情報処理技術者試験の新制度(2027年度〜)の出題範囲まとめ|30中分類と試験区分別の一覧表
2027年度から、情報処理技術者試験の制度が変わります。試験区分が再編されるだけでなく、科目A(知識)の出題範囲の決め方も変わり、全試験区分で共通の7大分類・30中分類で定義されるようになります。
この記事では、新しい試験区分、30中分類の一覧、試験区分ごとの出題範囲の違いを順に整理します。最後に補足として、戦国ITが現行試験の過去問をこの中分類で整理し、新試験の予想問題として使えるようにした仕組みを説明します。
本記事は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が2026年3月に公表した「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案」(Ver.1.0)と、各試験区分のシラバス案(Ver0.1〜0.2)をもとにしています。改定案には「公表時点の検討状況に基づくもので、変更する可能性がある」と記載されており、今後の公表で内容が変わる可能性があります。
2027年度からの試験区分
新制度の試験区分は次の8つです。継続する試験も、出題範囲の定義が新しい体系に変わります。
| 試験区分 | 略称 | 2027年度からの扱い | 科目の構成 |
|---|---|---|---|
| ITパスポート試験 | IP | 継続 | 科目の区分なし |
| データマネジメント試験 | DM | 新設 | 科目A・科目B |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | SG | 継続 | 科目A・科目B |
| 基本情報技術者試験 | FE | 継続 | 科目A・科目B |
| プロフェッショナルデジタルスキル試験(マネジメント) | PD-M | 新設 | 科目A-1・科目A-2・科目B |
| プロフェッショナルデジタルスキル試験(データ・AI) | PD-D | 新設 | 科目A-1・科目A-2・科目B |
| プロフェッショナルデジタルスキル試験(システム) | PD-S | 新設 | 科目A-1・科目A-2・科目B |
| 情報処理安全確保支援士試験 | SC | 継続 | 科目A-1・科目A-2・科目B |
プロフェッショナルデジタルスキル試験(PDS)の3区分は、現行の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化して再編したものです。科目A-1は「共通知識」、科目A-2は「専門知識」で、科目Aが2つに分かれているのがPDSと情報処理安全確保支援士試験の特徴です。
この記事で扱うのは、知識を問う科目A(PDSとSCでは科目A-1・A-2)の出題範囲です。技能を問う科目Bの出題範囲は、中分類ではなく試験ごとの大項目・小項目で定義されています。試験の時間・問題数・実施時期・免除制度などは、次の記事にまとめています。
出題範囲は全区分共通の「30中分類」で定義される
現行制度では、試験区分ごとにシラバスがあり、同じ「ネットワーク」でも基本情報技術者試験とネットワークスペシャリスト試験で分類の切り方が違いました。新制度では、IPAは科目Aの出題範囲を全試験区分に共通する1つの知識体系として定義し、試験区分ごとには「その体系のどの部分を、どの重みで出題するか」だけを指定します。
この知識体系が、3つの分野、7つの大分類、30の中分類です。
| 分野 | 大分類 | 中分類 |
|---|---|---|
| ビジネス | 1:ビジネス変革 | 1:ビジネス変革の方法論/2:経営戦略・デジタル戦略/3:ビジネスモデル・ビジネスプロセス/4:サービスマネジメント/5:プロジェクトマネジメント/6:デザインのアプローチ/7:マインド・スタンス |
| ビジネス | 2:データ・AIの利活用 | 8:データマネジメント/9:データ分析・データ利活用/10:AI利活用 |
| ビジネス | 3:組織活動 | 11:経営・組織論/12:ガバナンス・監査 |
| テクノロジ | 4:デジタル技術 | 13:デジタルサービス・デジタルツール/14:システムの種類・構成/15:クラウド/16:ネットワーク/17:データベース/18:AI技術/19:情報デザイン・情報メディア |
| テクノロジ | 5:システムの開発・運用 | 20:システムライフサイクルプロセス/21:開発・運用の方法論/22:アルゴリズム・プログラミング |
| セキュリティ・倫理 | 6:セキュリティ | 23:情報セキュリティの脅威/24:情報セキュリティマネジメント/25:情報セキュリティ対策/26:セキュリティ実装技術・評価 |
| セキュリティ・倫理 | 7:倫理・コンプライアンス | 27:情報倫理・AI倫理/28:ビジネス関連法規/29:プライバシー関連法規/30:セキュリティ関連法規 |
中分類の番号と名称は改定案Ver.1.0で示されています。各中分類の下にある小分類・項目・用語例はシラバス案(Ver0.1〜)で示されていて、こちらは今後の改訂で変わる可能性があります。
試験区分ごとの出題範囲(○◎●の一覧表)
改定案には、試験区分ごとに30中分類それぞれの扱いが、3つの記号で示されています。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ○ | 出題範囲に含まれる |
| ◎ | 出題範囲のうち、重点分野 |
| ● | 出題範囲のうち、専門分野(科目A-2で出題される分野。専門分野は重点分野でもある) |
重点分野は、出題範囲の中で、その試験が重く扱う分野です。
専門分野は、科目A-2(専門知識)で出題される、その区分ならではの分野です。科目A-2があるPDSの3区分と情報処理安全確保支援士試験(SC)だけにあります。
専門分野は重点分野でもあり、科目A-1(共通知識)の出題範囲にも含まれます。つまり、科目A-1と科目A-2の両方で問われます。
下の表は、改定案の表を1つにまとめたものです。色が濃いほど、その試験で重く扱われる分野です。
●専門分野(科目A-2) ◎重点分野 ○出題範囲 範囲外
| 大分類 | 中分類 | IP | 科目A | 科目A-1 | 科目A-2 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| DM | SG | FE | PDS 3区分 ・SC共通 | PD-M | PD-D | PD-S | SC | |||
| ビジネス変革 | 1:ビジネス変革の方法論 | ○ | ○ | ○ | ● | |||||
| 2:経営戦略・デジタル戦略 | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● | ||||
| 3:ビジネスモデル・ビジネスプロセス | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | |||||
| 4:サービスマネジメント | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ||||
