体とS体は体内で相互に転換するため、R体だけを分離して製剤化しても、催奇形性(さいきけいせい:胎児に先天異常を起こす性質)は避けられないとされています。
関連キーワード: サリドマイド、催眠鎮静剤、光学異性体、血液-胎盤関門、市販後の副作用情報

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