登録販売者 2022年 奈良・関西広域連合・福井 問18
問題文
サリドマイド及びサリドマイド訴訟に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊娠している女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
b サリドマイドは、妊娠している女性が摂取した場合、血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する。
c サリドマイドは、催眠鎮静成分として承認・販売されたが、副作用として血管新生を促進する作用がみられた。
d サリドマイドによる薬害は、その光学異性体のうち、一方の異性体のみが有する作用であることから、もう一方の異性体を分離して製剤化した場合には、避けることができる。
選択肢
1:a:正、b:正、c:正、d:誤
2:a:正、b:正、c:誤、d:正
3:a:正、b:正、c:誤、d:誤(正解)
4:a:誤、b:誤、c:正、d:誤
5:a:誤、b:正、c:誤、d:正
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サリドマイドの薬害【登録販売者解説】
正解の理由
サリドマイドは胎児へ移行し、血管新生を妨げますが、体内で光学異性体が相互に転換するため、片方だけを製剤にしても催奇形性は避けられません。
3が正しく、a・bは正、c・dは誤です。根拠は、手引きの第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」の「薬害の歴史」です。手引きの正式名は「試験問題の作成に関する手引き」です。
3が正しく、a・bは正、c・dは誤です。根拠は、手引きの第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」の「薬害の歴史」です。手引きの正式名は「試験問題の作成に関する手引き」です。
解法ステップ
- aは「サリドマイド訴訟」の原因と、出生児に生じた健康被害の説明を確認します。
- bは「血液-胎盤関門を通過して胎児に移行する」という記述に注目します。
- cは、サリドマイドの副作用が血管新生を「促進」したのか、「妨げた」のかを見ます。
- dは「一方だけを分離すれば薬害を避けられる」という結論が、体内での異性体の転換と両立するかを確かめます。
選択肢別の誤答解説
-
a 正しい記述です。
サリドマイド製剤を妊娠中の女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損や耳の障害などの先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生し、その損害賠償を求めた訴訟です。 -
b 正しい記述です。
サリドマイドは妊娠中の女性が摂取すると、血液-胎盤関門(血液から胎盤を通して胎児へ物質が移る際の境界)を通過して胎児に移行します。そのため、胎児の成長や器官の形成に影響することがあります。 -
c 誤った記述です。
×血管新生を促進する → ○血管新生を妨げる
サリドマイドは催眠鎮静成分として承認されましたが、副作用として血管新生を妨げる作用がありました。血管新生(既にある血管から新しい血管ができること)が妨げられると、胎児の器官の成長に必要な血液や栄養が届きにくくなり、先天異常につながることがあります。 -
d 誤った記述です。
×R体を分離して製剤化すれば催奇形性を避けられる → ○R体を分離して製剤化しても催奇形性は避けられない
光学異性体(分子の並びが鏡像関係にあるもの)のうち、血管新生を妨げる作用を持つのはS体です。しかし、サリドマイドが体内に入るとR体とS体は相互に転換します。そのため、R体だけを分離して製剤化しても、催奇形性(胎児に先天異常を起こす性質)は避けられません。
組合せの確認:
- 選択肢1は、a正・b正・c正・d誤です。cを正としている点が誤りです。
- 選択肢2は、a正・b正・c誤・d正です。dを正としている点が誤りです。
- 選択肢4は、a誤・b誤・c正・d誤です。a・bを誤、cを正としている点が誤りです。
- 選択肢5は、a誤・b正・c誤・d正です。aを誤、dを正としている点が誤りです。
よくある誤解
- 「血管新生を促進」と「血管新生を妨げる」の取り違えに注意してください。サリドマイドの副作用として問われるのは、血管新生を妨げる作用です。
- 「S体に問題があるなら、R体だけなら安全」と考えないことが大切です。体内でR体とS体が相互に転換するためです。
- 「催眠鎮静成分として承認された」という正しい情報に引きずられ、続く副作用の説明まで正しいと思い込まないようにしましょう。
補足コラム
手引きでは、R体は鎮静作用を持ち、S体は血管新生を妨げる作用を持つとされています。ただし、体内で両者が相互に転換するため、異性体を分けて製剤化すれば安全性の問題を解決できる、とはいえません。
また、サリドマイド訴訟やスモン訴訟を契機として、医薬品の副作用による健康被害を救済する制度が1979年に創設されました。薬害の歴史は、医薬品の安全性を確認し、健康被害の情報を適切に扱うことの重要性を示しています。
FAQ
Q. 光学異性体とは、どのようなものですか?
A. 分子の化学的な並びは同じでも、鏡に映したように左右が反対で、重ね合わせられない関係にあるものです。R体・S体は、その区別に使われる表記です。
A. 分子の化学的な並びは同じでも、鏡に映したように左右が反対で、重ね合わせられない関係にあるものです。R体・S体は、その区別に使われる表記です。
Q. サリドマイドが胃腸薬にも配合されていたのはなぜですか?
A. 手引きによると、催眠鎮静成分としての鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合されていました。
A. 手引きによると、催眠鎮静成分としての鎮静作用を目的として、胃腸薬にも配合されていました。
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