| 5:プロジェクトマネジメント | ○ | ○ | ○ | ● | ||||||
| 6:デザインのアプローチ | ○ | ○ | ○ | |||||||
| 7:マインド・スタンス | ○ | |||||||||
| データ・AIの利活用 | 8:データマネジメント | ○ | ◎ | ○ | ○ | ● | ||||
| 9:データ分析・データ利活用 | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ● | ||||
| 10:AI利活用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ||||
| 組織活動 | 11:経営・組織論 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| 12:ガバナンス・監査 | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ||||
| デジタル技術 | 13:デジタルサービス・デジタルツール | ○ | ○ | ○ | ● | |||||
| 14:システムの種類・構成 | ○ | ○ | ○ | ● | ||||||
| 15:クラウド | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● | ||||
| 16:ネットワーク | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● | ||||
| 17:データベース | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ● | ○ | |||
| 18:AI技術 | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | |||||
| 19:情報デザイン・情報メディア | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
| システムの開発・運用 | 20:システムライフサイクルプロセス | ◎ | ○ | ● | ○ | |||||
| 21:開発・運用の方法論 | ◎ | ○ | ● | ○ | ||||||
| 22:アルゴリズム・プログラミング | ◎ | ○ | ● | |||||||
| セキュリティ | 23:情報セキュリティの脅威 | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ● | ||||
| 24:情報セキュリティマネジメント | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ● | ● | ||||
| 25:情報セキュリティ対策 | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ● | |||||
| 26:セキュリティ実装技術・評価 | ○ | ○ | ◎ | ● | ● | |||||
| 倫理・コンプライアンス | 27:情報倫理・AI倫理 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| 28:ビジネス関連法規 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ||||
| 29:プライバシー関連法規 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ● | ||||
| 30:セキュリティ関連法規 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
IP:ITパスポート試験(科目の区分が無く、試験全体の出題範囲)、DM:データマネジメント試験、SG:情報セキュリティマネジメント試験、FE:基本情報技術者試験、PDS:プロフェッショナルデジタルスキル試験(PD-M:マネジメント、PD-D:データ・AI、PD-S:システムの3区分)、SC:情報処理安全確保支援士試験。科目A-1の列は、PDS 3区分とSCの4つで共通です。出典はIPA「出題範囲等の改定案」の表で、2つの表を1つにまとめています。
補足:現行試験の過去問を30中分類で整理した「予想問題」
新設される試験(データマネジメント試験、PDSの3区分)はまだ実施されていないので、公式の過去問はありません。戦国ITでは、収録している現行試験の過去問約1万2,000問を1問ずつ30中分類に分類し、新試験の出題範囲に入るものを「科目A 予想問題」として整理しました。
予想問題ページの例
予想問題は、下のような問題ページとして解けます。見出しに新試験名・中分類・何問目かが出て、出典(現行試験の区分・年度・問番号)も分かります(下はPDSマネジメント区分の中分類5「プロジェクトマネジメント」の1問目)。
なぜ現行の過去問が新試験の対策に使えるのか
- 知識体系が共通になる。 科目Aの範囲が共通の中分類で定義されるので、「どの試験の過去問か」より「どの中分類の知識を問うか」が重要になります。たとえば中分類5「プロジェクトマネジメント」の知識は、現行の応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験で繰り返し問われてきたものと同じです。
- IPAは問題を試験区分・年度をまたいで再利用する。 同じ問題やほぼ同じ問題が、別の区分や別の年度で再び出題されることは珍しくありません。知識の範囲が引き継がれるなら、同じ分野の過去問は新試験でも出る可能性が高い問題と言えます。
- 中分類の定義が公表されている。 改定案とシラバス案には、中分類ごとに「何を問うか」と小分類・項目・用語例が示されています。これを基準にすれば、過去問がどの中分類に当たるかを一貫した基準で判断できます。
注意事項
- 「予想問題」は、新試験の出題範囲に入る分野で実際に出題された現行試験の過去問です。この問題がそのまま出題されることを保証するものではありません。
- 新試験の出題形式や難易度は、現行試験と同じとは限りません。
- 中分類への分類は戦国ITによるもので、IPAが公表したものではありません。
予想問題ができるまでの流れ
中分類の判定(図の②)は、IPAが公表した各中分類の「内容」(何を問うか)と小分類・項目を基準に、AI(大規模言語モデル)が行い、人が抜き取りで確認しています。約320問を読み合わせた結果、明確な誤りは約3%でした。予想問題ページに載る問題は、さらに別の判定にかけ、結果が食い違った問題を人が確認して直しています。
予想問題ページでは、出題範囲の一覧表(○◎●)に沿って中分類を3つに分けています。範囲外(表で空欄)の中分類の過去問は載せていません。
| 予想問題ページの分け方 | 一覧表との対応 |
|---|---|
| 専門分野 | 科目A-2の●。科目A-1と科目A-2の両方の出題範囲 |
| 重点分野 | 科目A-1の◎のうち、専門分野でないもの(データマネジメント試験は◎) |
| その他の分野 | 科目A-1の○だけの中分類(データマネジメント試験は◎以外の範囲) |
