登録販売者 2024年 北海道・東北 問72
問題文
薬の消化管吸収に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a 内服薬のほとんどは、その有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に移行し、全身作用を現す。
b 坐剤は肛門から医薬品を挿入することにより、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるものである。
c 内服薬の有効成分は主に小腸で吸収されるが、消化管の吸収は、濃度の低い方から高い方へ能動的に拡散していく現象である。
d 内服薬の有効成分によっては消化管の粘膜に障害を起こすことがあるため、食事の時間と服用時期との関係が各医薬品の用法に定められている。
選択肢
1:a:誤、b:正、c:誤、d:誤
2:a:正、b:誤、c:正、d:誤
3:a:正、b:正、c:誤、d:正(正解)
4:a:誤、b:正、c:正、d:誤
5:a:誤、b:誤、c:誤、d:正
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消化管吸収と服用時期【登録販売者解説】
正解の理由
ひと言まとめ:内服薬の成分は主に小腸で吸収され、消化管では高濃度側から低濃度側へ受動的に拡散します。
正しい組合せは3です。a・b・dは正しく、cは誤りです。根拠は、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」第2章「人体の働きと医薬品」の「有効成分の吸収」などにあります。
解法ステップ
- aの「ほとんど」と「全身作用」を確認します。内服薬の多くは、成分が消化管から吸収されて全身に作用します。
- bは、坐剤(ざざい)が肛門から挿入され、直腸(ちょくちょう)内で溶けて粘膜(ねんまく)から吸収されるという流れを確認します。
- cでは、「濃度の低い方から高い方へ」「能動的」の部分に注目します。手引きの説明とは逆です。
- dは、成分によって消化管の粘膜に障害を起こすことがあり、食事と服用のタイミングが用法に定められることを確認します。
選択肢別の誤答解説
a 正しい
内服薬の多くは、有効成分が消化管から吸収されて循環血液中に入り、全身に作用します。ただし、内服薬のすべてが全身作用を目的とするわけではありません。成分が消化管内で作用する薬もあります。
b 正しい
坐剤は肛門から挿入し、直腸内で溶けた成分を直腸の壁の粘膜から吸収させます。直腸の粘膜の下には静脈が豊富にあり、成分が循環血液中に入りやすいため、全身作用を目的とする剤形にも使われます。
c 誤り
×「濃度の低い方から高い方へ能動的に拡散」→ ○「濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散」
内服薬の有効成分は主に小腸で吸収されます。消化管からの吸収は、一般に濃度の高い方から低い方へ進む「受動的な拡散」です。「低い方から高い方へ」「能動的」という部分が誤りです。
d 正しい
有効成分によっては、消化管の粘膜に障害を起こすことがあります。そのため、食事の時間と服用時期との関係が、医薬品ごとの用法に定められています。服用時期は、成分の性質や消化管への影響に関わるものです。
組合せの確認
- 選択肢1は、aとdを誤りとしている点が違います。
- 選択肢2は、bを誤り、cを正しいとし、dを誤りとしている点が違います。
- 選択肢4は、aを誤り、cを正しいとし、dを誤りとしている点が違います。
- 選択肢5は、aとbを誤りとしている点が違います。
よくある誤解
- 「内服薬はすべて、成分が吸収されて全身に作用する」と考えないようにしましょう。消化管内で作用する内服薬もあります。
- 「拡散」という言葉から、濃度の低い方から高い方へ移動すると誤解しがちです。消化管からの一般的な吸収は、高濃度側から低濃度側への受動的な拡散です。
- 坐剤も、内服薬と同じ経路で吸収されると思い込まないようにしましょう。坐剤は直腸の粘膜から吸収されます。
補足コラム
坐剤は、直腸の粘膜から吸収された成分が循環血液中に入り、全身に作用することがあります。一方、直腸の上部から吸収された成分は、肝臓で代謝を受けることもあります。「坐剤は必ず肝臓を通らない」と断定しないことがポイントです。
FAQ
Q. 消化管から吸収された成分は、すぐ全身に回りますか?
A. 口から投与された成分は、消化管から吸収された後、全身循環に入る前に門脈を通って肝臓を通過します。肝臓で代謝を受けるため、全身循環に移行する量は、吸収された量より少なくなることがあります。
A. 口から投与された成分は、消化管から吸収された後、全身循環に入る前に門脈を通って肝臓を通過します。肝臓で代謝を受けるため、全身循環に移行する量は、吸収された量より少なくなることがあります。
関連キーワード: 消化管吸収、受動的拡散、小腸、坐剤、直腸粘膜、服用時期

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