登録販売者 2026年 北海道・東北 問17
問題文
サリドマイド及びその訴訟に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を妊婦又は妊娠していると思われる女性が使用したことにより、出生児に四肢欠損、耳の障害等の先天異常が発生したことに対する損害賠償訴訟である。
b 日本では、サリドマイド製剤の催奇形性について海外から警告が発せられた後、直ちに出荷停止、販売停止及び回収措置がとられた。
c サリドマイドは、催眠鎮静成分として承認されたが、副作用として血管新生を促進する作用があった。
d サリドマイドによる薬害は、その光学異性体のうち、一方の異性体のみが有する作用であることから、もう一方の異性体を分離して製剤化した場合には、避けることができる。
選択肢
1:a:正、b:誤、c:誤、d:誤(正解)
2:a:誤、b:正、c:正、d:誤
3:a:誤、b:誤、c:正、d:正
4:a:正、b:誤、c:正、d:正
5:a:正、b:正、c:誤、d:誤
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サリドマイド薬害【登録販売者解説】
正解の理由
ひと言まとめ:サリドマイドは催眠鎮静成分として承認されましたが、血管新生を妨げる副作用があり、R体だけに分けても催奇形性は避けられません。
正しい組合せは 1 です。aは正、b・c・dは誤です。根拠は、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」第1章「医薬品に共通する特性と基本的な知識」のIV「薬害の歴史」です。
解法ステップ
- aは、被害が「妊婦等の使用」と「出生児の先天異常」による損害賠償訴訟と説明されている点を確認します。
- bは、「警告後、直ちに」という時間の表現に注目します。日本では出荷停止や販売停止・回収までに時間がかかりました。
- cは「血管新生を促進」と「妨げる」のどちらかを見ます。dは「異性体を分ければ避けられる」という結論が、体内での異性体の転換と合うかを確認します。
選択肢別の誤答解説
-
a:正
サリドマイド製剤を妊婦、または妊娠していると思われる女性が使用し、出生児に四肢欠損や耳の障害などの先天異常(生まれつきの異常)が発生したことに対する損害賠償訴訟です。 -
b:誤
×「直ちに出荷停止、販売停止及び回収」→ ○「出荷停止は1962年5月、販売停止及び回収措置は同年9月」
海外から警告が発せられた後、日本では対応までに時間がかかりました。「警告後、直ちに」という部分が誤りです。 -
c:誤
×「血管新生を促進」→ ○「血管新生を妨げる」
サリドマイドは催眠鎮静成分として承認されましたが、副作用として血管新生(新しい血管ができること)を妨げる作用がありました。胎児の器官の成長が妨げられることが、先天異常につながります。 -
d:誤
×「異性体を分離して製剤化すれば避けられる」→ ○「R体を分離して製剤化しても、体内でR体とS体が相互に転換するため、催奇形性は避けられない」
血管新生を妨げる作用はS体にありますが、体内ではR体とS体が相互に転換します。そのため、R体だけを分離して製剤化しても、催奇形性(胎児に形態的な異常を起こす性質)を避けられません。
組合せの確認:
- 選択肢2は、a・b・cの正誤が正解と異なります。
- 選択肢3は、a・c・dの正誤が正解と異なります。
- 選択肢4は、c・dの正誤が正解と異なります。
- 選択肢5は、bの正誤が正解と異なります。
よくある誤解
- 海外から警告が出た後、日本でも「直ちに」販売停止・回収されたと思い込むことがあります。手引きでは、日本の対応の遅さが問題視されています。
- 血管が「増える」作用と「できるのを妨げる」作用を取り違えやすいです。問題文の「促進」という語に注意してください。
- 「一方の異性体に作用があるなら、それだけを分ければ安全」と考えがちです。サリドマイドは体内で異性体が相互に転換する点が重要です。
補足コラム
サリドマイドでは、鎮静作用と血管新生を妨げる作用を分けて覚えましょう。手引きでは、鎮静作用はR体、血管新生を妨げる作用はS体にあるとされています。ただし、体内で両者が相互に転換するため、R体だけに分けても催奇形性は避けられません。
FAQ
この薬害事件は、その後の医薬品の安全対策にも関係しますか?
はい。手引きでは、サリドマイド薬害事件を契機に、世界保健機関(WHO)加盟国を中心として副作用情報を収集・評価する体制の整備が進んだとされています。
はい。手引きでは、サリドマイド薬害事件を契機に、世界保健機関(WHO)加盟国を中心として副作用情報を収集・評価する体制の整備が進んだとされています。
関連キーワード: サリドマイド訴訟、催奇形性、血管新生、鏡像異性体、薬害の歴史

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