登録販売者 2023年 中国・四国 問32
問題文
医薬品の代謝、排泄に関する記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢
1:有効成分は代謝を受けて、作用を失ったり(不活性化)、作用が現れたり(代謝的活性化)、あるいは体外へ排泄されやすい脂溶性の物質に変化したりする。
2:排泄とは、代謝によって生じた物質(代謝物)が体外へ排出されることであり、排出経路は尿中、呼気中、汗中、母乳中に限られる。
3:血液中で血漿タンパク質と結合して複合体を形成している有効成分の分子は、薬物代謝酵素の作用で代謝されない。(正解)
4:経口投与後、消化管で吸収された有効成分は、肝動脈という血管を経由して肝臓に運ばれ、肝臓に存在する酵素の働きにより代謝を受ける。
5:循環血液中に存在する有効成分の多くは、代謝物の形でのみ腎臓から尿中に排泄される。
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医薬品の代謝と排泄【登録販売者解説】
正解の理由
ひと言まとめ:代謝は作用を変化させ、水溶性にして排泄されやすくすることがあります。血漿(けっしょう)タンパク質と結合した成分は代謝されません。
正しいのは3です。記述1・2・4・5は誤り、記述3は正しい内容です。根拠は、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」第2章「人体の働きと医薬品」の「循環血液中に移行した有効成分の代謝と排泄」などにあります。
解法ステップ
- 記述1の「脂溶性」に注目します。手引きでは、排泄されやすい形として「水溶性」が示されています。
- 記述4では、吸収された成分が肝臓へ向かう血管名を確認します。「肝動脈」ではなく「門脈(もんみゃく)」です。
- 記述2の排出経路と、記述5の「のみ」に注目します。経路が限定されていたり、未変化体が除かれていたりすれば誤りです。
- 記述3は、血漿タンパク質と結合した成分が薬物代謝酵素で代謝されない、という説明です。ここが正しい内容です。
選択肢別の誤答解説
-
1:誤りです。 代謝によって作用が失われたり、作用が現れたりする点は正しいですが、排泄されやすい物質への変化を「脂溶性」としている点が誤りです。
×(脂溶性)→ ○(水溶性) -
2:誤りです。 排泄の経路を「尿中、呼気中、汗中、母乳中に限られる」としている点が誤りです。成分は未変化体または代謝物として、尿中・胆汁中・呼気中などへ排出されます。汗中や母乳中への排出もあります。
-
3:正しい内容です。 血漿タンパク質と結合して複合体を形成している有効成分は、薬物代謝酵素の作用で代謝されません。タンパク質との結合により、代謝や分布が制限されます。
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4:誤りです。 経口投与後に消化管から吸収された成分は、まず門脈を経由して肝臓へ運ばれます。肝動脈ではありません。
×(肝動脈)→ ○(門脈) -
5:誤りです。 腎臓から尿中へ排泄される成分を「代謝物のみ」としている点が誤りです。有効成分は、未変化体または代謝物の形で尿中へ排泄されます。
×(代謝物の形でのみ)→ ○(未変化体又は代謝物の形で)
よくある誤解
- 「排泄されやすい」とあれば、脂溶性と考えてしまうことがあります。この問題では、水溶性への変化がポイントです。
- 「排泄」と「代謝物の排泄」を同じ意味だと思い込み、未変化体のまま排泄される場合を見落としがちです。
- 「のみ」「限られる」のような限定表現は、排出経路や排泄される形を不当に狭めていないか確認します。
補足コラム
経口投与された有効成分は、消化管で吸収された後、全身循環に入る前に門脈を通って肝臓を通過します。肝臓で代謝を受けるため、全身循環へ移行する量はその分少なくなります。これを肝初回通過効果といいます。
FAQ
血漿タンパク質と結合した有効成分は、ずっと代謝されないのでしょうか?
結合は速やかで、可逆的です。成分は結合と解離を繰り返しますが、複合体を形成している間は代謝されず、血中濃度の低下は徐々に起こります。
結合は速やかで、可逆的です。成分は結合と解離を繰り返しますが、複合体を形成している間は代謝されず、血中濃度の低下は徐々に起こります。
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